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第3回テックヒルズ(HTML5普及でその未来にギモン?)Flashの終焉!?~Flashの今後を見抜く~

1. 六本木ヒルズから世界へ向けて発信!第3回テックヒルズ開催

最先端の技術や情報を研究し、それを世界へ向けて発信するためのイベント「テックヒルズ」。「検索エンジン」「ネイティブアプリ VS Webアプリ」に続く第3回のテーマはズバリ「Flashの終焉」だ。

Flashがおかれている現状、Flashの価値と未来、そしてFlasherがいっそう飛躍するためには何が必要かをプレゼンテーション、パネルディスカッションを通して探るという内容だ。会場となったアカデミーヒルズ内のホールは、興味津々の表情をした多数の参加者で埋め尽くされていた。

2. エバンジェリストが語るAdobeの戦略と今後 ~Flashは死んだ?

まずは3社のプレゼンテーションからスタート。トップバッターは、ベンダー側のアドビシステムズ・太田禎一氏だ。Adobeの考える「Flashの現状と今後」とは。

「ドヤ顔で『Flashは死んだ』と言われるんですけれども...」というネタも交えてAdobeとしての戦略について語った太田氏。その内容は3つの点に集約されていた。

第一に「Flashの果たす役割は確実にシフトしている」こと。なんでもFlashで、という段階から、テクノロジーの適材適所化が進んでいるという認識が示された。第二に、Flashへの投資は「今後5~10年にわたって有効である」こと。HTML5も具体的な利用はまだまだ進んでいないこと、Flash Lite1.1対応のフィーチャーフォンからのアクセスがまだ多くを占める現状など、データを交えて考察していた。そして最後は「Flash資産、ワークフローをHTML5につなげていくことが成功のカギ」ということだ。

先に発表されているが、Adobeはandroidブラウザ向けのFlashプラグイン開発を打ち切った。iOSを含め、今後主戦場となるスマートフォンでFlashテクノロジーを活かすためには、HTML5への対応が必須となる。今後進歩するHTML5環境にFlashで培った資産をうまく利用していければ、展望は大きく開けるという。

さらにFlasherの今後については、Flash周辺のコミュニティに優秀なクリエイターが多いことを挙げ、クリエイティブ面でのアドバンテージを保ちながら新しい技術を習得するのが今後の行く先ではないかと提言。「Flashの未来は明るい。ただし、立ち止まらなければ...」というのが彼の結論だった。

アドビシステムズ・太田禎一氏

Flash⇒HTML5への変換の現状を整理

3. Flasherはフロントエンドのスペシャリストだ

続いて壇上に登ったのは、株式会社ディー・エヌ・エーの近澤良氏。スマートフォンのブラウザで動くゲームを作るためのフレームワーク「Arctic.js」の開発に携わった元Flashデベロッパーだ。

私はFlashが好きです」とプレゼンテーションの冒頭で宣言した近澤氏。

彼はFlasherについて「気持ちのよいアニメーションが作れる」「インタラクティブなプログラミングが得意」そして「UIに関する知識が豊富」な、フロントエンドのスペシャリストであると定義。技術を問わず活躍できるポテンシャルがあるので、ツールに依存する必要はないと語った。

近澤氏は続けて、Flasherはフロントエンドのスペシャリストとして、HTML5での制作・開発へと移行すればよいと話し、関連してDeNAが進めている2つの取り組みを紹介。FlashゲームをHTML5に変換する技術「ExGame」や後継の「Pex」。もうひとつがActionScript 3ライクな制作が可能なフレームワーク「Arctic.js」だ。

近澤氏は、実際のゲーム動画を交えつつそれぞれのメリットを紹介。他社のミドルウェアやツールの話もあわせ「FlasherがHTML5のアニメーションを作る時代が来る。Flasherとしてはスマホの需要にどう応えられるかが重要だ」との見解を示し、プレゼンを締めくくった。

株式会社ディー・エヌ・エー 近澤良氏

Arctic.jsで制作したデモ画面で滑らかな動きを披露

4. FlashもHTML5もどちらも必須!

第1部のトリを務めるのは、テックヒルズの主催者でもあるCROOZ株式会社でモバイルFlashの開発に携わる土濱健太郎氏。FlashとHTML5の戦いには興味がないと語った土濱氏。はたしてその真意は?

「HTML5への変換で再生しようが、Flashがそのまま使えようが、私にとってはどうでもいいこと。大切なのは各デバイスで最適な動作を保証することだと思っています」と、土濱氏は冒頭「Flash VS HTML5」の対立図式について、このように見解を述べた。

続けて「FlashとHTML5はどちらも必須。ユーザが快適に良質なアニメーションを楽しめるようにするのが、Flasherの仕事だと思います」と語る。

ソーシャルアプリ提供事業者の立場から見たFlasherの今後について、エンジニア寄りのユーザに対しては「Action Scriptを使う人にはJava Scriptを、反対にJava Script派の人はAction Scriptでプログラミングしてみてほしい」と語り、デザイナーに対しては「Flashと同じ作り方で、かつHTML5形式にできるツールがあるので、いろいろなツールを試してほしい」と述べた。また土濱氏は、最後に個人的な意見として「Flasherの勉強会や技術交流会をしたい」とアピールしていた。

CROOZ株式会社 土濱健太郎氏

5. 率直な意見が飛び交う、白熱のパネルディスカッション

第2部はパネルディスカッション。第1部に登場した3氏と、実際に現場でFlashを使ってコンテンツを制作する、株式会社gloopsの中家啓太氏、株式会社gumiの植村完司氏を加えた5氏によって行われた。

「今後もFlasherは必要なのか?」というモデレータの問いかけには、フィーチャーフォンのシェアが大きい現状から考えて、まだ必要だという意見が多かった。さらに、Flashは編集ツールとしてのクオリティも高く完成されているため、仮にスマートフォンが大勢を占める状況になっても、Flash/Flasherは生き残るという見解もあった。

一方で、Flasherをフロントエンドのスペシャリストとして捉えた場合、彼らの持つポテンシャルを発揮する場所は必ずしもFlashである必要はない、との発言も飛び出した。

全体の意見をまとめると「Flasherはポテンシャルが高く、Flashがなくなったからといって『Flasherはいらない』という事態にはならないだろう」というところだ。Flasherとしてこれまで積み上げた経験は活きる。技術に特化するもよし、デザインに寄った人材になるもよし。仮にFlashが終焉を迎えたとしても、Flasherの仕事がなくなることはない。パネリストの意見はそこに落ち着いた。

Flasherの未来について様々な意見が飛び交った

ベンダーからの参加ということもあり、Adobeの太田氏に対しての質問も多かった。その中で太田氏はAdobeとしての見解を示した後、こう語った。

「Flashでは、PCブラウザの中で家庭用ゲーム機と比べても遜色のないゲームコンソールを作ることができる。しかし、収益性の高いカードゲームに注力しているソーシャルゲーム業界では、主にアニメーションなど演出のためだけにFlashが使われている。それはそれでよいことだと思いますが、3Dでも2Dでも完成度の高いゲームを作る技術があるので、皆さんにはぜひそちらの方向でもFlashを開拓してほしい」

そして最後はFlashを用いない開発手法についてのディスカッション。FlashからHTML5に一発変換する手段はまだAdobeからは提供できないので、いろいろなツールを試しつつ進めてほしいという太田氏の発言のほか、Adobe Edge、Create.jsについても話題が及んでいた。

多くのエンジニアが見守る中ディスカッションは 続いた

6. Flashの今後を考えるに有意義な時間を過ごし、無事閉会

パネルディスカッション終了をもって、第3回テックヒルズは無事閉会。Adobeからもパネリストを迎え、ベンダー・現場双方からの率直な意見が飛び出した今回の「テックヒルズ」はこうして幕を下ろした。本当にFlashは終焉を迎えてしまうのか? それとも生き延びる術はあるのか、いずれにしても今後の動向がいよいよ見逃せなくなってきたことだけは確かだ。次回も業界関係者必見のイベントとなること間違いなしである。

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