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エンジニアなう 今月のお題 デスマーチの正体を探る! "止まない雨はない"と言うけれど、この過酷な労働はいったいいつ終わるのか、先の見えない地獄のようなデスマーチ。修行、いや苦行とも例えられるデスマーチは、すべてのITエンジニアのすぐ身近にある恐怖なのだ。そこで今回は、以前好評だったデスマーチ座談会の第二弾をお届けしよう。いったいなぜデスマーチに陥ってしまうのか、どうやったら抜け出せるのか、そして回避する方法はあるのか。肉体も精神も厳しい状況に陥ってしまうデスマーチとは、いったいどんなものなのか、ITエンジニアの生の声をお聞きいただきたい。アイムファクトリーの久利可奈恵が参戦!今回は今をときめくソーシャルゲーム業界から3人のITエンジニアを居酒屋に招いた今回の座談会では、前回よりコアな部分を掘り下げ、デスマーチの正体を探ってみることにする。

1.身体の感覚がわからなくなる? デスマ恐怖の実態

まずは、ITエンジニアなら誰もが経験するというデスマーチの実態について話を聞いてみよう。そこで語られたのは、やはり肉体面より精神面での厳しさだった。何やら理解不能な行動をとる人もいるようで......。

久利
ITエンジニアには付き物というイメージがあるデスマーチ。やはり皆さん経験がありますよね?
K田氏
僕は、会社じゃなくて一人で仕事やってたとき。朝5時に寝て8時に起きて、その3時間の睡眠以外は全部仕事してたっていう。そういうときは、風呂は一日3回くらい入りますね。それが眠気覚ましになるし、時間が経ってくると色々と大人の分泌物も出るので(笑)。
久利
それはどうしてそういう状況になったんですか?
K田氏
複数の仕事を受けちゃったんですよね。それなりに見返りのある仕事だったので、その点問題はなかったんですけど、なぜ受けちゃったかというと、それは自分のプライドというか。
M川氏
オレだからできるんだ、オレならやってやるぞ、みたいな(笑)。
K田氏
そうそう。だから来たアプリ製作を全部受けちゃったんです。アプリって評価がつくからいい加減なことできないんで、その結果1人デスマーチってことに。

久利
そんな状態が続くと、色々と身体に影響も出ちゃいますよね。
K田氏
まず時間の感覚がよくわからなくなりますね。身体も疲れてるかどうかよくわからなくなる。
S木氏
僕は変な格好で仕事してることがあるな。ダイニングテーブルでやってたんだけど、身体をこう、斜めにしてひねって、なんかテーブルを股で挟んでるっていう(笑)。
久利
なんでそんな姿勢になっちゃうんですか!(笑)
S木氏
複雑な姿勢じゃないと寝ちゃうからなんじゃないかな。そういうときって身体がどうなってるかよくわからなくなっちゃう。
M川氏
僕は記憶が飛んじゃったこともありますよ。決められた時間に納品に行ったところまでは覚えてるんだけど、気付いたら近所のスーパーの魚売り場をうろついてた(笑)。たぶん電車に乗ってるはずなんだけど、立ってたのか座って寝てたのかも覚えてない。
S木氏
えーと、うち、二人目の子供はデスマの最中に生まれたんです。
久利
えーっ! それは大変だ。
S木氏
予定日まで一カ月だったから、その頃にはデスマも終わってる計画だったんだけど、そんな生活でヨメにも負担かかってたんだろうね。一カ月早まってデスマの最中になっちゃった。
久利
うわー。さすがに出産のタイミングはコントロールできない(笑)
S木氏
夜中に病院から電話かかってきて駆けつけたけど、僕もフラフラな状態で、赤ん坊の泣き声が聞こえたときはわけもわからずもう号泣(笑)。
M川氏
でも帰ってまた仕事。
S木氏
うん(笑)。
久利
実は私もそういう経験があって。。。超忙しいときに、打合せで話している最中に寝た!?ってアシスタントにも言われたんだけど、しゃべってるし、目も開けたままなんだけど、この人は絶対寝てると思ったそうです(笑)
K田氏
デスマってテンション上がっちゃうからそうなりますよね。ランナーズハイみたいな。

M川氏
疲れてても、テンション上がってるから仕事はなんかいい感じに進んだり。だから夜中まで働いててもそんなにイヤじゃなかったりもしますね。
S木氏
そうですね。書いてるコードがきれいに動いてくれたりすれば、12時間ぶっ続けでもイヤじゃない。
久利
じゃあ集中力を保つための特別な方法もとくにない?
K田氏
そうですねぇ。とにかくただ仕事するだけっていう感じかな。
久利
お菓子とかを必ず手元に置いてっていう人もいますけど。
K田氏
一切食べないですね終わるまで。食べたら眠くなるし。
S木氏
うん。余計なところに血液が行っちゃうのがイヤだ。
M川氏
僕の場合は、デスマのときは朝最初に缶コーヒーをパコッと開ける。これでなんか"やるぞ"っていう気分になるんです。
久利
それが"やる気スイッチ"になってるんですね。
M川氏
そうそう。開けても2口くらいしか飲まなくて忘れちゃう。しばらくするとまた買いに行ってパコッ。気付いたらほとんど飲んでないのが7本くらい並んでたり(笑)。
久利
そういうときって、どんなこと考えてるんですか?
S木氏
デスマのときほど、自分がやりたいことがわかるっていう。学生時代、試験勉強のときに限って余計なことやりたくなるみたいな。
K田氏
デスマのときには、次はこうやってやろうとか思うよね。忙しいときのほうが、角度を変えて考えられるからかな。
M川氏
でも結局次も同じことに陥る。
K田氏
成長しないんだよね〜(笑)。

2.デスマーチに陥ったのは誰のせい!?

次に話題に上がったのは、いったいなぜデスマーチに陥ってしまうのかということ。話が進むにつれ、ITエンジニアたちの口から出てきた犯人は、意外にも身内の人物だった!? 犯人がわかればデスマも回避できるのかというと、それはなかなか難しいようで......。

久利
基本ですが、いったいどうしてデスマーチに陥っちゃうんでしょう??(笑)
S木氏
初めから明快なコンセプトがあって、コレがこうできるようになればリリースできます、ってのが最初に決まってれば、デスマにはならないハズなんですよ。それがわかっていれば、みんながちゃんと動けるし、いつなにができるかわかる。
M川氏
でもそれが途中で変わるからデスマになるんだよね。
久利
なにが変わるの?
S木氏
もう根本的なこと、何をやりたいかってところから変わっちゃう。ターゲットが変わることだってあるよね。調査して、開発に入って数カ月経つうちに、最初の調査内容は最新じゃなくなっちゃうでしょ。そうやってちょっとずつ変わっていくうちに、当初余裕を見ていた部分がなくなっちゃう。
M川氏
でもリリースは死守。
S木氏
だからデスマになっちゃうという。
K田氏
身内の裏切りみたいなのもありますよ。それ今言わなくてもいいじゃん、みたいな(笑)。そのバグはわかってるけど今回のリリースに関係あるのかっていう、そういうことを言い出したら時間がいくらあっても足りない。

久利
全体が見えてない人が口を出すと、状況が悪化するっていうヤツですね。
S木氏
そう。ホントの大事な論点じゃないことにこだわってると前に進まない。でもそういうところを突いてきちゃうヤツが多いんだよ。
M川氏
使えないマネージャーってのも困るよね。雑な仕様書渡しておいて、その流れ通りに作ったのに「これ仕様違うね」って。それはお前が伝えきれてなかったんだろ(笑)。そこからまた何度も手間がかかる。
K田氏
そういうの多いですよね、仕様書が適当すぎっていうの。一方的に投げておいて、わかって当たり前でしょみたいなパターン。
M川氏
マネージャーって現場を知らないのが多いからね。外注をとってくるのはいいんだけど、3日後リリースね、みたいな。
久利
そういうのはコミュニケーションで解決できないのかなあ?
K田氏
無理でしょうね。技術を理解していて、外部に対してバシッとモノを言える人じゃないと。
M川氏
「そんなの無理ですよ」って言ったら、「やる気見せてくださいよ」って返された時はもうホントにびっくりした(笑)。
S木氏
無理だって言うと、「××さんならできないですか」って(笑)。じゃあそいつに言えよって。
M川氏
無理なものは無理なんだって。誰ならできるとか、そういう話をしてるコストが無駄なんだよ!
久利
仕事のチームって技術者だけじゃないから、マネージャー、営業も含めて意識を共有できれば、無意味なデスマもなくなるかもしれないってことですね。
S木氏
そうそう。3日でやれって言われたって、そのかわりいくら貰うよっていうのがきちんと通じていれば、じゃあやってやるよってなる。時間的にはつらいけど、他社にまねできないことをやって自分たちの価値を高めようっていうことになるか、ただの無意味なデスマになるかは、そこが分かれ目なんじゃないかな。

3.悪いことばかりじゃないITエンジニアにとってのデスマーチ

きつい、苦しい、いいところナシのように思えるデスマーチだけれど、ITエンジニアにとっては悪いことばかりではないようだ。なんと経験のために上司がわざとデスマーチを作ることだってある!?

久利
このIT業界で、忙しくないところなんてないですよね。残業がないところに行きたいとか言う人もいるけど、そんなのあり得ないでしょう。
K田氏
アプリ開発で言えば、どんなアプリも最初に話があってからだいたい2週間でプロトタイプを必ず見せなきゃいけない。それができなきゃどうにもならないんですよ。
M川氏
やらなきゃいけないときはあるんだよね。
S木氏
とくに若いヤツは、デスマも何度も経験して、そこから色々なものを得られるってことをわかってほしいね。
K田氏
デスマだって、新しいことが身についたりするし、自分のためになる部分も大きいですよね。
M川氏
さっき話したみたいに、マネージャークラスがわかってないからデスマに陥るっていうパターンもあるけど、若いヤツをわざとデスマに落とすこともあるんですよ。

久利
え? わざと?
M川氏
そう。時間もあまり与えず、機能を盛りだくさんに作っておいたりしてやらせる。この状況でそれをどこまでやれるかを見るっていう。
久利
そういうこともあるんだ。
S木氏
追い込まないとやらない若いヤツも多いからね。
K田氏
ITエンジニアにはデスマはある意味必要かもしれない。デスマが終わった後、何かわからないけど、どこかの経験値が確実に上がってるんですよ。プログラムの楽な組み方とか、新しいことを覚えてたりとか。
S木氏
明日までに終わらないといけないというデスマのときに、不要な機能を削っていくことができないヤツはダメだと思うし、ここの部分は黙っておこうというコードを書けるのもITエンジニアとして必要な場合もある。
K田氏
だから決して無駄ではないと思いますね、デスマも。
久利
では逆に、デスマの中でいいこと、うれしいことってありますか?
K田氏
うーん、あると言えば、あるかな。色々調べながらやってて、ドキュメントもないところを突き進まなきゃいけないこともありますよね。英語やロシア語のドキュメントまで探し出してきても、それにも"これわからん"みたいに書いてあったりして。
S木氏
あるある。
K田氏
そういう、誰も答を見つけてないところを、自分の力で突き進んで解決したとき、これはうれしいですね。もう「勝ったぜ!」って叫びたくなる。
M川氏
でも、そのことを知っているメリットって、その一度だけなんだよね(笑)。
K田氏
ただ、今オレは世界のトップに立ってるって思える(笑)。
S木氏
僕の場合は、わからないところを検索してたら自分のブログが出てきたとき(笑)。すげー、昔のオレ天才って(笑)。これはけっこう感動モノ。
久利
地獄だとばかり思ってたデスマも、ITエンジニアにとってはプラス面も考えようによってはたくさんあるんですね。
一同
まあそういうことです!!

"デスマーチ"がお題ということで、苦労自慢の愚痴大会になるかと思いきや、むしろ肯定的な意見も多かったのが意外だった今回の座談会。デスマーチの正体がおぼろげながら見えてきて、回避する方法だって少しは見つかった気もする。とはいえ、実際にはデスマーチはなくならないだろうというのが今回の参加者たちの意見だ。精神的にはつらいけど、プラス面も多いし、よい経験として真っ向から立ち向かう、そんな姿勢がITエンジニアには求められているのかもしれない。

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