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エンジニアなう 今月のお題 ITエンジニアの理想と現実 恒例となった居酒屋での座談会シリーズ。今回も現役ITエンジニアに来てもらい、その経験や業界の内情を、アルコールの力も借りて暴露してもらうことにした。こういうことがやりたい、こんなものを作りたい、高い理想に燃えてITエンジニアを目指した人は少なくないだろう。はたしてITエンジニアになってみて、実際の現場の状況はどんなものだったのだろうか。やりたいことはできるのか、技術に見合う報酬は得られるのか。そんな「ITエンジニアの理想と現実」、アイムファクトリーの久利可奈恵を聞き手に、3人のITエンジニアに業界の内輪事情を赤裸々に語ってもらった。

1.会社ではやりたいことはできないと思え!

新しい技術を使いたい、こんなものを作りたい、ITエンジニアならそんな理想を持っていて当たり前。でも現実はどうだろう。のっけからギャップに直面したITエンジニアの悲痛な叫びが聞こえてきた......。

久利
本日のテーマは、「ITエンジニアの理想と現実」ということなんですが、やはり理想と現実の間にはギャップはありますか?
全員
そりゃありますよ。
久利
やはり、やりたいことが自由にできない?
K田氏
僕の場合は、個人で2〜3年やってきて、ある程度スキルもついてきたと思ったんですね。それで、今まで一人でやっていたことを、会社レベルでチームでやったときにどれだけのものが作れるのかなと。チャレンジの意味もあるし、もっと大きなことができるんじゃないかと思ってました。
久利
実際はどうでした?
K田氏
サーバー関係とか、まったく違う業務も多かったし、新卒ですぐできるような業務をわざわざ僕がやったりということも。結局、やりたいこと以外もかなりやりましたね。

S木氏
それはサラリーマンの宿命なのかな。サラリーマン的な部分とクリエイティビティとのバランスをどうとるかっていう。
M川氏
クリエイティビティを極められるなら貧乏でもいいかっていうと、それは究極の選択になるよね。
久利
必ずしもやりたいことでなくても、それをやることで、視野とか守備範囲が広がるっていうプラス面もあると思いますが。
K田氏
まあそれはありますね。でも、それで最新の技術に触れられるとかだったらいいんだけど。今、目の前のものができればいいっていう考え方も現場には根強くあるんですよ。
S木氏
僕は必ずしも最新のことに触れていなくてもいいかな。最新でないと思っていても、意外に幅があることも多いし、結局色々な技術全部にさわらなきゃいけないから。
M川氏
うん。狭い範囲の"やりたいこと"なんてあっても、結局色々やらなきゃいけないんだから、幅広く知っておかないとね。
K田氏
そうですね。ITエンジニアって、極端にいえばそれこそ接客も含めてなんでも全部やるわけだし、だからこそイチから全部やってみて、すべてのところをわかってないと。僕ここわかりません、じゃ話にならないことがある。
久利
結局、やりたいことはできないと?
M川氏
うん、できないと思ったほうがいいね。
K田氏
会社組織に入っちゃったらまずできないですね。
久利
それはお金貰うんだからしょうがないってことで、割り切るしかないのかな。
S木氏
そう。その立場で自分の理想が半分くらい実現できたらラッキーっていう。
M川氏
その前提で、それをいかに自分のフィールドに持ってくるかですね。
S木氏
やりたいことをできるだけのスキルとか実績がないから、っていうのもあるよね。実績のない若造が、「これやりたいです」って言ったってそんなの無理(笑)。今までこういうことをやってきました、これを作りましたっていうのを見せないと。
久利
やりたいことをやるためにも、自分のスキルは上げておかないといけないですね。
S木氏
そういうことですね。

2.ITエンジニアのゴールはお金じゃない?

やっぱり気になるのは、自分のやりたいことと、もらえるお金のバランス。どの業種、職種にも共通して存在するこの永遠のジレンマを、気鋭のITエンジニアたちはどう考えているのだろう? 「ゴールは金じゃない」とは言ってみてもやっぱり......?

久利
皆さんはソーシャルゲーム関連の開発経験をお持ちですが、この業界、やっぱりゲーム好きが多いんですか?
S木氏
うーん、そうでもない人もいるけど、やっぱり好きな人は多いんじゃないですかね。
K田氏
僕は正直、ゲームは好きなんですよ。ただゲームといっても、僕らはファミコン、スーファミとかを通過してきた世代なんで、ちゃんと作られてるものが好き、という感じで、ソーシャルゲームにはあまり興味ないんですよね。なんか成長できない気がして。
M川氏
ソシャゲーはお金出してキャラを成長させちゃったりするしねぇ。
K田氏
そうそう。それがちょっとね。スキルが伸びないと思うと、ちょっとやれないですねぇ。

M川氏
ただね、こういう仕事をしてるのに理由もなくソシャゲーが嫌いって公言する人はちょっとどうかと思いますね。たとえばPHP使いたくないとか、スキルとか技術がイヤだっていうならわかるんだけど、単に流行ってるものに対するアンチで嫌いって言ってるのはイヤだな。
久利
そういうアンチって最近ホントに多いんですよね。でもK田さんはアンチじゃなくて、純粋にゲームとしてソシャゲーがあまり面白くないわけでしょう?
K田氏
そうですね。ゲームの面白さって、数値化できないところにあると思うんですよね。
S木氏
逆に、ソシャゲーは数値化して見られて、目に見えてわかるものを集める。それは誰にでもできることだから流行ったと思いますね。だからちゃんと作るメーカーが本気出してきたら、できる人にしかできないゲームが作られる可能性もある。そうしたら、やる人が減っちゃうから流行らないかもしれない。
久利
ソシャゲーの面白さってたぶん、学校で授業中にこっそりやってたあの感じなのかな。
M川氏
そう、それそれ! そんなノリでいいんですよ。HTML5とか、技術なんていらない(笑)。流行るゲームを作るのと、クリエイティブな人材を集めるってことを一緒にしちゃうとダメなんですよ。
K田氏
そうするとサービスはどうでもよくて、HTML5がやりたいから応募するITエンジニアってのも出てきちゃう。技術を人集めのために使うのは違いますもんね。
久利
サービスの内容に興味もないのにRuby使ってるから行こうとか。「Rubyistになりたーい!」みたいな(笑)。
S木氏
それは痛い(笑)。
久利
結局、ITエンジニアとして目指すところって、どこなんでしょう?
K田氏
僕は技術も大事だけど、仕事というか、達成感をゴールだと思っていて。その達成感を得るためにはスキルがないとダメ。報酬がいくら高くても簡単にできたものからは達成感は得られなかったりしますね。
久利
わりと技術寄りの考え方ですね。
K田氏
そうですね。あれ、これってレアなケース?
M川氏
いやそんなことはないでしょう。そういうITエンジニアのほうが多いんじゃない?
S木氏
うん、ITエンジニアとしてのゴールは金じゃない。とはいうものの、やっぱりクリエイティブな部分と飯食ってくための部分は別だね。そこを切り分けないと、研究してても飯食えないっていうことになっちゃう。
K田氏
ゴールっていう話だと、僕は最近ゲームにこだわりはなくて、最終形はどうでもいいと思ってるんです。それよりユーザーにどんなサービスを提供するかってことが大事だと思うし、そういうことをもっと考えたい。
S木氏
あれ? なんか角度が変わってきてません?(笑)
M川氏
脱皮しようとしてるゾ(笑)。

3.一度は外の世界を見て来い!----転職のススメ

複数回の転職は当たり前のITエンジニアの世界。今日集まったITエンジニアたちも、すべて複数の転職経験を持つ猛者たちだけに、若い世代のITエンジニアにも転職を勧めるという。はたしてその真意はどこに?

久利
皆さん転職も経験されてますが、転職の際に重視するのは仕事の内容? それとも報酬ですか?
K田氏
僕はやりたいことが明確にありましたよ。やりたいことを試したいという思いが強かったから、仕事内容重視でした。
久利
でも、お金よりやりたいことを選んで失敗したっていう人もけっこういるんですよね。ITエンジニアってみんなやりたいことがある人ばかりだから。
K田氏
それはよくわかります。
M川氏
だからやりたいことはできないって(笑)。
S木氏
僕が言いたいのは、20代で一度外の世界を見て来いということですね。一度は転職して、色々な人、色々な環境を見て、それで考える。そうしたら二度目は何をやるかを明確にすることができるでしょう。

久利
コンサルタントという、支援する立場から言うと、一度つまづかないとわからない人も多いんですよね。体感しないと言われてもわからない。
S木氏
この業界、転職は一回じゃ終わらないよね。そう考えていた方がいい。僕らはモノ作ってナンボの仕事なんだし、ITエンジニアの一番の生きがいって、自分のソースがどこで動いているっていうことなんだよね。だから色々なところに行くべきだと思うし、その過程を経て、やりたいことのできる場所、自分にとって価値が高いところを目指すべきなんだと思うよ。
M川氏
でもそのためにはステップが必要でしょう。これを作った、あれをやりましたっていう実績というか。
S木氏
そうなんです。
久利
じゃあ、たとえば今転職を考えているITエンジニアにアドバイスするとしたら? どういう観点でどういうところを選べって言う?
S木氏
まあどれも一緒だってみんな思ってるよね。
K田氏
仕事内容は確かにどこでも変わらないんだと思いますけど。
久利
じゃあ一番お金くれるところっていうことに?
S木氏
まあそういうことになるのかなぁ。
M川氏
お金とやりたいことのバランス、自分にとってのちょうどいいバランスって、人それぞれだし、経験を積まないとわからないこともあるから。やりたいことはできないと割り切って、収入を重視するのも一つの手でしょうね。
S木氏
中身があまり変わらなくても、環境が変わって昇給のチャンスがある、と捉えればいいんじゃないですかね。

ゴールは金じゃない、と言い切りながらも、組織内ではやりたいことが思うようにできないという不満も噴出した今回の座談会。そんなジレンマに苦悶しながら、それでもスキルの向上に努め、やりたいことが存分にできる上のステージを目指すITエンジニアたち。それを可能にする精神力こそが、彼らの最大の武器なのかもしれない。

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