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エンジニアラボ Atrae 『Green』『JobShare』属人的なデータ分析からビッグデータ技術の活用へ 人材採用サービス最大のハードル
「高精度マッチング技術」への飽くなき挑戦 人材採用サービスにとって、最大かつ永遠のテーマとなるのが「高精度マッチング」。求職者である人と採用したい企業が、お互い理想の相手と出会えるようになるために、Web技術やノウハウを駆使してできることは何なのか?その理想を追求する取り組みについて今回、転職サイト『Green』ソーシャルリクルーティングサービス『JobShare』をケースに紹介したい。

株式会社アトラエ

2003年設立。当初は人材紹介や採用コンサルティング事業を中心に展開していたが2006年、業界初の成功報酬型転職サイト『Green』の立ち上げをきっかけに、リクルーティングWebサービス事業へ本格参入を開始。その後ビジネスマッチングプラットフォーム『ProFinder』、ソーシャルリクルーティングサービス『JobShare』といった新規サービスを企画開発・リリースすることで、人材サービス業界内で注目を集めるベンチャー企業として、成長を続けている。
2014年7月1日から本格的にネット企業としてグローバルに飛躍することを志し、事業拡張をしていきたいという決意から新オフィスへ移転、Atraeとしてスタートしました。

株式会社アトラエ
取締役 兼 プログラマ 岡利幸氏 (右)
2007年新卒入社。入社前からインターンとして創業期の同社で営業として活躍。『Green』リリース後も新規開拓営業を3年半程度経験後、本人の意思で開発側にジョブチェンジ。『Green』の機能改善やレコメンド・マッチング技術の企画・開発や『JobShare』等新規事業の立ち上げ等に関わる。現在は『JobShare』を中心とした新規事業の開発責任者として活躍中。

System Div
森山雄貴氏 (左)
2012年新卒入社。組織の在り方や価値観、仕事を楽しむ前向きな社風に魅力を感じて、同社に入社。その後『Green』開発エンジニアとして活躍中。

「高コスト」「採用難」これまでの人材紹介と転職サイトが持つ
デメリットを解消するために生まれた『Green』

2006年に誕生した転職サイト『Green』が、従来の転職サイトに比べて画期的だったのは、業界初となる成功報酬型のサービスであったこと。現在、一般的に広く普及していることからも、同社に先見の明があったことは証明されているといえよう。当時、『Green』が誕生した経緯について岡氏は、「人材紹介と転職サイトの"いい部分"を組み合わせたことが、成功報酬型に行き着いた理由」と語る。

「当時、人材紹介や転職サイトを企業側が活用しようとする場合、ネックになったのはコストが高く、その割には理想の採用がなかなか実現しない点でした。そこで私たちは、採用に成功した時点で報酬を得る転職サイトを実現しようと考えたのです。また求職者側にとっても、一人ひとりが理想の企業にすぐ巡り合えるようにレコメンド機能を持たせる等、どちらかというと転職サイトではなく、『Amazon』に代表される、世界的ネットサービスを参考に開発しました」

属人的な開発からスタート。
すべてのユーザーのDBが、開発者の頭の中に

働く人達にとって働きやすい、居心地の良い空間を第一優先とした新オフィス
フリースペースには、社内でパーティーやちょっとした飲み会もできるようにバーカウンターもある

このように求人企業側、求職者側双方に対して公平なメリットをもたらす仕組みを企画し、リリースされた『Green』であったが、スタート当時~ほんの2~3年前までは、かなり人的パワーに頼った開発によって動いていたという。
「特にスタート時はユーザー数も少なかったため、開発者が『Green』を利用するユーザーほぼすべてのスキルや行動特性・志向をしっかり把握していました(笑)。その上で、採用企業のニーズを把握し、効果的な打ち出し方やメルマガ等による、ターゲットを絞った応募促進を地道に行っていましたね」(岡氏)
当時、開発者は社員ではたった一人、外注メンバーを含めても2名しかいない状況だったことを考慮すれば、開発リソースが限られていることは容易に想像できる。
その中で知恵を絞って、一人ひとりのユーザーの行動履歴や登録されたプロファイル情報を地道に分析。頭の中でコピーされるほど完璧に覚え、マッチング精度の向上につなげていく行為・姿勢は開発者として、共感できる点も多いのでないだろうか。

2年前、ビッグデータが蓄積してきたタイミングで、
マッチング技術開発の新たなステージへ移行

新オフィスにはオープンなミーティングができる芝生スペース
リラックスしながらのミーティングで、斬新なアイデアが浮かびそう

属人的な開発に大きな変化が生じたのは、今から約2年前。
リリース時からリーマンショックによる不況の影響を乗り越えながら、ユーザー数・掲載社数を増やし続けてきたことによって、社内DBにこれまで培った膨大なデータが蓄積されてきた。このデータを積極的に活用することで、より高精度なマッチング技術を追求するタイミングが来たと判断。ビッグデータ活用のトレンドと共に、そこからデータの抽出・分析による新機能・サービスの開発を一気に進めていくことになる。
その一つが「気になる」という機能。今でこそ人材業界だけでなく、主要なWebサービスに搭載されているが当時、転職サイトでこの機能を搭載したのはほぼ、『Green』が初。
そこには、応募者側・採用企業側双方の『無駄な行為』を減少させることに目標が置かれていた。

「求職者側の立場に立ってみると、せっかく応募したのに断られるのは嫌ですよね。ただ企業側が求める人物像の真意を推し量ることは難しく、無駄になってしまうかもしれなくても応募せざるをえない。一方、企業側にとってもターゲットから大きく外れた求職者から応募があっても、採用には至らず、断りの連絡をすることになる。この両者のムダを極力減らすために、応募前の段階で求職者と採用企業の双方への興味を簡単に示すことができれば、書類選考や面接の前段階である程度、両者のマッチング精度を高めることができると考えたわけです」(岡氏)

そしてさらにマッチング精度を高めるためにもうひとつ、追加開発された機能が「話を聞いてみたい」というもの。その開発理由について、同じ開発メンバーの森山氏はこのように語る。
「"気になる"機能のリリースで、ある程度お互いの思いを可視化することはできたのですが、実は"その次の段階"へ両者がなかなか進まないケースが出てきました。特に企業側からすれば、気になるという応募者のモチベーションがどれほど高いのかがわからない。仮にそれほど高くない場合、必要以上に企業側から連絡を取ろうとすると、嫌がられる可能性もあります。
そこで"いきなり応募するわけではないけれど、とりあえず話は聞いてみたい"という、求職者側の深層心理をわかりやすく表現することによって、企業側の背中を押しやすくするようにしたのです」

ちなみにこうした機能開発には、これまで蓄積された膨大なユーザーデータや行動履歴、ユーザーや企業からのアンケートなどが生かされている。

データを超えたマッチングを実現するために生まれた
新しい採用のカタチ『JobShare』

こうした新機能の相次ぐリリースによって、明らかに『Green』のマッチング精度は目に見える形となって高まった。
現在のユーザー数は約32万人、毎月数千人規模で増加中。
企業側のレジュメ閲覧数は、昨年に比べて倍増。
応募者の選考書類通過率は、1年前に比べて約162%増を達成。
そのほか内定率や採用実績数も、飛躍的に上がっているという。
その一方で、新たな取り組みを始めた。それがソーシャルリクルーティングサービス『JobShare』だ。

JobShareは、facebookやlinkeinなどのSNSのソーシャルデータを活用し、Greenでは分からない企業の中の人の情報や、自分とその企業の共通の友達などが分かる求人のプラットフォームになっている。
人のつながりが分かるだけでなく、求人企業を良く知る周りの友人たちがその企業を応援するために、コメント付きでSNS上にシェアをしていき、そのシェアコメントが企業の口コミのような情報として蓄積していくことにより、その企業が周りからどのような評価をされている企業なのかを、JobShare上の求人ページを見るだけで判断できる。

「今までの求人サイトでは実現できない特徴のあるJobShareだが、表に出ているサービスとしては今のところ求人サイトの域は出ていません。
ただ、JobShareには既に数百万人規模のソーシャルデータが蓄積されており、このデータを解析することによって分かることは非常に多いんですよ。」(岡氏)

日本のfacebookのユーザー数が2000万人強であることを考えれば、JobShareが活用できるデータの規模の大きさがお分かりいただけるだろう。

「採用活動は、未だに非効率な方法で行われていることが多く、会わなければ分からないことや、お互いに真実の情報が表に出にくいことなど、課題は多い。
私たちは、人間の人生のかなりの部分を占める「仕事」という領域の課題を、人と企業に紐づいた大量のデータを活用して解決することにチャレンジしています。
人も企業(採用ニーズ)も流れの早い変数なので、技術者としての探究心をくすぐられる領域ですね。
(岡氏)

今後もこうした取り組みを継続することで、「人対企業の理想のマッチング」を追求していくという。
そして2年後をめざし、これまで培ったマッチング技術を活用して億単位のユーザーに利用されるWebサービスを創出するためのチャレンジがもうすでに始まっている。

編集後記

数ある転職サイトの中でも、特にITやWeb系の人材にフォーカスし、なおかつ業界初の成果報酬型としてリリースされた『Green』は、今でこそ広く知られたサービスだ。しかし驚いたのはほんの2年前まで、ほぼ人力でDB分析~高精度マッチングに挑戦していたこと。しかしそうしたアナログ的かつ地道な行為によって、有益なDBが蓄積されたことが、その後のマッチング率向上に結び付いた。
今後も、果てしなく続くマッチング精度の向上に対する同社の飽くなき挑戦に、注視していきたい。

ITエンジニア担当
袖山亜希子

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