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IT/Webエンジニア1000人調査レポート

Vol.4

ニッポンのIT/Webエンジニア業界の将来にモノ申す!

構成 エンジニアファクトリー山田

前回に引き続き、全国25歳~44歳までのIT/Web系エンジニア1000名に対してアンケート調査を行った結果をレポートする第4弾。最終回の今回は、エンジニア1000名が考える、今後のエンジニア業界改善・発展のための提言についてご紹介したい。

今回実施したアンケートの概要

「今どきエンジニアは、果たしてどのような環境でどんな思いを抱きながら仕事をしているのか?」

こうした純粋な疑問を追求するべく今回、エンジニアファクトリー編集部では全国に在住する25歳~44歳までのIT/Webエンジニア1000名に対して、インターネットによるアンケート調査を実施した(2015年4月下旬実施)。

25~44歳と言えば、新卒入社~エンジニアデビューして2~3年目の若手から中堅。

さらにPMやコンサルタントになったり、またスピンアウトして起業したりと、多様なキャリアを選択し、各分野の第一線で活躍することで日本のモノづくりやシステム・アプリ開発の中軸を担っている方まで「現代日本の主役エンジニア」である。

今回、こうした主役世代にターゲットを絞ることによって、今どきエンジニアが普段考えている様々な心の内を明らかにしていきたいと考えた。

25歳~29歳(レポート内では「20代後半」と表記)

30歳~34歳(レポート内では「30代前半」と表記)

35歳~39歳(レポート内では「30代後半」と表記)

40歳~44歳(レポート内では「40代後半」と表記)

また今回、上記4つの世代で区切って、それぞれ250名ずつ、計1000名の構成で調査した。

また具体的な職種割合に関しては、以下のグラフの通り。

【調査対象エンジニアの具体的な職種割合】

【調査対象エンジニアの具体的な職種割合】

IT/Webエンジニア1000人が切望する、エンジニア業界・未来への提言とは?

今回実施したアンケート調査の最後のテーマは「今後もエンジニアが生き生きと活躍し続けるために、真っ先に改善してほしい点」について、エンジニア1000人から様々な意見を頂いた。

その中身を分析していくと、『評価待遇』『労働時間&ワークスタイル』『仕事内容』『教育』等、大きく4つのジャンルに集約される。

その一つ一つの提言内容について、紹介していきたい。

【改善テーマその1:評価待遇】●●と比較して明らかに給与・評価が…

「アメリカと比べて」「営業と比べて」といったように「何かと比較した場合、日本の技術者全般の社会的地位や具体的な評価・待遇が明らかに低い」といった根強い不満を持つ声が多く寄せられた。

(エンジニア1000人からの声)

海外のようにエンジニアが「職人」としてまだまだ認められていないこと(コンサルタント/41歳)
アメリカと同等の給与&イノベーションの元となるプロダクトを生み出すのはエンジニアだという認識を高める(コンサルタント/26歳)
開発業務の人月換算は難しい(Webシステム開発/44歳)
営業やプリセールスとの対等の関係を保持してほしい(Webシステム開発/34歳)
技術の価値を広める。無形のものは低く評価されがちで、その価値がどれほどの可能性を秘めているのか、という認識のギャップが世間とIT業界で開きすぎている(Webシステム開発/30歳)
ソフトの価値観を見直す。ハードは具体的金額を提示しやすい一方、ソフトの費用の妥当性を判断できる人が少ない(制御系システム開発/42歳)
常駐する客先の理解。疎外感を感じることが多い(運用保守/37歳)
「特別な技術を持っている」という観点からの収入アップ(運用保守/29歳)
特許に対する対価をもっと増やすべき。海外に比べ日本のエンジニアに対する待遇は低すぎる(研究/30歳)
モノづくりをしている人間がきちんと評価される社会の育成(研究/29歳)
営業と対等以上の立場。さらに会社に貢献したエンジニアにはそれなりのインセンティブを与える制度を作るべき(研究/28歳)
弁護士・公務員・医師に比べ社会に貢献している(スマートフォンや自動車、各種家電製品開発によって世の中が便利に)のに対して、平均給与が少ない(研究/26歳)

その中で、特にソフトウェアを中心とした「無形技術の価値」に対する評価基準を明確にすることでエンジニアの待遇改善を図っていくべき、という意見も。

日本のエンジニアが過去~現在に渡り、世の中の社会インフラや日常生活の劇的向上に対してどれだけの貢献をしてきたのか?

今一度、社会全体で深く検証し、エンジニアに対する価値観を考え直す必要がありそうだ。

【改善テーマその2:労働時間ワークスタイル】組織にはびこる過酷な労働環境の実態

この項目で特に目についたのは、「過酷な労働環境」に悩まされている人が少ないという点。長年、エンジニア業界にはびこっている「長時間残業や深夜勤務の強制」「残業代を支払わない」といった「会社・組織全体における劣悪な労働環境」の改善を切望するケースが多い。

(エンジニア1000人からの声)

残業することが当たり前の風潮を変える(コンサルタント/34歳)
深夜時間帯の作業の撤廃(Webシステム開発/32歳)
人事が今後のキャリアパスや配属先を考えるのでなく、本人がある程度選択できる環境を作ってほしい。そうでないとモチベーションを維持するのは難しい(コンサルタント/26歳)
縦割りにしすぎず、PM/PLを兼ねたSEの割合を増やすべき(Webシステム開発/42歳)
中小企業であっても子育て中の女性が働きやすい制度を早急に整えてほしい(Webシステム開発/36歳)
ある程度の年齢になると、マネジメントへ進まざるをえない。スペシャリストへの方向性を後押しする環境が必要(Webシステム開発/42歳)
在宅でできる仕事を増やしたい(Webシステム開発/31歳)
労基法で法定労働時間を週35時間に引き下げ、時間外賃金未払いの厳罰化の徹底によって長時間労働を労働者も事業者も忌避するような仕組みに(Webシステム開発/30歳)
裁量労働制だと割に合わない。残業を含めた労働時間管理にすべき(汎用機系システム開発/41歳)
技術系の幹部・経営者が増えること(制御系システム開発/37歳)
「IT土方」と言われないような制度・待遇・環境の改善(運用保守/42歳)
ベンチャーキャピタルを充実させるなどして、起業しやすい土壌を作る(品質管理/38歳)
エンジニア女性も、事務やサービス業の女性によくあるような短時間でパート労働できる環境を増やしてほしい(品質管理/29歳)

このような積年の課題に対し「法整備の強化」や「柔軟なワークスタイルの導入」によってエンジニア自身が自由に自分のマッチした働き方を選択できるように改善してほしい、という声が大きかった。

【改善テーマその3:仕事内容】理想と現実を常にコントロールできるプロジェクトに

顧客からの無理な要求(短納期・低コストで高品質)と、それを受注したことによって生じる無理な開発。その結果、理想の開発ができず、現場は疲弊し、リリース前後のトラブル頻発によるプロジェクト炎上…。

こうした負の連鎖を断ち切るために、現場のエンジニアからは以下のような要望や提案が寄せられた。

(エンジニア1000人からの声)

何でもかんでもオフショアという方針をやめる(Webシステム開発/30歳)
オフショア開発が増えると若手&未経験エンジニアの活躍の場がなくなる。さらに品質担保などのフォローが大変なのでやめるべき(パッケージ開発/31歳)
技術の進歩に顧客が追い付いていない。エンジニアはそれを理解して顧客に話さなければならないし、顧客も理解しようとする姿勢が必要(Webシステム開発/34歳)
サービス残業ゼロ&仕様変更に対して必ずお金を取る(Webシステム開発/42歳)
コスト・納期にとらわれず、自分が思う開発ができる環境。その中でプロトができ次第、コストや納期を検討(汎用機系システム開発/44歳)
短納期対応による社員の疲弊及び開発不足によるバグがあるため、リスクを加味した上で受注し、納期や仕様変更をしてほしい(運用保守/41歳)
ドキュメント重視から技術重視へ。エスカレーションの改善(夜間、PMをたたき起こして報告する等)。運用から開発へのキャリアパスを広げる。要求爆発を防ぐ。過剰なサービスの提供を減らす(運用保守/39歳)
「エンジニアとは○○」という思い込みや先入観で仕事を依頼するスタイルをなくす(品質管理/25歳)

このように顧客や営業、経営者等エンジニアを取り巻くそれぞれの立場が「技術開発に対する正しい認識」を改めることが何より重要だと、多くのエンジニアたちは口を揃える。

確かにコストや納期も重要だが、目的の本質は質の高いサービスを生み出すための開発であり、その原点に立ち返ることが今求められているようだ。

【改善テーマその4:教育】学生時代から優秀なエンジニアを育成するプログラムの充実を!

これからのエンジニア業界を担うのは、まさに今後エンジニアとなって活躍する若い人たち。彼らに対して「早い段階から質の高い教育を提供すべき!」との意見が非常に多く見受けられた。

(エンジニア1000人からの声)

コミュニケーション下手な人が多すぎるので、その辺の研修を強化してほしい(コンサルタント/38歳)
自分で考え、自分で行動できる能力の育成。大半の人間が持ち合わせていない(Webシステム開発/40歳)
学校のIT授業の改善。触って作って壊して、実技をしないと成長しない(Webシステム開発/30歳)
すべてのソフトウェアが万能でないと意識し、成人になったら否応なしにプログラミングさせるよう義務づけるべき(制御系システム開発/31歳)
免許制を導入してスキルの低いエンジニアを減らす(ネットワーク設計構築/40歳)
中学生からコンピュータ学科を標準科目として導入してほしい。ただし2進数等からの基礎的なことから教えてほしい(ネットワーク設計構築/44歳)
システム全体を把握している人が少なくトラブル発生時、解決に時間がかかる。そのためチームをまとめるマネジャーの育成が必須(運用保守/42歳)
組込みソフトなど日本の競争力が低い分野での専門教育の充実(研究/32歳)
理科・数学・技術系教師のレベルアップ(研究/38歳)
作業に徹し、疲弊している現場のエンジニアのモチベーションや生産性アップのためのマネジャー&プロジェクトリーダーの育成(品質管理/38歳)

上記コメントのように、その内容はプログラミング等の技術領域だけにとどまらず「マネジメント力」「コミュニケーション力」「自ら考え、行動できる力」といった、ビジネス&ヒューマンスキルの領域まで及ぶ。

つまり優秀なエンジニアとは、技術だけではない、総合力を兼ね備えた人物であるということであり、そうした人材を育成するための教育に注力していく必要がありそうだ。

まとめ

ここでは紹介しきれなったコメントもたくさんあったものの、総じて言えるのは「エンジニアを取り巻く人・環境・社会が、もっとエンジニアに対する理解を深めてほしい」という点。

少なくとも今回のアンケート調査結果から見える限りにおいては、日本のエンジニアはまだまだ自分自身の活躍や要望にマッチした評価や待遇、環境が十分整っていないと考えている。

今後、日本が継続して発展していくためには、エンジニアの活躍が必要不可欠であるのは間違いない。だからこそ、エンジニアを取り巻く様々な課題解決のための施策を矢継ぎ早に実施していく必要がある。

エンジニアファクトリーでは今回のアンケート結果をベースに、さらにその真相や改善のヒントとなるようなテーマを継続して探っていき、随時レポートしたいと思う。

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