日本ばかりか、世界中の子供たちの心をとらえて離さないゲーム「ポケットモンスター」。そのすべてを手がけているのがゲームフリークだ。
他社では類を見ないほど大勢のユーザーを対象としてゲームづくりに取り組むエンジニア・大野克己氏に話を聞いた。
(インタビュー 袖山 亜希子 構成/撮影 増田 千穂 )

家庭用ゲーム機として一世を風靡した任天堂のファミリーコンピュータ。その黎明期からゲームに注目している長年のゲームファンにとって、ゲームフリークという企業は伝説的な存在だ。手作りのゲーム攻略情報誌制作からスタートし、企業として革新的なゲームの提供に取り組む存在へと成長した同社は、現在「ポケットモンスター」という巨大コンテンツの開発を中心に事業を展開している。
- 袖山
- ゲームフリークといえば「ポケモン」の会社、というイメージでしたが、実はマニアックなゲームユーザーには伝説的な会社だそうですね。大野さんはそういう所に魅力を感じて入社されたのですか?
- 大野
- 私の場合は、子供向けに大人気のゲームを作っている会社、という程度の知識しかありませんでしたね。
私はゲームフリークが5社目で、割と転職回数が多いんですよ。コンシューマー向けのゲーム会社は3社目ですが、ここはとても働きやすいというか、やりがいのある会社です。任せてもらえることも多いし、メンバー全員がクリエイティブで刺激的です。子供向けというのも外から見た誤解で、社内では子供に向けて作っているのではなくて、世の中全員に向けてゲームを作っているんだ、とよく言っています。
- 袖山
- 経営層のみなさんも、クリエイターとして独立した方ばかりなわけですよね。とても魅力的な職場に思えます。大野さんのお仕事はどんなものですか?
- 大野
- 私は通信系が専門なので、開発が始まれば通信関連の部分を担当します。でも今はプロジェクトを円滑に回すのが仕事という感じですね。
ちょうど今は、新しいハードウェアも出てきましたので、その特性や技術をしっかりと把握し、どう自社のゲームに活かすかという研究を行っています。
ウチはマネジメントと現場は分かれていなくて、全員が開発に取り組むんです。だから私も、今はマネジメントに比重がありますが、開発が始まれば開発にまっしぐらですよ。
- 袖山
- では、ベテランになると仕事の内容が変わるのではなく、背負うものが増えていく感じでしょうか。開発を担当しながらマネジメントもして、という感じで。大野さんは、将来的にも現場での開発は続けたいと考えますか?
- 大野
- もちろん! ゲームも大好きだし、作るのも好きですから、それはなくしたくないですね。

株式会社ゲームフリーク 大野 克己氏
開発部 プログラマー ネットワーク業務グループ
1996年の1作目発売以来、人気の衰えを見せない「ポケモン」。任天堂のゲームというイメージも強いが、実は企画・開発のすべてをゲームフリークが担当している。近年はポケモンシリーズの開発に専念してきたが、今は新たな遊びを世界へ送り出す準備期間に入っているという。
- 袖山
- クリエイティブな空気が強いということですが、それは「ポケモン」の開発においてでしょうか。
- 大野
- 当然ポケモンの話もありますが、今は新たな遊びを開発しようという流れが社内にあるので、そちらの話も多いですね。
元々ゲームフリークは「ポケモン」以外のテレビゲームも色々と開発していた会社なんです。ただ、大ヒットした結果、4~5年ほど前まではこのシリーズの開発等で手一杯という状態になりました。ただ、それだけでは終わりたくないという想いが全社的にあります。最近は、また新しく面白いことをやろう!という勢いがありますね。 - 袖山
- やはり、あれほどのユーザー数のゲームとなると、開発は大変でしょうね。
- 大野
- 開発の厳しさはかなりのものですよ。ユーザー数が多いですから、小さなバグを残したとしても、その対応は大変な手間になるので、事前にきっちりと穴はふさぐわけです。
私が過去にいたゲーム会社ではリリース直前まで新要素を追加したりしていましたが、ポケモンシリーズではもっと手前でしっかりと作り上げて、最後は問題点のチェックに注力する感じです。
- 袖山
- なるほど、厳しいですね。でもその体制があるからこそ、クオリティの高いゲームが送り出せるわけですよね。
そんなゲームフリークが次に送り出すゲームって、どんなものですか?

昔からゲームが大好きだったという大野氏。「ポケ
モン」に続く人気作品を目指す。

ゲーム好きにはたまらないアイテムの数々が飾られているミーティングルーム。
- 大野
- まだまだ準備段階ですから、内容的にお話できるものはないんですが......今は面白いと思ったことをどんどん提案したり、試作したりしている段階ですね。
ウチはスゴイですよ! 経営層もクリエイターだから、こういうのがおもしろいと思う、と提案すると、「それはどういう風におもしろいんだ?」と開発やユーザーの目線でぐっと踏み込んだ質問がすぐに返ってきます。
今までは「ポケモン」という基盤の上で自分たちのやりたいことをやる感じでしたが、そこから飛び出して別のものを作る機会ができた感じですね。 - 袖山
- 「ポケモン」だけの会社じゃなくなるのですね。
- 大野
- そうなりますね。やりたいことを考えて、実現できる制度がありますから。偉い人もみんなクリエイターだから、プレゼンするチャンスもたくさんありますよ。中には絵も自分で描いて、音も自分でつけて、1人で試作ゲームを作ってしまう人間もいるんですよ。社内のエンジニアはみんな心強い味方であり、仲間であり、ライバルです。新たに入られる方にも、相応の技術と共にやる気のある人を求めています。
新たな取り組みをはじめているゲームフリークでは、同社の今後を支える人材も求めている。開発の現場を知る立場から人事にも携わる大野氏も面接を行うなど、即戦力で活躍してくれる若い力を募集中だ。
- 袖山
- 大野さんは、開発だけでなく採用にも関わられているんですよね?
- 大野
- はい。現場担当者として面接などもしています。求めているのは、エネルギッシュで、やりたいことがはっきりある人かな。ゲームが好きっていうのは最低条件。好きじゃないと絶対いいものは作れませんから。
- 袖山
- ゲームが好きな人はたくさんいるし、ゲームづくりをしたい人もたくさんいると思うんですが、募集するといい人材はすぐ見つかりますか?
- 大野
- なかなか難しいですね。ゲームは好きだし開発もしたいけれど、やりたいことがないという人もいますから。指示してくれればがんばりますとか、すごいゲームを開発する一員になりたいですとかでは困ります。
どうせなら趣味で開発したゲームや、自分が作りたいゲームの企画書なんかを持って暑苦しく語ってくれるくらいの方がいいですね。私たちが「まあまあ落ち着いて」なんて言う位の。やる気は教えられないですから。

ゲーム会社とは思えないほど洗練されたエントランス。
想像力が膨らむスペースのひとつ。
- 袖山
- なるほど。大野さんのやる気の源みたいなのはどこにあるのでしょう?
- 大野
- どうかな......子供っぽいかもしれないけど、喜ばれるのが嬉しいんですよね。特に「ポケモン」はユーザーが集まるイベントもあるんですけど、実際に遊んでくれているのを見られるのはすごくいい。
実は私は3人の子供がいます。中学生の女の子と、小学2年生と保育園の男の子。子供たちが遊んでくれるのを見るのも楽しいですね。うまく遊んでくれているかな、と気にしています。 - 袖山
- それは達成感がありそうですね。大野さんのように、夢中になってゲーム開発に取り組める人材を、アイム・ファクトリーからもご紹介したいと思います。新しいゲームや新作の「ポケモン」も楽しみにしています。

アイム・ファクトリー
取締役 袖山亜希子
●プロフィール
大野 克己(おおの かつみ)
- キャリア:
- 教育系大学で学ぶ中で「何か手に職をつけよう」と決意
→好きなゲーム作りに携わりたいと考えるが、とりあえずは組み込み系エンジニアとして就職
→2度目の転職でゲーム業界へ
→ゲーム業界3社目にしてゲームフリークに入社 - お気に入り技術:
- 通信技術全般。ゲームで世界を繋げたい。
- 座右の銘:
- 「きちんと作る」。若い頃の「先んずれば人を制す」から考えが変わった。
- 自分を動物にたとえると?:
- マルマイン
- 休日の過ごし方は?:
- 子供と公園に行ったり、比較的子供に合わせて行動。
●会社プロフィール
株式会社ゲームフリーク
現在の代表取締役社長である田尻智氏が、手作りしていたゲーム情報同人誌発行サークル「ゲームフリーク」からスタートした、ゲーム開発会社。ファミリーコンピュータのゲーム開発から始まり、委託開発なども経て1996年に送り出した「ポケットモンスター 赤・緑」が大ヒット。世界中で愛される「ポケモンシリーズ」の開発会社となる。






