
エンジニアなう「実録!地獄のデスマーチ」
「デスマーチ」と聞いて意味のわからないエンジニアはいない。 エンジニアでなくとも、なんだか不吉な予感は感じ取れるはず 工ンジニアにとっての地獄であり、ちょっとハイなムードも持っ た言 「デスマーチ」。 終わりの見えない長時間残業、いつ休んだのか思い出せないほ ど連続する休日出勤。家は寝に帰る場所? なんて賛沢な! 俺この前帰ったのいつだっけ... ?なんていう状態が「よくあ る話」になっているのがIT業界の実態だ。 今回は3人のエンジニアに、予算も人も時間も足りない「デス マーチ」の経験を語ってもらおう。
イベントレポート
エンジニアの不幸自慢といえば、デスマーチ語りだ。今回は31歳のPMであるM永さんに、38歳のSEであるS藤さんという既婚男性2人の他に、28歳の独身女性SEであるH山さんも参加。ほどよく飲んで、気持ちがほぐれたところで、開き直ったデスマーチ語りをしてもらった。









- うちはシンプルに、クライアントである大手企業にいい顔しすぎちゃったって感じですね。会社としては「ここで実績をつければ今後の売上に大きく貢献できるぞ」って考えるわけですよ。上がそういう判断で「赤字でもいいからやれ」と。これが始まりですね。
- ありますねー、そういうの。上はヤレって言うだけだからいいけど、現場は死にそうだぞ、みたいな(苦笑)。
- いい顔しすぎって言えば、私のもそうですね。普通に考えて半年かかる案件なのに、営業が「3ヶ月でできます!」とか言っちゃうんですよ。請けちゃったからにはやれ、と。
- ああ、あるある!(笑)
- 僕も似たようなものですね。最初から人も予算も時間も足りないのがわかっているプロジェクトで、これデスマーチになるの最初から決まってるよね、という。しかも僕がPMだっていう。たまりませんでしたね。
- 皆さん、うなずきすぎです!(笑)。
- トラブルがあったとかじゃないあたりが、また笑うしかないというか、哀しいというか......。
デスマーチの辛さは、単純な肉体的な辛さではない。いつ終わるともしれないプロジェクトに精神的にも疲れ果て、生産性も落ち、これでいいわけがないと思いながらも脱却できないまま続けるしかない辛さなのだ。
そんな極限状態の中の辛いことは、と問うとかなり切実な声が聞こえてきた。
- 避けて通れない状況でデスマってる様子が見えてきたわけですが、実際にデスマーチ中ってどれくらい帰れないんですか?
- 帰れない前提の話きた(笑)。実際はそんな長期間じゃないですよ、せいぜい3日くらいかな。
- いいなあ。私は2週間くらい帰れないこともザラでしたね。ぼろぼろですよ。
- そうですよね......なにしろ400時間の月もあれば、月のうち家ですごす時間の方がずっと短いという。
- 私は1週間くらいかな。最中は夢中でなんとかしちゃうんだけど、今考えてみると結構キツいですね(苦笑)。
- 女性が1週間帰れないとか、普通に考えてナシなんですが......ところで、帰れない中でどうやって仮眠とってましたか? よくダンボールが活躍すると聞きますが(笑)。
- 定番ですね、ダンボール。敷くだけで全然違う。
- 私は椅子ですね。3つ並べて寝ると、結構快適なんですよ。3つ確保するのに一生懸命(笑)。
- 事務椅子ですか? キャスターついてて、転げ落ちたりしません?
- プロは落ちない(笑)。実はキャスターつきだと体の動きに合わせてくれるから、かなりぐっすり眠れるんですよ。オススメ!
- へぇ。今度試してみよう。
- 試す機会がないといいですね......H山さんは、女子的な工夫とかありますか?
- 寝方にはこだわりないですね。寝られればいいっていう(笑)。私のこだわりはお風呂かな。さっき話したデスマーチの時は、現場の近くに銭湯があったんですよ。現場では女を捨てて!って感じなんですけど、やっぱりお風呂は捨てられない。銭湯のおかげでなんとか耐えられたって感じですね。
- 風呂か! さすが女性......って言うところ?(笑)
- うん、清潔が大事なのは女子力でしょう。ところで、寝られない、お風呂入れない以外で辛いことって何でしょう?
- 単純に疲労はすごいですよね。仕事帰りに何度も駅のホームで線路側に吸い込まれそうに......。
- うわあ!帰れるのはいいけど、帰り中に事故にあったらシャレにならないですよ!
- まったくですね。今でこそ笑い話ですけど、当時は「がんばって家に帰れば眠れる!」と心の中で唱えながら気合いで何とか帰り着いてました。
- 出勤する時は、逆に行きたくなくていろいろ考えちゃったりしました?
- それがですね、やらなきゃいけないことがありすぎてそんなこと考えている余裕もなかったですよ。逆にそれに救われたっていう(笑
正直、デスマーチで体を壊しましたし、心も病んでたと思いますよ。今ではだいぶマシになったとはいえ未だに当時の夢をみて飛び起きることもありますしね。 - そう考えると帰らないで現場で寝てる方がいいのかな。私は家でのエピソードですけど、休日の朝に妻から「たまの休みくらいゆっくり寝させて!」と言われてしまったのが辛かったかな(苦笑)。
- それってどういう状況だったんですか?
- たまに帰れた日に、寝て起きたら食べるものがなかったんですよ。軽い気持ちで寝ている妻に「メシがないよ」って言ったら、って感じです。正直、こっちの方が休んでないんですけどー!って言いそうになりました。
- あはは......あまりにも家を空けすぎていない存在になってたんじゃないですかね、
- まあそんなところはあると思います。
- 私はお2人みたいに、命とか家庭とかをなくしかかったほどの事件はないですよ。ただひたすら、忙しい忙しいっていう感じで追い詰められていただけかな。
- その追い詰められ感が強くなると病んじゃうんですよ。若いからってムリしちゃダメだよ。
- PM、女子には優しい~(笑)。
- いやでも、本当にムリのしすぎはダメですよ。ムリしないでいられないのがデスマーチなわけですが。そんなキツイ経験を経て得たものってありますか?
- 僕の場合は、今の会社に転職できたのは例のデスマーチのおかげみたいなものかな。キツいプロジェクトを乗り越えた経験と自信が、転職に役立ちましたね。
- 私は今のところ、けっこうキツい状態も根性と気合いで乗り切れるって実感したくらいかなあ。
- たしかに、なんとかなるっていう手応えみたいなものはありますけど、M永さんみたいにはっきりした結果にはつながってないですね。私もいつか、あの経験のおかげで、なんて言えるようになるのかな?
袖山と石塚もこれまで出会ったエンジニアから手に入れた泣き笑いエピソードを手に参戦するも、プチデスマーチの経験まで含めると、3人の話は止まらない。今となっては酒の肴にできるようになったとはいえ、身も心も削られるデスマーチを経験しながら、IT業界を去らなかった理由はどこにあるのだろうか?
- デスマーチはIT業界名物ともいえる状態で、ぶっちゃけた話、転職しても時期が変わってもデスマーチ突入の危機は身近にあるわけですよね。IT業界を脱出しようとは思わなかったんですか?
- 1人であんなことやらされてたら辞めたでしょうね。周りに同じ立場の仲間がいたから、なんとかやれたんだと思います。
- 1人じゃない、っていうのは大事ですね。仲間がいるからこそ乗り越えられるというのは私も同感です。それに、辛いプロジェクトを共にすると「戦友」みたいな深いつきあいができる気がします。
- 同じ釜の飯を食った仲間、みたいな感じですか?
- そうですね。ある意味部活でものすごくキツい合宿をしているような感じじゃないかな(笑)。体力的にも精神的にもキツくて、最中には「辞めてやる!」とか思うんだけど、終わるといい思い出になってしまうというような。
- もー! 戦友とか、いい思い出とか、先輩にそんな風に言われると、またデスマーチになっちゃっても大丈夫かな?なんて思っちゃうじゃないですか!(笑)。
- この業界にいると、たぶんまたデスマっちゃいますって(笑)。仲間がいるから大丈夫、って思っておきましょうよ。
- 大変だったし、きっとまた来るんだろうと思ってるのに辞めないんだから、みんなこの仕事が好きなんじゃないですか? 結局のところは。
- 一番の先輩から言われると重みがありますね。仲間がいれば突っ込んでいける戦場、ということなんでしょうか。
- 全部終わった時の開放感とか、打ち上げの楽しさとかもひときわですよ!
- それは魅力的だけど、デスマーチは......(笑)。今日のところはまだまだ時間もありますし、外には出せないような話とかもしてもらいつつ、ゆっくり飲んで食べてください!ありがとうございました!
イベント概要
エンジニアの不幸自慢といえば、デスマーチ語りだ。今回は31歳のPMであるM永さんに、38歳のSEであるS藤さんという既婚男性2人の他に、28歳の独身女性SEであるH山さんも参加。ほどよく飲んで、気持ちがほぐれたところで、開き直ったデスマーチ語りをしてもらった。
デスマーチ経験者
参加概要
某居酒屋(生ビール190円くらい)
涙