AWS SAP認定資格はSAP移行にどう役立つのか?現場で使えるスキルと構成知識

AWS SAP認定資格は、SAPシステムのクラウド移行が加速するなかで今、注目されている資格のひとつです。AWS上での安定運用を求める企業が増えており、要件定義からインフラ設計、コスト管理まで幅広く対応できる技術者が現場で重宝されています。

同資格は単なる知識証明にとどまらず、実際の構成選定やアーキテクチャ設計で必要となる判断力を磨くうえでも有効です。

この記事では、AWS SAP認定資格の概要を押さえつつ、実務への応用例や習得までの道筋を解説します。クラウド移行の専門性を高めたい方はぜひ参考にしてください。

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この記事の目次
  1. AWS SAP認定資格(SAP-C02)とは
  2. SAPシステムをAWS上で構築・運用する構成と設計ポイント
  3. SAP-C02試験の難易度と出題傾向
  4. SAP-C02合格のための勉強法と教材選び
  5. 合格者の学習体験談|失敗と成功から学ぶ
  6. SAP on AWS案件に必要なスキルセットと役割
  7. AWS SAP試験に関するよくある質問
  8. フリーランスエンジニアの案件探しはエンジニアファクトリー
  9. まとめ

AWS SAP認定資格(SAP-C02)とは

AWS SAP認定資格は、AWSクラウドプラットフォーム上で複雑なソリューションを設計・実装する能力を証明する上級資格です。試験コードSAP-C02は、クラウド技術の進化に合わせて定期的に改訂されるバージョン番号を示しています。

AWS Certified Solutions Architect – Professional(SAP-C02)の概要

AWS Certified Solutions Architect – Professional(SAP-C02)は、AWSプラットフォーム上で複雑なソリューションを構築するプロフェッショナル向けの最上位認定資格です。

同試験の対象となるのは、AWSサービスを活用したクラウドソリューションの設計と実装に関して、2年以上の実務経験をもったエンジニアの方です。試験時間は180分で、試験の前後に試験説明の確認やアンケートの時間が5分ずつ合計10分設けられており、合計190分の試験枠となるようです。

出題形式は具体的な業務要件や課題をベースにしたケース問題が中心で、基本知識を応用して最適解を導き出す実践的な内容となっています。

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資格取得がSAP案件にどう役立つか

AWS SAP認定資格は、クラウドアーキテクトとしての高度な知識とスキルを証明する最上位の認定と位置づけられています。

同資格の取得により、SAP移行プロジェクトで求められる複雑なアーキテクチャ設計能力が身につきます。特にAWS上でSAPワークロードを扱う際の可用性やパフォーマンス、セキュリティ面での最適化手法を体系的に習得できる点が大きな強みです。

実務においては、AWS上でSAPクラウドサービスに関する設計と実装、移行、運用に関する専門知識の証明となります。具体的には、企業がオンプレミスのSAPシステムをAWSへ移行する際、AWS SAP認定資格保有者は移行計画の策定から実装まで主導的な役割を担えるでしょう。

キャリア面ではSAP on AWS案件への参画機会が広がり、プロジェクトマネージャーやリードアーキテクトとしてのポジション獲得が期待できます。

取得後のキャリアと市場価値

AWS SAP認定資格は、AWS認定資格の中でも最上位レベルに位置づけられ、クラウドインフラの設計や大規模移行に関わる上流エンジニアとしてのスキルを証明できる資格です。とくにSAP環境をAWSへ移行するプロジェクトでは、この資格を持つ人材が重宝される傾向があります。

実際の年収については経験や業務内容によって幅がありますが、AWS SAP資格保有者は一般的に700万円前後からスタートし、スキルや実績によっては年収800万〜1,000万円を目指せる層に含まれます。これは、クラウド領域において設計・提案ができる上級エンジニアやアーキテクトが不足している状況が背景にあります。

また、この資格を活かして、クラウドアーキテクトやコンサルタント、プロジェクトマネージャーといったより上流のポジションへキャリアアップする道も開けます。技術力だけでなく、顧客折衝や要件定義といったビジネス視点を持つことで、さらに市場価値を高めることができるでしょう。

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SAPシステムをAWS上で構築・運用する構成と設計ポイント

SAPシステムをAWS上で構築・運用する構成と設計ポイント

SAPシステムをAWS上で安定して運用するには、可用性とスケーラビリティを確保した構成設計が欠かせません。ここでは、SAPシステムをAWS上で構築・運用する構成と設計ポイントを以下3点に絞って解説します。

  • オンプレからの移行で必要なクラウド設計知識
  • SAP on AWSにおけるVPC/EC2/IAM構成の基本
  • Amazon公式のベストプラクティスとは?

オンプレからの移行で必要なクラウド設計知識

SAPシステムをオンプレミスからAWSに移行するには、クラウド特有の設計知識が不可欠です。ネットワーク設計ではAmazon VPCを活用し、仮想ネットワークを構築します。VPCはAWSクラウド内で隔離された環境を提供し、IPアドレス範囲やサブネットを自由に定義可能です。たとえばSAP HANAのデータベース層とアプリケーション層を別サブネットに分割し、セキュリティグループで通信を制御します。

セキュリティ面では、IAM(Identity and Access Management)が重要です。IAMは、ユーザーやサービスごとのアクセス権限を管理する仕組みで、最小権限の原則に基づき、SAP運用に必要な権限のみを付与します。SAPアプリケーションサーバー層では必要に応じてスケーリングを検討しますが、データベース層は固定サイズのインスタンスで高可用性を確保しましょう。

こうした設計によりオンプレミスと異なり、柔軟かつ迅速なリソース調整が可能です。

SAP on AWSにおけるVPC/EC2/IAM構成の基本

SAP on AWSの構成では、VPCサブネットのゾーニングパターンが重要な設計要素です。VPC設計では、SAPアプリケーション層とデータベース層を異なるサブネットに配置し、セキュリティグループとネットワークACLの両方を活用して多層防御を実現します。

EC2インスタンスの選定では、SAPの認定インスタンスタイプから選択する必要があるため、メモリ最適化インスタンスに加え、I/O性能に優れたタイプを選定することが重要です。SAP HANAなどでは、高スループットかつ安定したディスク性能が求められます。

IAMの設計では、きめ細かいセキュリティとアクセス制御を実現するため、IAMロールとポリシーを活用します。AWS Well-Architectedフレームワークに準拠した設計により、セキュアで信頼性の高いSAP環境を構築可能です。

Amazon公式のベストプラクティスとは?

Amazon公式が提示するSAP on AWSのベストプラクティスは、安定稼働と移行リスクの最小化を両立させるための重要な設計指針です。

特に「SAP Lens for the AWS Well-Architected Framework」は、運用上の優秀性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化、サステナビリティの6つの柱に基づき、SAPワークロードの構成の妥当性を評価できます。加えて「AWS Launch Wizard for SAP」を活用すれば、HANAやNetWeaver環境のプロビジョニングをGUI操作で自動化することが可能です。

これにより初期設計のミスを抑制し、工数も削減できるでしょう。たとえばHA構成では、複数のアベイラビリティゾーンに分散したEC2インスタンス配置と自動復旧機能を採用すると、冗長性を確保できます。

SAP-C02試験の難易度と出題傾向

SAP-C02試験の難易度と出題傾向

ここからは、以下3つのポイントに絞って、SAP-C02試験の難易度と出題傾向を見ていきます。これからSAP-C02試験の学習を始める方、受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

  • 出題範囲と配点の把握が合格のカギ
  • 「意味ない」と言われる理由と実態
  • 応用情報技術者試験との違い

出題範囲と配点の把握が合格のカギ

SAP-C02の試験は、AWS上でスケーラブルかつ高可用性なシステムを設計・運用する高度なスキルを評価するものです。試験は75問の選択式問題で構成され、試験時間は180分となっています。合格ラインは750点(1000点満点)で、専門性を証明する難易度の高い試験です。

AWS公式サイトによると出題範囲は以下4つのドメインに分かれており、配点割合は以下のようになっています。

ドメイン名(出題領域)配点割合
複雑な組織に対応するソリューションの設計26%
新しいソリューションのための設計29%
既存のソリューションの継続的な改善25%
ワークロードの移行とモダナイゼーションの加速20%

引用:AWS Certified Solutions Architect – Professional (SAP-C02) 試験ガイド 3ページ

重点的に学んだほうが良いドメインは、配点割合が高い新しいソリューションのための設計設計および、複雑な組織に対応するソリューションの設計です。戦略的にはAWS Well-Architected Frameworkを基盤に、各ドメインのベストプラクティスを理解することが求められます。模試を活用し、時間配分を意識した問題演習を行いましょう。

AWS SAP認定資格が「意味ない」と言われる理由と実態

AWS SAP認定資格に対して「(資格を取得しても)意味がない」という声が聞かれる背景には、試験の難易度と実務のギャップがあります。

試験ではAWSのベストプラクティスに基づいた設計・運用の知識が求められ、環境の複雑さに対応する高度な設計スキルや移行・改善における判断力が問われます。一方で実務でこれらを網羅的に経験する機会は限られ、知識の定着に時間がかかるため、取得が困難だと感じる声が上がりやすいのです。

実際に「SAP取得はゴールではなく、AWSの仕事に就くためのスタートライン」という指摘があります。資格取得だけでは実務能力の証明にならず、実践的なハンズオン経験が重要視されるためです。

しかし事実として、AWS認定資格がエンジニアとしての市場価値を高める効果は期待できるものです。特にSAP-C02は上級レベルの資格として認知されており、体系的な知識の習得と証明になります。

資格の価値は取得後にどう実務に活かすかで決まるため、継続的な学習と実践が成功の鍵となるでしょう。

応用情報技術者試験との違い

AWS SAP-C02と応用情報技術者試験のもっとも大きな違いは、専門性と実務への直結度です。SAP-C02は問題数75問、試験時間180分という長時間の試験で、AWS特有の深い知識が求められます。一方で応用情報技術者試験は幅広いIT知識を問う汎用的な国家資格です。

技術レベルの観点では、SAP-C02は上級レベルに位置付けられ、AWSサービスの深い理解が必要となります。応用情報が基礎的なIT知識の証明であるのに対し、SAP-C02はクラウドアーキテクチャの実践的な設計能力を評価する資格です。

試験目的も異なり、応用情報は汎用的なITエンジニアの育成を目指すのに対し、SAP-C02はAWSクラウドアーキテクトとしての即戦力を認定する資格です。実務でAWSを扱うエンジニアにとって、より直接的な価値を持つ資格といえるでしょう。

SAP-C02合格のための勉強法と教材選び

ここからは、SAP-C02に合格するための勉強法と教材選びについて、以下3つのポイントに絞って解説します。

  • おすすめの問題集・参考書
  • Skill Builder/Udemyの活用方法
  • 学習時間とスケジューリングのコツ

おすすめの問題集・参考書

引用:AWS教科書 AWS認定ソリューションアーキテクトプロフェッショナル テキスト&問題集(SAP-C02 模擬試験 ハンズオンガイド)

SAP-C02の試験対策では、信頼性が高く自分にあった教材選びが合否を左右します。

評価が高いテキストのなかでも翔泳社の『AWS教科書 AWS認定ソリューションアーキテクトプロフェッショナル テキスト&問題集(SAP-C02 模擬試験 ハンズオンガイド)』は、2025年6月16日に発売されたばかりにもかかわらず、試験対策に必須となる内容が適切にまとめられており、わかりやすいとの評価がありました。章をひとつ使って模試が掲載されているため、知識の定着に効果的です。

また、AWS公式のWhitepaper「SAP on AWS Technical Validation Guide」も重要な資料です。インフラ構成や高可用性設計、バックアップ戦略など、実務に直結する情報が網羅されており、出題傾向にも合致しています。

試験直前には、AWS Skill Builder上で提供されている模擬試験も有効です。実際の出題形式に慣れるだけでなく、弱点の把握にも役立ちます。このような教材を段階的に使い分けることで、知識を広く深く定着させられるでしょう。

Skill Builder/Udemyの活用方法

SAP-C02の対策では、AWS公式のSkill BuilderとUdemyの活用が定着率を高める鍵です。

AWS Skill Builderは無料で利用できる公式学習プラットフォームで、特に公式練習問題集の20問は必ず解いておきたい教材となります。公式資料に基づく構成のため、試験範囲との整合性が高く、基礎固めに最適です。

Udemyでは、日本語対応の動画講座が多数公開されています。理解の浅い項目に絞って繰り返し視聴すると、知識を視覚的に補強できるでしょう。

具体的な活用パターンとしては、まずUdemyの動画でサービスの全体像を把握し、その後AWS Skill Builderで知識を問題形式で確認する流れが効果的です。

学習時間とスケジューリングのコツ

SAP-C02の合格を目指すには、学習時間とスケジュールの管理が結果を大きく左右します。

AWS経験者の場合、SAAなどの認定資格を持っている方なら2〜3ヶ月程度(50~70時間)が目安となります。一方、AWS未経験者の場合は5〜6ヶ月程度(100~250時間)の準備期間が必要になるようです。

仕事と両立する現実的なスケジュールとして、平日は30分〜1時間、休日は数時間という配分を目安にしましょう。

スケジューリングのコツは、先に受験日を決めて逆算で計画を立てる方法です。明確な期限設定により、日々の学習モチベーションを維持できます。継続的な学習習慣と適切な時間配分が、合格への確実な道筋となります。

合格者の学習体験談|失敗と成功から学ぶ

ではSAP-C02に合格した方々は、どのような学習をし、何回目で合格したのでしょうか。ここでは、合格者の学習体験をいくつか紹介します。

IT未経験者の2ヶ月合格スケジュール

IT未経験者でも明確な計画と適切な教材を選び、SAP-C02に2ヶ月で合格した例があります。このケースでは平日は1〜2時間、週末は3〜4時間の学習時間を確保し、合計110時間ほどで試験に臨んだと報告されています。

使用した教材は「AWS WEB問題集」で、この問題集の後半部分(最新の問題に近い問題)を2周したとのことです。2周目からは間違えた問題はスクリーンショットを撮って復習するスタイルでした。

仕事をしながら平日は最大2時間、終日は3時間から4時間の学習時間を確保できない場合でも、諦める必要はありません。

1週間という長めのスパンで学習時間をトータルで確保する、あるいは3ヶ月のスパンで学習計画を立てるなど、実例を基準に個人の生活スタイルに合わせてフレキシブルに調整し、合格をめざしましょう。

「落ちた」経験者が再チャレンジでやったこと

再チャレンジで合格を勝ち取った方の体験談をみていきましょう。6回目でようやく合格を掴んだ受験者の体験からは、再チャレンジで成功するための具体的な改善点が見えてきます。

不合格から学んだ最大の教訓は、問題演習の量と質の重要性でした。つまり単に問題を解くだけでなく、理解度を深める学習方法への転換が必要になりそうです。

再チャレンジで変えるべきポイントは、学習のやり方です。合格できなかったときの学習方法を改善せずに続けていては、結果につながらないかもしれません。「もっと改善できる点はないか」と自らの学習法を振り返り、改善できる点があれば大胆に変えて学習法をリフレッシュしてみましょう。

モチベーション維持の秘訣は、小さな進歩を認識し続ける姿勢にあります。正解率が低くても挫折せず、間違えた問題を分析し知識の穴を一つずつ埋めていく地道な作業が合格への道を開くでしょう。

活用したリソースと感想まとめ

SAP-C02の学習を進めるうえで、合格者が活用した教材にはある傾向がみられます。特に評価が高いのは「AWS Skill Builder」の公式模擬試験と、「CloudTech」です。前者は出題傾向や難易度の把握に有効で、後者は単なる問題集ではなく、アウトプットも可能なコンテンツであるため、資格取得のための学習のみならず実務で使えるスキルも身につく、とのコメントがありました。

Udemyのコースも活用されており、特にハンズオンに強い構成が学習に有効だったと評価されています。

総括するとどの教材と相性が良いか、生活スタイルにマッチするかは、使ってみないとわかりません。合格者それぞれの前提条件が異なるため、体験談をそのままコピーできるケースは少ないからです。

合格体験談のブログでは、筆者のスキルや経験が書かれていることが多いため、まずは前提条件を踏まえて、より自分に近い方の勉強法を真似してみるといいでしょう。

SAP on AWS案件に必要なスキルセットと役割

では資格を勉強するにあたり、以下2点のSAP on AWS案件に必要なスキルセットと役割を理解しておきましょう。

  • PM・アーキテクトに求められる構成理解
  • SAAとSAP-C02の違いと取得順の戦略

PM・アーキテクトに求められる構成理解

SAP on AWS案件におけるプロジェクト推進では、PMやアーキテクトの構成理解が成果を左右します。

SAPシステムはネットワークやセキュリティ、データベース、可用性設計など複数のAWSサービスが密接に連携する構成上に成り立っています。したがって構成図からサービス間の依存関係や通信要件を読み取り、最適な構成を判断できる能力が求められるのです。

たとえばSAP HANAを含むシステムを設計する際には、高スループットなEBSの選定や、耐障害性を意識したAZ配置など、実装前の判断がプロジェクト全体の成否に直結します。

上流工程に関わる立場では、単なる構成の理解だけでは不十分です。可用性や拡張性、セキュリティといった観点を統合した構成方針を示し、関係者への説明責任を果たせるかどうかが評価に直結します。

SAAとSAP-C02の違いと取得順の戦略

項目SAA(アソシエイト)SAP-C02(プロフェッショナル)
レベルアソシエイト(中級)プロフェッショナル(上級)
想定スキルレベル初中級者〜AWS入門後1年程度実務経験3年以上の中〜上級者
試験内容の特徴基本的なサービス設計・可用性・セキュリティ複雑なワークロード設計・移行戦略・コスト最適化・業務判断など
出題範囲の難易度広く浅い(サービスの概要と設計原則を問う)深く実践的(具体的なシナリオ設計やトレードオフを問う)
取得のおすすめ順初学者・未経験者はまずここから実務経験者・SAA取得済みの方が次に挑戦するのが一般的
SAAなしでのSAP-C02挑戦可否原則は可(前提資格なし)だが、SAAを飛ばすには十分な実務経験が必要業務でAWS構成や設計を日常的に行っている人には現実的な選択肢
試験時間/出題数約130分/65問約180分/75問
キャリアでの位置づけAWS利用の基礎力の証明クラウド設計の上級スキルを証明する資格

AWS SAP認定資格(SAP-C02)とSAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト)の最も大きな違いは、求められる実務経験と問題の複雑性にあります。

SAAはアソシエイトレベルとして、幅広いAWSサービスの基本的な設計や可用性、セキュリティに関する知識を評価します。一方でSAP-C02はプロフェッショナルレベルに分類され、より大規模で複雑なワークロードを対象にした設計力や判断力を問われます。

SAP-C02では、オンプレミスからクラウドへの移行戦略、コスト最適化、複雑な可用性要件など、実務を強く意識した設問が多く含まれています。AWS未経験者や初学者であれば、まずSAAを取得し、全体像と基本設計の原則を把握した上でSAP-C02へ進むのが現実的です。

すでにAWSを業務で活用している方や構成管理に携わっている方は、SAAを飛ばしてSAP-C02に挑戦する選択肢もあるでしょう。自身の業務領域と習熟度を踏まえた取得戦略が、キャリア形成の鍵になります。

AWS SAP試験に関するよくある質問

ここからはAWS SAP試験に関する、以下6つのよくある質問について、詳しく回答していきます。AWS SAP試験の受験を検討している方は、参考にしてください。

AWS SAP認定(SAP-C02)の合格率はどのくらい?

AWS SAP認定の合格率について、公式な発表はされていません。これは試験の難易度や受験者の背景を考慮した公式な方針となっています。

ただし、AWS公式サイトではプロフェッショナルレベル試験の合格基準を750点と明記しています[5]。この水準を踏まえ、受験者の体験談や各種メディアでの推定によれば、合格率はおおむね50〜60%前後と見られています。

公式な合格率は非公開ですが、複数回の受験を要する受験者が多い状況から、初回合格率は決して高くないと推測されます。十分な準備期間と体系的な学習計画が合格への鍵となるでしょう。実務経験に加えて、試験対策に特化した学習が重要です。

SAP-C02試験に落ちたらいつから再受験できる?

SAP-C02試験に不合格となった場合は、再受験を検討しましょう。

AWSではSAP-C02試験に不合格となった場合、最初の再受験が24時間後から可能となります。ただし2回目以降の受験には14日間の待機期間が設けられており、短期間での繰り返し受験は制限されます。

再受験までの準備では不合格となった原因を分析し、弱点を把握することが重要です。テキストの章末問題やCloud Licenseなどの問題集を繰り返し解き、間違った問題にチェックを入れて重点的に復習しましょう。問題の傾向を理解し、長文から要点を素早く抽出する訓練も重要です。

再受験までの期間制限は特に設けられていないため、十分な準備期間を確保してから挑戦できます。焦らず、着実に知識を積み重ねる姿勢が合格への近道となるでしょう。

SAP-C02はいつまで有効?資格の更新方法は?

AWS SAP認定資格(SAP-C02)の有効期限は、取得日から3年間です。資格の有効性を維持するためには、期限が切れる前に再認定を受ける必要があります。

再認定の方法としては、対象の最新試験に再度合格するか、AWS Skill Builder上で指定された継続学習(CE)を修了する方法があります。

CEによる更新はオンラインで完結できるため、多忙な現場エンジニアにとっておすすめの選択肢といえるでしょう。

AWS認定は、常に最新のサービスやベストプラクティスを前提に設計されており、資格の有効性を維持することで、実務でも高い信頼を得られます。有効期限を過ぎた場合、資格は自動で失効するため、更新時期を事前に把握し、早めに準備を進めましょう。

AWS SAP資格とSAA(アソシエイト)との違いは?

SAP-C02とSAAの最大の違いは、対象スキルの専門性と試験の難易度です。

SAA(AWS Certified Solutions Architect – Associate)は、AWS環境全般の設計スキルを測る中級レベルの資格です。基礎的なクラウドアーキテクチャの理解や、可用性・コスト最適化に関する設計が問われます。

一方でSAP-C02(AWS Certified: SAP on AWS – Specialty)は、SAPワークロードをAWS上に適切に構築・運用する高度な専門知識が求められます。たとえばSAP HANAのスケールアウト構成や、AWSインフラとSAP製品の依存関係など、実務に直結する論点が中心です。

どちらの資格を取得するかは、担当業務や参画プロジェクトの特性によって最適解が変わるため、現場の要請や自身のキャリアプランに合わせて選びましょう。

AWS SAPは意味ないという声もあるが、実際は?

SAP-C02は一部で「難しすぎる」、「現場で使わない」という否定的な意見が見られます。確かに一部エンジニアから「実務と結びつかない」「難しすぎる」といった批判的な意見が聞かれるのも事実のようです。しかしこのような評価は、SAPシステムの運用経験や関与フェーズによって大きく異なります。

実際にSAP on AWSのプロジェクトでは、仮想ホストの構成やストレージの最適化、バックアップ設計など、試験範囲の知識が欠かせません。特にWell-Architected FrameworkやSAP認定インスタンスタイプの理解は、提案や構築工程で高く評価される要素です。

AWS公式でもSAP-C02を高度な専門資格として位置付けており、SAP移行プロジェクトで求められる実務力の証明になります。単に試験問題を問うだけでなく、アーキテクチャ設計の背景まで押さえている点において、資格を保有していることの価値は実務の現場でも十分に認識されているのです。

SAP on AWSの実案件ではどんなスキルが求められる?

SAP on AWSのプロジェクトでは、クラウド環境の特性を理解したうえで、安定かつ拡張性のある基盤設計が求められます。

たとえばインフラエンジニアには、VPCのサブネット設計や、SAP認定インスタンスの適切な選定、IAMによる権限制御の構成力が求められます。一方でPMやITアーキテクトには、可用性ゾーンを考慮したマルチAZ構成や、バックアップおよびDR戦略の策定能力も不可欠です。

SAP-C02の試験で問われる設問内容はこれらの実務と強く関連していますが、資格取得は実装経験を担保しません。資格で得られるのは基盤構成の基本設計力とAWSサービスに対する理解であり、プロジェクトで成果を上げるには、追加で運用ノウハウや顧客要件への適合力が不可欠です。

つまり、SAP on AWSに携わるには資格と実務経験の両輪が求められるのです。

フリーランスエンジニアの案件探しはエンジニアファクトリー

ITエンジニアの案件探しならエンジニアファクトリー

エンジニアファクトリーでは、SAP×AWSの知見を活かせる案件を多数ご用意しています。たとえば「SAP HANAのAWS移行支援」「マルチAZ構成での運用構築」「SAP on AWSのベストプラクティス適用」など、設計・構築・移行フェーズから携われる実務中心の内容が豊富。

AWS SAP認定資格(SAP-C02)を活かして上流工程に関わりたい方、年収800〜1,000万円を目指す方にも適した案件が揃っています。フリーランスや業務委託での参画を検討している方は、まずは公開案件9,000件以上のエンジニアファクトリーで、自分に合った案件をチェックしてみてください。

まとめ

SAPシステムのAWS移行では、クラウド特有のアーキテクチャに精通した技術者が求められます。SAP-C02は、設計や移行のベストプラクティスを体系的に学ぶための有効な手段です。

SAP-C02の取得により、SAP NetWeaverベースの環境やSAP S/4HANAの構成理解を深めるだけでなく、実案件に即したインフラ設計力も証明できます。一方で資格は、基礎知識の習得を目的としたもので、現場では実装経験やトラブルシュートの対応力が別途求められる点への理解が不可欠です。

資格と実務スキルは補完関係にあります。キャリアアップを目指すなら、認定取得後に実務への応用を意識した経験を積むことが重要です。AWSとSAPの双方に通じたエンジニアは市場価値が高く、転職市場でも高く評価されています。認定資格の取得は、その第一歩として有効な判断材料となるでしょう。

この記事を読んでAWS SAP認定資格に興味を持った方は、資格取得に向けての学習を始めてみてはいかがでしょうか。

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