フリーランスが既往歴を聞かれたら?どこまで伝える?契約・稼働に支障を出さないための判断と表現法

「既往歴って、どこまで伝えるべき?」「プロフィールシートや面談で体調のことを聞かれたけど、どう答えればいいのかわからない…」

フリーランスエンジニアとして案件に参画する際、履歴書のような正式書類は提出しなくても、プロフィールシートや稼働確認のヒアリングなどで健康状態について質問されることがあります。その際に気になるのが、過去の病気や治療歴=「既往歴」をどこまで伝えるべきか、という点です。

現に健康で仕事に支障がないなら、あえて話す必要はないのか。一方で、通院中や持病があることを伝えなかった結果、参画後にトラブルになることもある。

この記事では、「既往歴とは何か」という基本から、現病歴や持病との違い、フリーランスとしてどこまで伝えるべきかの判断基準、さらに実際に使える伝え方・NG例まで、網羅的に解説します。

「正直に伝えた方がいいのはわかる。でもどこまで?」
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既往歴とは?現病歴・持病との違い

既往歴とは、これまでにかかった病気やけがの履歴のことです。過去に入院や治療を受けた経験、医師の指導によって投薬を受けていたことがあれば、それは既往歴に含まれます。完治していても、履歴として残るものは既往歴と呼ばれます。

一方、現病歴とは現在進行形で治療中の病気や症状を指します。たとえば高血圧や糖尿病で現在も通院している場合は、既往歴ではなく現病歴として扱います。また持病という言葉もよく使われますが、これは慢性的に続く疾患のことで、現病歴と重なる意味合いを持ちます。

既往歴・持病・現病歴の違い(比較表)】

項目既往歴持病現病歴
定義過去にかかった病気やけがの履歴現在も継続している病気や体調の状態現在治療中または発症から間もない状態
状態完治済みで通院・治療なし慢性的な症状や継続的な服薬・通院が必要発症から日が浅く、症状が不安定
代表的な例骨折の治療歴
胃潰瘍(完治)
うつ病(寛解)
高血圧
糖尿病
ぜんそく(服薬継続中)
突発的な体調不良
けがの治療中
手術直後など
業務影響の可能性基本的に影響なし(再発がなければ)稼働制限や配慮が必要な場合がある稼働への影響が出やすく、スケジュール調整が必要
伝えるべきか基本不要。再発の可能性が高い場合は検討原則伝える。支障がなければ補足も添えると安心必ず伝える。影響の範囲を具体的に説明すること
表現例「過去にうつ病の治療歴あり。現在は完治」「高血圧で通院中。稼働に支障なし」「骨折により通院中。週1リモート対応可」

このように、既往歴は過去の記録、現病歴や持病は現在の状態を示すという違いがあります。案件参画時に健康状態を伝える場面では、過去の病歴よりも今現在、業務に影響が出るかどうかが重視されます。

ただし、完治した病気でも再発の可能性がある場合や、業務内容に影響が出る可能性がある場合には、既往歴として伝えておいた方がよいケースもあります。伝えるかどうかに迷ったときは、現在の稼働に影響があるかをひとつの判断基準にしましょう。方で、不要な不安を与えるほどの詳細さは避け、あくまで“必要な範囲”にとどめる意識が大切です。

エージェント・Usami

実際の現場では、過去の病歴そのものよりも「現在の業務に支障があるかどうか」を重視する企業がほとんどです。具体的な影響や対応方法を簡潔に添えることで、企業側に余計な懸念を与えずにすみます。

なぜ聞かれるのか?企業・エージェントの視点

フリーランスとして案件に参画する際に既往歴や健康状態について確認されるのは、企業やエージェントがリスクを見極めたいと考えているからです。これは選考のためというより、プロジェクトを円滑に進めるうえでの確認事項のひとつです。

たとえば納期直前のタイミングで体調不良による離脱が起きると、クライアント側の損失は大きくなります。事前に稼働可能な条件を把握しておくことで、アサイン後のトラブルを防ぐ目的があります。

また最近ではオンライン環境の普及により、業務状況が見えにくくなっていることから、参画前のヒアリングで健康面を含む個別事情を丁寧に確認する傾向が強まっています。特にエージェント経由の場合は、企業との信頼関係を守る意味でも、無理のない稼働ができるかどうかを把握する必要があります。

企業やエージェントが気にしているのは、病気の名前や過去の治療そのものではありません。あくまで現在の業務に影響があるかどうか、それに伴って稼働スケジュールやコミュニケーションに支障が出ないかという点に注目しています。

つまり過去にどんな病歴があったとしても、現在支障がなければ特別問題になることはありません。ただし支障が出る可能性がある場合は、事前に共有しておくことで信頼を得やすくなります。有効です。

エージェント・Usami

実際の現場では、過去の病歴そのものよりも「現在の業務に支障があるかどうか」を重視する企業がほとんどです。具体的な影響や対応方法を簡潔に添えることで、企業側に余計な懸念を与えずにすみます。

どこまで伝える?判断基準とグラデーション

既往歴や健康状態について、どこまで伝えるべきかは多くのフリーランスが迷うポイントです。伝えすぎれば敬遠されないかと不安になり、伝えなければ後で問題にならないかと気になる。そこで重要なのが、伝えるべき情報に段階を設けて考えることです。

まず明らかに伝えるべきなのは、現在も治療中であり、業務スケジュールに影響を及ぼす可能性があるケースです。たとえば週に一度通院が必要だったり、体力的な制限があったりする場合は、事前に説明しておくことで適切な配慮を受けられます。

次に迷いやすいのが、完治したものの再発リスクがゼロではない病歴や、普段は問題ないが体調に波がある場合です。このような場合は、伝えるかどうかを業務への影響を基準に判断します。たとえば在宅勤務が可能な案件であれば、問題にならないことも多いです。

一方で、伝えなくても問題がないのは、完治していて再発の心配がなく、業務に一切支障が出ないケースです。軽度のけがや一時的な治療で済んだ病歴は、無理に申告する必要はありません。

このように、伝えるかどうかを迷ったときは、いまの稼働に影響があるかどうかを判断軸とするのが基本です。伝えるべきことを簡潔に伝え、不要な情報は控える。このバランスがフリーランスにとって最も現実的なスタンスです。

実際に使える伝え方|表現例とNG例

既往歴を伝える際に大切なのは、病名や治療内容を詳しく説明することではありません。クライアントやエージェントが知りたいのは、いま現在の稼働にどれだけ影響があるかという点です。伝えるときは、事実を簡潔にまとめ、支障の有無をはっきりさせることがポイントです。

以下は、実際に使える記載例です。

【表現例】

通院中であっても業務に問題がない場合
例:高血圧のため月に1度通院していますが、稼働に支障はありません

過去に治療した病気が完治している場合
例:過去にうつ病の治療歴がありますが、現在は完治しており就業に問題はありません

慢性的な症状があるが稼働できる場合
例:軽度のぜんそくがありますが、服薬により安定しており通常通り勤務可能です

一方で、伝え方によっては不必要な不安を与えてしまう場合もあります。以下のような書き方は避けた方がよいでしょう。

【NG例】

例:持病あり
→ どの程度なのか分からず、漠然とした不安を与えます

例:健康状態は問題ありません
→ 抽象的であり、具体的な判断材料になりません

例:うつ病で休職歴あり
→ 完治していればそのことを明記し、現在の状態を伝える方が建設的です

重要なのは、必要以上に心配させず、かといって隠すことなく、現在の業務に影響があるかどうかを中心に伝えることです。フリーランスとしての信頼を築くためには、率直かつ簡潔な表現が最も効果的です。

フリーランスは履歴書を書かない?実は提出書類はある

フリーランスとして仕事をしていると、いわゆる履歴書を提出する場面はほとんどありません。特に業務委託や準委任契約が中心のエンジニア案件では、企業が求めているのは学歴や本籍地ではなく、これまでのスキルや稼働実績です。

とはいえ、全く書類提出がないかというとそうではありません。多くの場合、プロフィールシートや職務経歴書に相当する情報をエージェントやクライアントに提出する必要があります。そこには氏名や年齢、スキル、担当したプロジェクトの内容に加えて、稼働可能時期や希望単価などが記載されます。

このとき、健康状態や稼働に関する注意事項を書く欄が設けられている場合があります。特に月内の稼働日数に制限がある場合や、通院のための曜日調整が必要な場合などは、事前に共有しておいた方が後々の信頼につながります。

また書類だけでなく、参画前の事前面談やヒアリングで「健康状態に不安はありませんか」といった質問がされることもあります。このタイミングで稼働に影響のあることを正直に伝えることで、クライアントも安心して契約を進めることができます。

履歴書そのものはなくても、健康状態に関する情報が問われる場面は意外と多いということを認識しておきましょう。

話さなかったことでトラブルに?よくある失敗パターン

健康状態や既往歴についてあえて触れなかった結果、参画後にトラブルになったというケースは少なくありません。とくに稼働に影響が出る可能性を事前に伝えていなかった場合、信頼関係の破綻や契約の打ち切りにつながることもあります。

よくあるのは、通院や服薬が必要で定期的に稼働を調整しているにもかかわらず、それをエージェントやクライアントに伝えていなかったケースです。参画後にスケジュール調整が頻発し、プロジェクト側の負担が増えた結果、継続不可と判断されてしまうことがあります。

また、面談時に「フル稼働できます」と答えたものの、実際には体調の波が大きく長期の安定稼働が難しいことが後からわかるパターンもあります。このような場合、業務スキル以前に「誠実さに欠ける」と見なされ、次回以降の紹介にも影響が出ることがあります。

とくにエージェント経由での参画では、エージェントがクライアントとの間に立っているため、実態と違う情報を伝えていたことが判明すると、両者からの信頼を同時に失うリスクがあります。

体調や稼働面に不安があると、つい伝えにくく感じてしまうかもしれません。しかし、伝えなかったことで大きな問題になるよりも、最初にひと言添えておく方が、結果的に自分を守ることにもつながります。

誠実さが武器になる:正直に話すことで評価されるケースも

既往歴や健康状態について伝えることに抵抗を感じるのは自然なことです。過去に病気をしていたと伝えたことで、不利になるのではと不安に思う方もいるでしょう。

しかし実際には、正直に話してくれたことを評価されるケースも多くあります。とくにエージェントやクライアントは、病気の有無そのものよりも、事前に相談してくれたことに信頼を感じています。

たとえば「月に一度通院がありますが、稼働に影響はありません」と事前に伝えてくれるフリーランスに対しては、「自己管理ができている」「無理に隠そうとしない誠実な姿勢」といった印象を持たれることが少なくありません。

また、健康状態を共有することで、万が一体調に波があった場合にも「予め聞いていたことだから」と、柔軟に対応してもらえるケースもあります。逆に、何も聞いていなかったのに突然欠勤や納期遅延が発生すると、信頼を失うきっかけになってしまいます。

情報を隠すことよりも、必要なことを必要な分だけ、簡潔に正直に伝える。それだけで十分に信頼につながります。誠実な説明は、技術力と同じくらい大切な評価ポイントになることを忘れないようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

今は健康に問題がないのですが、昔の病気も伝えるべきですか?

完治しており、現在の稼働に一切支障がない場合は伝える必要はありません。ただし、業務内容によっては再発のリスクを考慮して判断することもあります。不安な場合は「完治済で業務に支障なし」と簡潔に補足するのがおすすめです。

言わない方が案件に通りやすいと聞いたのですが、本当ですか?

一時的にはそう見えるかもしれませんが、参画後に支障が出た場合は信頼を失い、継続や再紹介が難しくなることもあります。案件獲得だけでなく、長期的な関係を見据えて判断しましょう。

健康状態は書類で伝えるべきですか?それとも口頭でもいいですか?

プロフィールシートなどに記載欄があれば書く方が丁寧ですが、明確な欄がない場合はエージェントとのヒアリング時や面談で口頭で伝えるだけでも問題ありません。大切なのは「業務への支障があるかどうか」が伝わることです。

参画後に体調が悪化した場合はどうすればいいですか?

すぐにエージェントまたはクライアントに状況を共有しましょう。誠意を持って説明すれば柔軟に対応してもらえることもあります。放置したり黙って業務に支障が出たりする方がリスクは大きくなります。

エージェントが私の健康状態をクライアントにどこまで伝えるのか不安です。

原則として、エージェントは必要最低限の情報のみを共有します。たとえば「通院中だが稼働に支障なし」といった表現にとどめるのが一般的です。不安があれば事前に共有範囲を確認することも可能です。

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まとめ

フリーランスとして案件に参画する際、健康状態や既往歴をどこまで伝えるべきかは判断が難しい場面です。伝えすぎて損をしたくない、でも黙ってトラブルになるのも避けたい。そうした迷いを感じるのは当然のことです。

この記事でお伝えしてきたように、判断の軸は「業務に影響があるかどうか」です。過去の病歴が完治しており、現在の稼働に支障がないのであれば、無理に伝える必要はありません。ただし、通院や体調の波があり、スケジュール調整や配慮が必要な場合は、事前にひと言伝えておくことで信頼を得やすくなります。

大切なのは、必要な情報を必要な形で、簡潔に、そして正直に伝えることです。詳細すぎる説明や専門的な医学情報は求められていません。いま目の前の仕事に支障があるか、配慮が必要か、稼働スケジュールに影響が出るか。この3点が伝われば十分です。

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