「エンド直案件は本当に儲かるのか?」「仲介(エージェント)を使うと損するのか?」——フリーランスエンジニアとして活動するうえで、一度はこう考えたことがあるのではないでしょうか。
結論から言えば、エンド直案件は確かに単価が高くなりやすい傾向があります。しかし「単価が高い=必ずお得」という単純な話ではありません。営業コストやリスク、安定性まで含めた総合戦略で判断することが、フリーランス収入を最大化する鍵です。
本記事では、エンド直案件と仲介案件の違いを徹底比較し、実際の収入シミュレーションも交えながら「自分にはどちらが合っているか」を判断するための軸を提供します。
この記事でわかること
- エンド直案件・仲介案件それぞれの仕組みと特徴
- 具体的な収入シミュレーションによる年収比較
- エンド直のメリット・デメリットとリスクの実態
- キャリア段階別のおすすめ戦略
- 失敗しない案件選びの判断軸

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エンド直案件とは何か
エンド直案件(エンド直接案件)とは、システムやサービスを実際に発注する事業会社(エンドクライアント)と、フリーランスエンジニアが直接業務委託契約を結ぶ案件のことです。SIerや人材エージェントなどの中間業者を介さないため、「直請け案件」「直案件」とも呼ばれます。
エンド直案件の契約構造
通常のフリーランス案件では「エンドクライアント → SIer/エージェント → フリーランス」という多段階構造になっていますが、エンド直では「エンドクライアント → フリーランス」と一段階です。この構造上の違いが、単価に大きな影響を与えます。
| 項目 | エンド直案件 | 仲介案件 |
|---|---|---|
| 契約相手 | 事業会社(エンドクライアント) | エージェント・SIer |
| 中間業者 | なし | あり(1〜3社) |
| 手数料 | なし | 10〜30%程度 |
| 単価水準 | 高い傾向 | 中程度 |
| 契約形態 | 業務委託(直接) | 業務委託(間接) |
エンド直案件の単価が高い理由
エンド直案件の単価が高くなりやすい理由は、中間マージンが存在しないからです。仲介業者が介在する場合、エンドクライアントが支払う予算の10〜30%程度がマージンとして差し引かれます。エンド直ではこの分がそのままフリーランスへの報酬になります。
- 仲介マージン(10〜30%)が全額フリーランスへ
- 交渉次第で単価アップの余地がある
- 長期継続によって単価が維持・向上しやすい
エンド直案件の見つけ方
エンド直案件は、公開されているものは少なく、主に以下のルートで獲得されます。
- 人脈・リファラル(最も多いルート)
- SNS(X/LinkedIn)での発信・つながり
- GitHubや技術ブログでの認知獲得
- 直接営業・コールドメール
- フリーランスコミュニティやミートアップ

仲介(エージェント)案件とは何か
仲介案件とは、フリーランスエージェントやSIerなどの仲介業者を通じて紹介・契約される案件です。エンドクライアントとフリーランスの間に仲介者が入り、案件紹介から契約・支払いまでをサポートします。
仲介案件のマージン構造
仲介業者はエンドクライアントから受け取る金額の一部を「マージン(手数料)」として取ります。このマージン率はエージェントによって異なりますが、一般的に10〜30%程度と言われています。
例えば、エンドクライアントが月100万円の予算を持っている場合、マージン20%であればフリーランスへの支払いは80万円となります。
仲介案件で提供されるサポート
マージンの対価として、仲介業者は以下のようなサービスを提供します。
- 案件紹介・マッチング(大量の案件データベースへのアクセス)
- 条件交渉の代行(単価・稼働条件の調整)
- 契約書の作成・管理
- 請求・支払い管理
- 次案件の紹介(途切れにくい案件供給)
- 法的トラブル時のサポート
代表的なフリーランスエージェント
現在、フリーランスエンジニア向けのエージェントは多数存在します。それぞれ得意領域や特徴が異なるため、複数利用する方も多いです。
| エージェント名 | 特徴 | 案件数規模 |
|---|---|---|
| レバテックフリーランス | IT特化・高単価案件が豊富 | 大規模 |
| Midworks | 週3〜フルタイム・正社員並み保証あり | 中規模 |
| ITプロパートナーズ | 週2〜の週2案件充実 | 中規模 |
| エンジニアファクトリー | IT/Web系・直接案件サポートあり | 中規模 |

収入比較シミュレーション
実際に数字で比較してみましょう。以下のシミュレーションは、スキルレベルが同等で、エンドクライアントの予算が月100万円の場合を想定しています。
【基本シミュレーション】月単価80万円相当の案件
エンドクライアントの予算が月100万円、仲介マージン20%の場合を例に計算します。
| エンド直案件 | 仲介案件(マージン20%) | |
|---|---|---|
| 月額受取 | 100万円 | 80万円 |
| 年間受取(12か月稼働) | 1,200万円 | 960万円 |
| 差額(年間) | — | ▲240万円 |
| 実質手取り(税・経費後)※ | 約800〜850万円 | 約640〜680万円 |
※税率・経費は個人差があります。目安として参照ください。
【稼働停止リスクを加味したシミュレーション】
フリーランスの現実として、常に12か月フル稼働できるとは限りません。案件終了から次案件まで1〜3か月のブランクが生じることがあります。このリスクを考慮すると、収入差は縮まることがあります。
| シナリオ | エンド直案件 | 仲介案件 |
|---|---|---|
| フル稼働(12か月) | 1,200万円 | 960万円 |
| 1か月ブランク(11か月) | 1,100万円 | 880万円 |
| 2か月ブランク(10か月) | 1,000万円 | 800万円 |
| 3か月ブランク(9か月) | 900万円 | 720万円 |
エンド直でも10か月稼働(2か月ブランク)であれば年収1,000万円。仲介案件でフル稼働(12か月)の960万円を上回ります。一方で、エンド直で3か月以上ブランクが生じると、仲介案件のフル稼働に近い水準まで下がります。
【単価別・年収早見表】
| 月単価(エンド直) | フル稼働(12月) | 11か月稼働 | 10か月稼働 | 仲介80%換算・フル稼働 |
|---|---|---|---|---|
| 60万円 | 720万円 | 660万円 | 600万円 | 576万円 |
| 80万円 | 960万円 | 880万円 | 800万円 | 768万円 |
| 100万円 | 1,200万円 | 1,100万円 | 1,000万円 | 960万円 |
| 120万円 | 1,440万円 | 1,320万円 | 1,200万円 | 1,152万円 |
| 150万円 | 1,800万円 | 1,650万円 | 1,500万円 | 1,440万円 |
シミュレーションのまとめ
エンド直は「稼働が安定していれば」圧倒的に有利。ただし、年間で2か月以上のブランクが生じると、仲介案件のフル稼働との差が縮まる。稼働安定性を確保できるかどうかが、エンド直を選ぶうえでの最大の課題です。
エンド直案件のメリット・デメリット
メリット
エンド直案件の主なメリットは以下の通りです。
① 高単価が実現しやすい
中間マージンがないため、エンドクライアントの予算をほぼそのまま受け取れます。同じスキル・同じ案件規模でも、仲介案件より20〜30%高い単価になることが多いです。
② 交渉の自由度が高い
クライアントと直接やり取りするため、単価交渉・稼働条件・業務内容について柔軟に調整できます。成果を出せば継続的な単価アップも交渉しやすく、長期的に収入を伸ばせます。
③ 上流工程に関わりやすい
エンドクライアントと直接つながることで、要件定義・設計・意思決定の場に参加しやすくなります。技術力だけでなく、ビジネス理解力も高まり、キャリアの幅が広がります。
④ 情報の透明性が高い
仲介経由では見えにくいクライアントの予算感・プロジェクトの全体像・チーム構成なども、直接やり取りの中で把握しやすくなります。
デメリット・リスク
一方で、エンド直案件には無視できないリスクと負担があります。
① 営業活動の負担が大きい
案件獲得を全て自分で行わなければなりません。人脈形成・提案書作成・クライアントとの初期交渉など、本来の開発業務外の時間とエネルギーが必要です。案件によっては複数社同時に営業して、その中の1社しか受注できないこともあります。
② 契約トラブルのリスクがある
契約書の作成・確認・管理を自分でやる必要があります。業務範囲の曖昧さ、支払い遅延、追加作業の無償要求など、契約トラブルが発生した際のサポートはありません。法律の知識や契約書の理解力が求められます。
③ 案件の安定供給が保証されない
エンドクライアントの都合(予算削減・プロジェクト中断)で突然案件が終了することがあります。次案件の目処がない状態でのブランクは収入に直結します。
④ 入金サイクルの問題
仲介エージェントは翌月末払いなど比較的早い入金サイクルを提供することが多いですが、エンド直では60〜90日後払いになるケースもあります。キャッシュフロー管理が必要です。
| メリット | デメリット・リスク |
|---|---|
| 高単価(マージンなし) | 営業活動が全て自己負担 |
| 交渉の自由度が高い | 契約トラブルリスク |
| 上流工程に関わりやすい | 案件ブランクのリスク |
| 情報の透明性が高い | 入金サイクルが遅い場合あり |
| キャリアの幅が広がる | 法的知識・契約管理が必要 |
仲介案件のメリット・デメリット
メリット
① 安定した案件供給
大手エージェントは数千〜数万件の案件データベースを保有しており、スキルや希望条件に合った案件を継続的に紹介してもらえます。1案件終了後も次の案件を素早く紹介してもらえるため、ブランクを最小化できます。
② 交渉・契約のサポート
単価交渉・稼働条件の調整・契約書の作成・法的なサポートなど、案件に関わる面倒な業務をエージェントが代行してくれます。特にフリーランス転換直後は、こうしたサポートが非常に心強いです。
③ 参入ハードルが低い
人脈がなくても、スキルさえあれば案件を紹介してもらえます。フリーランス転換直後でも即戦力として案件に入れるため、収入の立ち上がりが早いです。
④ 福利厚生・保険サポートを提供するエージェントもある
Midworksのように、賠償責任保険・社会保険加入補助・交通費支給などを提供するエージェントも存在します。フリーランスの「会社員より保護が薄い」という不安を軽減できます。
デメリット
① マージン分の単価差
エージェントのマージンは一般的に10〜30%。エンドクライアントの予算が同じでも、手元に届く単価は必ずその分低くなります。月100万円の案件なら、マージン20%で手取りは80万円です。
② 情報の非対称性
エンドクライアントの実際の予算感や、マージン率の詳細は開示されないことがほとんどです。「単価80万円が適正なのか、それとも100万円の予算から引かれているのか」を確認する術がありません。
③ 交渉自由度の制限
エージェントが間に入るため、クライアントと直接交渉することは基本的にできません。特に単価交渉は、エージェントの意向に左右される部分があります。

キャリア段階別のおすすめ
「エンド直と仲介、どちらが良いか」は、キャリアの段階や状況によって大きく変わります。一律の答えはなく、自分の今のフェーズを見極めることが重要です。
独立直後のフリーランス(実務経験3年未満)
推奨:仲介案件メイン
フリーランス転換直後は、まず「安定して仕事を取り続ける」ことが最優先です。人脈もなく、契約の知識も薄い段階でエンド直に挑戦するのはリスクが高い。エージェント経由で安定収入を確保しながら、フリーランスとしての基盤(スキル・実績・人脈)を構築しましょう。
- まずエージェント経由で案件を安定獲得
- 業務に集中してスキルと実績を積む
- SNS発信・コミュニティ参加で人脈を広げ始める
中堅フリーランス(実務経験3〜5年、フリーランス歴1年以上)
推奨:仲介案件をベースにエンド直を試す
安定収入の基盤ができた段階で、少しずつエンド直案件を試し始めるタイミングです。既存の仲介案件を継続しながら、人脈からの紹介や副業的なエンド直案件に挑戦してみましょう。
- 仲介案件で安定収入を確保しつつエンド直を試す
- 1〜2社のエンド直案件を通じて交渉・契約経験を積む
- 顧問弁護士・会計士との関係構築も検討
上流経験者・ハイスキルフリーランス(設計・PM経験あり)
推奨:エンド直メイン
要件定義・アーキテクチャ設計・PMO経験がある方は、エンドクライアントが「顧問・CTO的なポジション」として直接契約したいケースが多い。単価150万円以上の案件もエンド直なら狙えます。
- 月150〜200万円超の高単価案件を狙う
- 複数案件のポートフォリオ運用も視野に
- エージェントは「保険」として1社程度維持
営業経験・コミュニケーション力が高い方
推奨:エンド直積極活用
技術力に加えて営業力・コミュニケーション力がある方は、エンド直の恩恵を最大限に受けられます。クライアントとの関係構築・継続受注・リファラル獲得が得意なため、稼働率を高く保てます。
| フェーズ | 推奨戦略 | 理由 |
|---|---|---|
| 独立直後 | 仲介メイン | 安定性・サポートが必要 |
| 中堅(1年以上) | 仲介+エンド直トライ | 基盤を活かしてリスク分散 |
| 上流経験者 | エンド直メイン | 高単価・直接交渉の強みを活かす |
| 営業得意 | エンド直積極活用 | 営業力で稼働率を高く保てる |
失敗しない案件選びの判断軸
単価の高低だけで案件を選ぶと、後悔することが多いです。以下の5つの判断軸を持っておくと、より良い意思決定ができます。
① 単価だけで判断しない
「エンド直だから単価が高いはず」という思い込みは危険です。エンド直でも相場より低い単価を提示してくるクライアントはいます。逆に、大手エージェント経由でも交渉次第で高単価を引き出せる場合があります。
重要なのは「スキルに見合った単価か」「市場相場と比較してどうか」という視点です。
② 稼働安定性を確認する
契約期間・更新条件・プロジェクトの継続性を必ず確認しましょう。「3か月更新」の案件と「6か月〜1年の長期想定」の案件では、稼働安定性が大きく異なります。
- 契約期間と更新の実績を確認
- プロジェクトのフェーズ(立ち上げ期か安定期か)
- クライアントの財務状況・事業安定性
③ 契約条件を細かく確認する
特にエンド直の場合、契約書の内容は自分で守る必要があります。以下の点は必ず確認・交渉しましょう。
- 業務範囲の明確化(スコープ外作業の扱い)
- 支払い条件(入金サイクル・遅延ペナルティ)
- 知的財産権の帰属
- 秘密保持義務(NDA)の範囲
- 契約解除条件と損害賠償
④ 自己営業力を正直に評価する
エンド直を選ぶ前に、自分の営業力を冷静に評価してください。「技術は得意だが、営業・交渉は苦手」という方が無理にエンド直に飛びつくと、案件獲得に費やすエネルギーが膨大になり、本業の質が下がることがあります。
⑤ リスクヘッジを設計する
エンド直をメインにする場合でも、エージェントとの関係を完全に切らないことをおすすめします。万が一案件が途切れた際のセーフティネットとして、1〜2社のエージェントとの関係を維持しておくと安心です。
案件選びのチェックリスト
- 月単価は市場相場と比較して適切か?
- 契約期間と更新実績は確認したか?
- 業務範囲は契約書に明記されているか?
- 支払い条件(入金サイクル)は確認したか?
- 自分のキャリア段階に合った選択か?
- ブランク発生時のリスクヘッジはあるか?
フリーランスエンジニアの案件探しはエンジニアファクトリー

「エンド直の方が稼げる」と言われる一方で、実際には案件獲得や契約交渉、稼働の空白期間など、フリーランスには見えにくいリスクも存在します。だからこそ大切なのは、“単価の高さ”だけでなく、安定して稼働できる環境を選ぶことです。
エンジニアファクトリーでは、13,000件以上の案件情報をもとに、希望単価・働き方・キャリア志向に合わせた案件提案を実施。継続稼働率95.6%という実績があり、独立直後の方でも安定して案件参画しやすい環境が整っています。さらに、専任コンサルタントが単価交渉や契約周りもサポートするため、「営業や条件交渉が不安」という方でも安心です。
「エンド直に挑戦したい」「まずは安定稼働を優先したい」など、キャリアフェーズに応じた相談ができるのもエンジニアファクトリーの強み。収入最大化と安定稼働、両方を見据えたい方は一度相談してみてください。
まとめ|収入だけでなく総合戦略で選ぶ
収入比較の再整理
| 比較軸 | エンド直案件 | 仲介案件 |
|---|---|---|
| 単価水準 | 高(マージンなし) | 中(マージン差し引き) |
| 年収ポテンシャル | 高い | 中程度 |
| 稼働安定性 | 自己責任で変動あり | エージェントがサポート |
| ブランクリスク | 高い | 低い(次案件紹介あり) |
| 契約・交渉 | 全て自己管理 | エージェントが代行 |
| 営業負担 | 大きい | 少ない |
| キャリア形成 | 上流関与・成長しやすい | 案件によって差がある |
| 向いている人 | 自己営業・上流経験者 | 独立直後・安定重視 |
最終的な判断のフレームワーク
エンド直案件と仲介案件、どちらが「正解」というものはありません。重要なのは、今の自分のキャリアフェーズ・スキルセット・リスク許容度に合わせた選択をすることです。
- 独立直後・人脈が少ない → 仲介案件で基盤を作る
- 実績が積まれてきた → 仲介をベースにエンド直を試す
- 上流経験・営業力がある → エンド直をメイン戦略に
- 収入を最大化したい → エンド直+稼働率確保のリスクヘッジ
フリーランスの収入は、「高い単価」だけでなく「稼働月数 × 単価」の掛け算で決まります。単価が高くても稼働率が低ければ、安定稼働できる仲介案件の方が年収は高くなることもあります。
大切なのは、目先の単価だけでなく「安定稼働できるか」「リスクをコントロールできるか」「自分のキャリアに合っているか」を総合的に判断することです。
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