Scalaは2003年に公開されたJavaの後継言語で、オブジェクト指向型と関数型のハイブリッド言語として今後の需要の高まりが期待されています。
また、Scalaはアプリ・ゲーム・Webサービスの開発など、幅広い用途で利用されています。世界的にも有名なTwitterやLinkedInなどもScalaを採用して開発されており、これからエンジニアを目指すなら学んでおきたいプログラミング言語です。
本記事では、Scalaとはどのようなプログラミング言語なのか、用途やメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
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Scalaとは？
Scalaは2003年に公開された比較的新しいプログラミング言語です。関数型とオブジェクト指向型の両方で使用でき、Javaとも互換性が高いです。
そのため、Scalaはアプリ・ゲーム開発、Webシステム・Webサイト開発、データ分析などで使用されることが多く、Javaとの互換性の高さからJavaに置き換えて利用されることもあります。
関数型で利用すると、関数のイメージでデータを処理・計算し、定義や応えを呼び出して処理後の数値を得ることができます。 オブジェクト指向型の場合は、特定の処理を行うプログラムを1つのものとしてまとめ、オブジェクトとして動作させることが可能です。 オープンソースソフトウェアであるため、誰でも無料で使用でき、大手企業のWeb開発、アプリ・ゲーム開発でも多く利用されています。
Scalaを使ってできることは？
Scalaを使ってできることには、次の3つがあります。
- Webサービス開発
- スマホアプリ開発
- 業務システム開発
できること①Webサービス開発
以前はJavaを使ったWebサービス開発が主流でしたが、最近はScalaを使って開発されたWebサービスも増えています。 特にWebサービスはスピード感が重視される傾向があり、実行速度だけでなく、同時にエラーを起こさない堅牢性も必要です。
Scalaはその2点にも優れており、さまざまな場面で利用されています。 例えば、次の大手WebサービスもScalaを使って開発されました。
- LINE
- SmartNews
- Foursquare
上記のほかにも、多くのWebサービス開発で利用されており、実績のあるプログラミング言語といえるでしょう。 Scalaは堅牢性と実行速度の高さが魅力であり、SNSや情報アプリのようなスピード感が求められるWebサービスと相性が良いとされています。
できること②スマホアプリ開発
スマートフォンアプリの中でも、AndroidアプリはScalaまたはJavaで作られることが多くなっています。 Scalaで作成されたスマホアプリは次のものがあります。
- LINE
- SmartNews
iOSでのアプリ開発には適していないため、スマホアプリ開発に利用するならAndroidのみになります。ただし、近年はScalaと同じ静的型付け言語であるKotlinを使用する企業が多いです。
できること③業務システム開発
業務システム開発とは、企業の業務を効率化したり、帳簿を管理したりするシステムで、企業の日常業務で使用されるシステムを開発することです。 業務システム開発では、最も重要なのがエラーや障害を起こさない堅牢性です。 メンテナンスのために人材は必要ですが、安定した稼働を続けるためには、安定性と実行速度の高さからScalaは多くの企業で採用されています。
例えば、次の企業がScalaを採用して業務システム開発を行っています。
- ドワンゴ
- ビズリーチ
- サイバーエージェント
大手企業が採用していることからも、Scalaの信頼性の高さがわかります。
Scalaを使用するメリット
Scalaを使用するメリットについてご紹介していきます。
- 使用するコードの量が少ない
- シンプルでエラーが少ない
- Javaとの互換性がある
- オープンソースで改変しやすい
- 平均年収が高め
メリット①使用するコードの量が少ない
Scalaのメリットの1つ目は、使用するコードの量が少ないという点です。 プログラミングでは、複雑なプログラムコードになるほど、そのコード量は増えていきます。 Javaは複雑なプログラムを組もうとすると、膨大なコード量が必要になります。
一方、Scalaを利用すると、同じ内容のプログラムでもJavaの半分程度になるため、作業量も大幅に少なくなるというメリットです。 またコードがシンプルになれば、他の人からも理解しやすくなり、チームでシステム構築などを行っている際にも、評価とアドバイスをもらいやすくなります。
そのため、コードの量の少なさはScalaの大きなメリットといえるでしょう。
メリット②シンプルでエラーが少ない
Scalaはコードの量が少なく、シンプルな内容となるため、エラーが少ない点もメリットです。 コード量が多くなれば、その分プログラムは複雑性を増し、エラーの発生頻度も多くなります。 例えるなら、多くの糸が束ねられると次々に絡まってしまうのと同じようなものです。
一方、Scalaならコード量が少ない分、エラーの発生頻度が下がることに加え、エラーが発生しても発見しやすいというメリットもあります。 全体のコード量が少なくなるため、エラーの原因も探しやすいのです。
メリット③Javaとの互換性がある
Scala3つ目のメリットは、Javaと互換性があり、ライブラリを使用できるという点です。 Javaはプログラミング言語として多くの実績があり、そのライブラリもさまざまなものがあります。 通常、新規のプログラミング言語はライブラリがほとんどないため、1から積み上げていく必要があります。 Scalaに関してはJavaのライブラリを使用できることから、開発の負担を大幅に減らせる点が強みです。
また元々Javaを習得している人なら、Scalaへの理解も早く、互換性が良い方向に働くことで馴染みやすいプログラミング言語といえるでしょう。
メリット④オープンソースで改変しやすい
Scalaの4つ目のメリットは、無料で利用できるオープンソースであることです。 オープンソースのプログラミング言語であるため、誰でも利用でき、コードのカスタマイズもしやすい点が強みです。
つまりエンジニアが使いやすい仕様に自由に改変でき、さまざまなアプリ、システムの開発に利用できます。 また、Scalaはオブジェクト指向型と関数型の両方を扱えることから、元々用途が幅広いという特徴があります。
そのため、エンジニアにとって利用しやすいプログラミング言語の1つです。
メリット⑤平均年収が高め
プログラミング言語にはそれぞれに利用頻度や人気があり、使用頻度が多い言語ほどエンジニアの平均年収も高くなります。
あくまで参考ですが、ScalaとJavaでは、平均年収にして70万円ほどの開きがあります。
| プログラミング言語 | 平均年収 |
| Scala | 626万円 |
| Python | 601万円 |
| Kotlin | 577万円 |
| Swift | 562万円 |
| Ruby | 562万円 |
| Java | 552万円 |
| Perl | 551万円 |
| C言語 | 538万円 |
| JavaScript | 536万円 |
| PHP | 522万円 |
※出典：プログラマー年収ランキング2017！（スタンバイplus＋）
上記の通り、Scalaは他のプログラミング言語から頭ひとつ抜けて年収が高く、給与ベースで考えるなら習得しておく価値が高いプログラミング言語といえます。
Scalaを使用するデメリット
Scalaを使用するデメリットについてもご紹介します。
- 習得難度の高さ
- 統合開発環境（IDE）が十分に整っていない
- 求人数が少ない
デメリット①習得難度の高さ
Scalaは優れたプログラミング言語ではありますが、他のプログラミング言語に比べて学習難度が高いというデメリットがあります。 Scalaにはオブジェクト指向型と関数型の2種類があるため、どちらも学ぶには相当な時間と努力が必要です。 その分、習得できれば強い武器にもなりますが、通常のプログラミング言語よりも習得が難しく、使いこなすには時間がかかることは理解しておきましょう。
デメリット②統合開発環境（IDE）が十分に整っていない
Scalaはプログラミング言語の中では後発で、統合開発環境（IDE）が整っていないという点もデメリットです。 その原因として、コンパイル速度が遅く、コーディングの補助の面でJavaに比べて劣っていることが挙げられます。 ただし新しいプログラミング言語には共通の課題でもあるため、今後改善されていくことが期待できます。
デメリット③求人数が少なめ
Scalaは比較的新しいプログラミング言語であることから、Scalaに関連したエンジニアの求人数が少ないというデメリットもあります。 以前から採用されているJavaに比べて少ないため、求人探しではやや苦労するかもしれません。
しかし今後さらに普及していけば求人数が増えることも予想できるため、これはあくまで現時点でのデメリットといえます。 また、求人数が少ないということはScalaを扱える人材が少なく、給与も高くなりやすいことから、ある意味でメリットとも受け取れます。
Scalaで開発されたサービス
Scalaは歴史こそ浅いプログラミング言語ですが、日本でも多く利用されているアプリやWebサービスの開発で採用されてきました。 どのようなサービスが開発されてきたのかご紹介します。
- Chatwork
今や世界でも多くのユーザーがいるSNSの「Twitter」も、Scalaを利用して開発されました。 140文字以内という短文の中で、自由に画像や動画、音声などを自由に発信できるサービスです。 日本国内の月間アクティブユーザーは4,500万人以上、世界では3億人以上として世界的にも広く知られています。
Chatwork
Chatworkはクラウド型ビジネスチャットツールとして、メッセージ機能やファイル共有機能、タスク管理、ビデオ通話機能、グループチャットなどの機能を持っています。 スマホアプリのLINEをビジネスに特化させた機能性を保有しており、スマホでもパソコンでも利用できます。主に日本を中心としたアジアで広く使用されているWebサービスです。
LinkedIn（リンクトイン）は、アメリカで運営されている世界最大のビジネス特化型のSNSです。 求人やスカウト、取引先との連絡など、ビジネスシーンで活躍するSNSとして広く認知されています。 登録者はこれまでの経歴、バックグラウンド、現在の役職・ポジション、上司・同僚などと繋がり、ビジネスに必要な情報が包括的にまとめられます。 世界では5億4,000万人以上が利用しているとされ、2016年にはMicrosoftに買収されたことでも有名です。
Scalaの将来性は？
Scalaの将来性としては、Javaの後継言語として採用する企業が増えていくと予想できます。 ScalaはJavaとの互換性があり、ライブラリも使用できることから、統合開発環境が充実すればJavaに代わるプログラミング言語になるでしょう。 コードがシンプルで堅牢性と実行速度に優れ、エラー発生時の原因追究もしやすいことから、エンジニアにとって学んでおいて損はありません。
一方で、ハイブリッド言語である特性上、習得までに多くの時間を要するため、将来の需要を考えるなら早いうちに学習を開始すべきです。 Scalaは操作できる人材が少なく、取り扱える人材は平均年収も高いことから、今後もIT業界で必要とされるはずです。 将来Scalaによるアプリ・システム・Webサービス開発が一般化することに備え、学習しておくことをおすすめします。
Scalaを学ぶ際の注意点
Scalaはこれから需要が高まっていくと予想されるプログラミング言語ですが、初心者が学ぶには難しい点も多くあります。 Scalaはハイブリッド言語であるため、大前提としてオブジェクト指向型と関数型のプログラミングの両方を理解していなければなりません。 初心者から学ぶ場合は多くの時間を要しますが、決してプログラミング初心者だからScalaを習得できないということはありません。 むしろ余計な知識が入っていない分、努力した分だけ身に付けることができるでしょう。
ただし学ぶのであれば独学ではなく、プログラミングスクールや書籍で順序立てて、必要な知識を基礎から学ぶことが重要です。 独学では学習内容にムラが出やすいため、習得に時間の掛かるScalaを学ぶには不向きです。 Scalaを習得してエンジニア・プログラマーとして活躍したい方は、プログラミングスクールや書籍で正しい知識とスキルを学んでください。
Scalaを学ぶのにおすすめの書籍
Scalaスケーラブルプログラミング （出版元：インプレス）
これから必要とされる優れたプログラミング言語
Scalaは学習コストが高いというデメリットを除けば、これから採用する企業が多くなり、将来性に期待が持てるプログラミング言語です。 統合開発環境が不十分というデメリットも、時間と共に解決されていくでしょう。 これから先はScalaを扱えるエンジニア・プログラマーの需要が高まり、求人数が増えると考えられます。
自らの手で国内・海外で広く利用されるアプリ・システム開発を行いたい方は、ぜひScalaを学んでみてください。
Scalaの求人ならエンジニアファクトリー
フリーランスとして独立を考えている方は、IT業界に精通しているエンジニアファクトリーに相談してみましょう。
エンジニアファクトリーはITエンジニア向けの案件を多く保有しているからこそ、Scalaを使った案件のご紹介が可能です。またScala以外でも多くの開発案件もあるため、キャリアアップしたい、年収を上げていきたいと考えている方はコンサルタントに相談してみるとよいでしょう。特にフリーランスとして駆け出しのときには、プロのコンサルタントに相談できることはとても心強く、安心感があります。
まずはScalaを使った案件はどのようなものがあるのか、チェックしましょう。具体的に仕事内容や、求められるスキルなどもイメージできるはずです。
