クラウド型データウェアハウス比較:BigQuery・Redshift・Snowflake・Databricksの違いと選び方

クラウド環境でデータ基盤を構築する際には、オンプレミスとは異なる観点でサービスを選定する必要があります。

近年は各クラウドベンダーから高性能かつスケーラブルなデータ基盤サービスが充実しており、これらを組み合わせてエンド・ツー・エンドでデータ分析環境を実装するケースが増えています。

本記事では、主要なクラウドのデータウェアハウスの特徴について現役のデータエンジニアの視点からR.Kotomoがわかりやすく解説します。

「実際に調べてみたけど、それぞれの特徴や強みがよくわからない。」などの悩みが少しでも解決できれば幸いです。

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この記事の目次
  1. データウェアハウスとは?
  2. BigQueryの特徴
  3. Redshiftの特徴を解説
  4. Snowflakeの特徴
  5. Databricksの特徴
  6. データエンジニアの案件探しならエンジニアファクトリー
  7. まとめ

データウェアハウスとは?

データウェアハウス(DWH)とは、企業内のさまざまな情報源からデータを集約し、分析や意思決定に活用するために一元管理するデータベースやストレージです。

企業は日々、多種多様なデータを生成していますが、これらのデータは異なるシステム(業務システムや基幹システムなど)や形式で保存されていることが多く、統合的な分析が難しい場合があります。

データウェアハウスは、これらのデータを統合・蓄積し、分析に適した形で保存することで、迅速かつ的確な意思決定を支援します。

実際に小売業を例にあげると、販売データ、在庫データ、顧客データなどをデータウェアハウスに集約し、売上分析や需要予測に活用します。エンジニア向けにいうと、第3正規形のデータモデルをデータウェアハウスで活用していると考えることができます。

繰り返しになりますがデータウェアハウスは、企業が保有する膨大なデータを統合・管理し、ビジネスインテリジェンスや分析の基盤として、競争力のある意思決定をサポートする重要なシステムです。

データウェアハウスに求められること

データウェアハウスには、大量のデータを効率的かつ高速に処理できる性能、セキュリティとアクセス制御、そして将来的なデータ量の増加やビジネス要件の変化に対応できるスケーラビリティなどが求められます。

理由としては企業がデータに基づく意思決定を行うためには、信頼性の高いデータと迅速に処理・分析できる環境が必要だからです。また、データの機密性を守るためのセキュリティ対策やビジネスの成長に伴うデータ量の増加に対応する柔軟性も重要な要素となります。

実際にデータウェアハウスでは性能やセキュリティ・アクセス制御について下記のような技術を用いています。

性能超並列処理、列指向ストレージ、ストレージとコンピューティングの分離
セキュリティとアクセス制御行や列単位でアクセス権限を設定し、ユーザーの役割や必要性に応じてデータの一部のみへのアクセスを許可と暗号化を施すことで、データの機密性と安全性を確保します。

データウェアハウスは、企業のデータ戦略の中核を担うシステムであり、性能、データ統合、セキュリティ、スケーラビリティといった要件を満たすことで、ビジネスの成長と競争力の維持に貢献します。

オンプレミス型とクラウド型の比較

データウェアハウスの導入形態には、オンプレミス型とクラウド型があり、インフラの設置場所、コスト、管理の柔軟性、スケーラビリティなどに違いがあります。

オンプレミス型自社内にサーバーやストレージを設置するため、初期導入コストが高く、ハードウェアの管理やメンテナンスが必要ですが、データのセキュリティやカスタマイズ性に優れています。
クラウド型クラウドサービスを利用するため、初期費用を抑えやすく、必要に応じてリソースを柔軟に拡張できます。また、インフラの管理負荷が軽減される一方でデータの所在やセキュリティに関する考慮が必要です。

下記でオンプレミス型のデータウェアハウスとクラウド型のデータウェアハウスの例を挙げます。

オンプレミス型データウェアハウスの例

TeradataDWHのパイオニア的存在であり、大規模データの高速処理と高度な分析機能を備えています。
IBM Netezza専用ハードウェアを用いた高性能DWHアプライアンスで、迅速なデータクエリと分析を実現します。
Oracle ExadataOracleが提供する統合型システムで、高速なデータ処理と高い可用性を特徴としています。

クラウド型データウェアハウスの例

Google BigQueryGoogle CloudのサーバーレスDWHで、大規模データのクエリを高速に実行し、自動スケーリング機能を備えています。
Amazon RedshiftAWSが提供するフルマネージド型のクラウドDWHで、ペタバイト級のデータを高速に処理できます。
SnowflakeクラウドネイティブなアーキテクチャでSaaSとしてDWHを使え、ストレージとコンピューティングの分離により、柔軟なスケーリングと高いパフォーマンスを提供します。
DatabricksオープンソースのApache Sparkを基盤としたクラウドベースのデータプラットフォーム です。AWS、Azure、Google Cloudの主要なクラウドプラットフォーム上で利用可能で、スケーラビリティやコスト効率の高いデータ分析環境を提供します。

データウェアハウスの導入に際しては、組織の所有しているデータ、セキュリティ要件、コスト、運用体制、将来的な拡張性などを総合的に考慮し、オンプレミス型とクラウド型のいずれが適しているかを判断することが重要です。

以降ではBigQuery、Redshift、Snowflake、Databricksについて特徴や強みを解説していきます。

BigQueryの特徴

BigQueryは、Google Cloudが提供するサーバーレスのデータウェアハウスであり、大量のデータを高速かつ効率的に分析するためのサービスです。

そのためインフラ管理の必要がなく、スケーラブルなデータ分析を可能にするサーバーレスアーキテクチャを採用しています。これにより、ユーザーはデータのインポートやクエリの実行など、分析業務に集中できる環境が整っています。

BigQueryは、ペタバイト級のデータセットに対しても、数秒から数分でクエリ結果を返す高速なデータ処理ができます。また、使用したデータ量に応じた従量課金制を採用しています。

繰り返しになりますがBigQueryは、サーバーレスでスケーラブルなデータ分析環境を提供し、高速な処理能力と柔軟な料金体系により、企業のデータドリブンな意思決定をサポートします。

BigQueryの強み

BigQueryの強みは、高速なデータ処理能力、サーバーレスによる運用負荷の軽減、柔軟な料金体系、そして他のGoogleサービスとの高い連携性にあります。

高速なデータ処理列指向データストレージとツリーアーキテクチャにより、膨大なデータを短時間で処理できます。
サーバーレスによる運用負荷の軽減インフラ管理が不要で、リソースの自動スケーリングにより、運用負荷を大幅に軽減します。
従量課金制による柔軟な料金体系クエリの処理にかかる費用とストレージ料金に対して課金されます。
他のGoogleサービスとの高い連携性Google AnalyticsやGoogle Adsなどのデータを容易に統合・分析できます。

BigQueryは、高速なデータ処理能力、運用負荷の軽減、コスト効率の良さ、そしてGoogleサービスとのシームレスな連携により、企業のデータ分析基盤として非常に優れた選択肢となります。

特にdbtやdataformなどのDataOpsツールとBigQueryを併用することで、ELTを構築している企業が多いと感じています。

Redshiftの特徴を解説

Amazon Redshiftは、AWSが提供するフルマネージド型のデータウェアハウスサービスです。大規模なデータを高速かつ効率的に分析するために設計されており、超並列処理(MPP)アーキテクチャと列指向データストレージを採用しています。これにより、膨大なデータの処理を迅速に行うことができます。

クラウドベースのサービスであるため、オンプレミス型よりもスケーラビリティやコスト効率に優れています。edshiftのスケールアップおよびスケールダウンの仕組みは、 クラスタベースのアーキテクチャに基づいており、ノードの追加・削除やコンピューティングリソースの調整によって実現されています。

繰り返しになりますがRedshiftは、高性能なデータ処理能力と柔軟なスケーラビリティを備えたデータウェアハウスサービスとして、企業のデータ分析基盤に最適な選択肢の1つとなります。

BigQueryとRedshiftの比較

RedshiftとBigQueryは、いずれもクラウドベースのデータウェアハウスサービスですが、そのアーキテクチャには以下のような違いがあります

比較項目RedshiftBigQuery
アーキテクチャの構成・クラスタベースのアーキテクチャ
・ユーザーがリーダーノードと複数のコンピューティングノードからなるクラスターをプロビジョニング
・ノードのタイプや数を設定する必要あり
・サーバーレスアーキテクチャ
・ユーザーによるインフラ管理は不要
データの格納方式・列指向データストレージを使用
・特定の列に対するクエリ性能が高い
・データ圧縮率が高い
・列指向データストレージを使用
・独自のツリーアーキテクチャを組み合わせて最適化
・トラフィックを最小化しつつ、高速なデータ分析が可能
コスト面・クラスターノードの数と種類、使用時間に応じて課金・データのストレージ使用量とクエリ実行時のデータ処理量に応じて課金

RedshiftとBigQueryの違いは上記がすべてではありませんが、こうした特徴を踏まえたうえで、企業が保有するデータの規模や用途、運用体制に合ったデータウェアハウスを選ぶことが大切です。

Snowflakeの特徴

Snowflakeは、クラウド環境に最適化されたデータプラットフォームです。データの蓄積、管理、分析を効率的に行うことができ、ストレージとコンピュートを分離した独自のアーキテクチャを採用しているため、高いスケーラビリティとパフォーマンスを実現しています。

また、マルチクラウド対応やデータ共有機能など、多彩な特徴を備えている点もSnowflakeの魅力です。

Snowflakeの強み

Snowflakeは、ストレージ・処理・管理の3つを明確に分離したアーキテクチャを採用しています。この構成により、柔軟なスケーリング、安定したクエリ性能、シンプルな運用管理が同時に実現されているのが特徴です。以下に、各レイヤーの役割をまとめます。

データベースストレージレイヤー(データ保存と最適化)・データは列指向形式に最適化・圧縮され、クラウドストレージに保存される
・ファイルサイズや圧縮、統計情報などの管理は自動
・SQLクエリ以外からはアクセス不可
クエリ処理レイヤー(クエリ処理)・仮想ウェアハウスによるMPP(超並列処理)で高速クエリ実行
・各ウェアハウスはリソースを共有せず、処理が干渉しない
クラウドサービスレイヤー(管理と制御)・認証、メタデータ管理、アクセス制御などを担う
・ユーザー操作(ログイン〜クエリ実行)を処理し、各機能をつなぐ役割

Snowflakeは、柔軟なリソース管理、広範なクラウド対応、安全なデータ共有、そして低い運用負荷に加え、3つの特徴的なアーキテクチャにより、企業のデータ戦略を支援するプラットフォームです。

Databricksの特徴

Databricksは、データレイクとデータウェアハウスの利点を融合した「レイクハウスアーキテクチャを提供する、クラウドベースのデータプラットフォームです。このアーキテクチャにより、データエンジニアリング、データサイエンス、機械学習、ビジネスインテリジェンスといった多様なデータワークロードを、単一のプラットフォーム上で効率的に処理することができます。

また、DatabricksはApache Sparkを基盤とし、Delta LakeやMLflowなどのオープンソースプロジェクトを活用することで、高速かつ柔軟なデータ処理と管理を実現しています。

Databricksの強み

Databricksの強みは、データレイクとデータウェアハウスの利点を融合した「レイクハウスアーキテクチャ」により、データの統合管理と多様な分析ニーズに対応できる点にあります。

レイクハウスアーキテクチャは、データの一貫性、信頼性、スケーラビリティを確保しつつ、構造化データと非構造化データの両方を単一のプラットフォームで処理可能にします。これにより、データサイロを解消し、データエンジニアリング、データサイエンス、機械学習、ビジネスインテリジェンスなど、さまざまなデータワークロードを効率的に統合できます。

Delta Lakeの活用・オープンソースプロジェクトであるDelta Lake(レイクハウス)を活用
・ACIDトランザクション、スキーマ管理、データのバージョン管理に対応
・データの整合性と信頼性が向上し、高いパフォーマンスを発揮
MLflowの統合・機械学習モデルのライフサイクル管理を支援
・モデルのトラッキング、パッケージ化、デプロイメントが容易
・効率的なモデル開発・運用を実現
クラウドネイティブな設計・主要クラウドプロバイダー(AWS、Azure、GCP)に対応
・ユーザーは最適な環境を選択可能
・柔軟なリソース管理とコスト効率の高い運用が可能
レイクハウスアーキテクチャ・データレイクとデータウェアハウスの機能を統合
・バッチ処理とストリーミング処理の両方に対応
・構造化/非構造化データの処理を単一プラットフォームで実現

Databricksは、レイクハウスアーキテクチャを通じて、データの統合管理と多様な分析ニーズに対応する柔軟で高性能なプラットフォームを提供し、企業のデータ活用をサポートします。

実際にDatabricksを機械学習システムのプラットフォームとして活用し、データの取り込みから機械学習モデルの開発・運用までをDatabricksで一元管理することでビジネス価値を生み出している企業が増えてきています。

「どれが優れているか」ではなく「何をしたいか」で選ぶ

BigQuery、Redshift、Snowflake、Databricksはいずれも優れたクラウド型データウェアハウスですが、用途や組織の体制によって適した選択肢は変わります。

たとえば、

  • インフラの管理を極力省きたいならサーバーレス型のBigQuery
  • 既にAWSを活用している企業ならRedshift
  • 柔軟なスケーリングと高い独立性を求めるならSnowflake
  • データエンジニアリングから機械学習まで一貫して扱いたいならDatabricks

ちいった選び方ができます。大切なのは「何ができるか」よりも「自社は何をしたいか」。自社の要件と照らし合わせながら、それぞれの強みを活かせるサービスを選んでみてください。

データエンジニアの案件探しならエンジニアファクトリー

ITエンジニアの案件探しならエンジニアファクトリー

クラウドDWHやデータ基盤に強いエンジニアの需要が高まる中、DatabricksやSnowflake、BigQueryといった最新技術を扱う案件で、スキルを活かしたい方は「エンジニアファクトリー」がおすすめです。公開案件7,000件以上、継続率95.6%と実績も豊富。さらに、年商300万円以上アップした事例もあります。

フリーランス経験者が多く登録する理由は、単なる案件紹介にとどまらず、キャリアや希望条件に寄り添ったサポートがあるから。まずは情報収集の感覚で、お気軽にご連絡ください。

まとめ

データウェアハウスは、企業が蓄積する膨大なデータを統合・管理し、迅速かつ的確な意思決定を支援するための分析基盤です。近年、クラウドベースのデータウェアハウスが主流となり、BigQuery、Redshift、Snowflake、Databricks といった製品が多様なビジネスニーズに応じて選ばれています。

各データウェアハウス製品はそれぞれ異なるアーキテクチャと強みを持っているため、ビジネス要件や技術スタックに応じて最適なソリューションを選択することが重要です。

データドリブンな意思決定を加速するために、最適なデータウェアハウスを選び、最大限に活用することが競争力の鍵となります。

見出しは本文作成後にこちらで具体的に変更する可能性があります。

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