エンジニアの腰痛対策!デスクワークで起こる健康障害と予防法

オーストラリア研究機関の調査によると、日本人が平日に座っている時間は7時間、世界20カ国中、最長とされています。この調査は新型コロナウイルスが流行する以前の調査で、コロナ禍のステイホーム、在宅勤務導入により、日本人の平均座位時間は1日あたり34分増加しているようです。

座りっぱなしの時間が長くなると、健康への影響が懸念されるだけでなく、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼす可能性があるとされています。特にエンジニアのように長時間のデスクワークが求められる職種では、無意識のうちに座位時間が増えやすく、注意が必要です。では、長時間の座位が心身にどのような影響を与えるのか、そしてエンジニアが健康を維持するために実践できる予防策についてご紹介します。

エージェントサービス「エンジニアファクトリー」では、ITフリーランスエンジニアの案件・求人の紹介を行っています。掲載中の案件は7,000件以上。紹介する案件の平均年商は810万円(※2023年4月 首都圏近郊のITエンジニア対象)となっており、スキルや言語によって高条件の案件と出会うことができます。

氏名やメールアドレス・使用できる言語を入力するだけで、簡単60秒ですぐにサポートを開始できます。案件にお困りのITフリーランスの方やより高条件の案件と巡り合いたいと考えている方は、ぜひご登録ください。

デスクワークと腰痛の関連性

デスクワークでは、長時間の同じ姿勢、誤った座り方によって腰痛を生じることがあります。デスクワークで前傾姿勢が続くと、背骨の形、本来のS字湾曲が崩れてしまい、それを補おうとして首や背中の筋肉が疲労し、腰痛となるのです。

腰痛が引き起こされるメカニズム

座位姿勢で腰にかかる負荷量が増える理由は2つ挙げられます。

  • 同じ姿勢を続けること
  • 重力を支える床反力が直接腰部(座面)だけに加わること

座位に限らず、同じ姿勢を続けると腰椎内圧が高まります。また、長時間にわたり同じ姿勢をとっていると、筋肉が固縮し、血流の悪化が生じます。

また、立位では重力を支えるのが足裏であり、S字湾曲が腰部のクッションとなりますが、座位では重力を支えるのが座面だけになり、腰椎に負担がかかります。長時間座位姿勢をとると、下半身の大きな筋肉であるハムストリングスが固まって、骨盤が引っ張られます。そのため「仙骨座り」という悪い姿勢になり痛みの原因となります。

姿勢の悪化や筋肉の緊張による影響

VDT作業による身体的疲労や症状の内容

座位時間が長くなることに加えて、VDT作業(ディスプレイなど用いた情報機器作業)の長時間化で、身体的な疲れや自覚症状も出てきます。

古いデータですが、厚生労働省の技術革新と労働に関する実態調査2008では、仕事でのVDT作業で身体的な疲労や症状を感じている労働者の割合は約7割、内容別でみると「目の疲れ・痛み」「首、肩のこり・痛み」「腰の疲れ・痛み」の順となっています。VDT作業時間別にみると、1日あたりの作業時間が長いほど、身体的な疲労や自覚症状がある人が増えています。

長時間座り続けていると、血流や代謝機能が低下し、腰痛以外にも不調が起こります。

腰痛以外に潜む健康リスク5つ

2021年6月、京都府立医科大学大学の小山講師ら研究グループの研究では、6万人を超える日本人を7.7年間追跡し、座位時間が長いほど死亡リスクが増加するという論文を発表しました。座位時間が長いと、どのような健康障害を生じるのでしょうか。

座位時間が長いと「生活習慣病になりやすい」

座位時間が長いと、血行不良と代謝の低下を招き、血流が悪化するとむくみや血栓の原因になることが考えられます。座位時間が2時間長いと死亡リスクが15%上昇するという結果があります。

座りっぱなしによる死亡リスクは、生活習慣病の有病があると大きくなります。高血圧、脂質異常症、糖尿病の3つの生活習慣病を保有している人は、日中の座位時間が2時間増えるごとに死亡リスクが42%高まるという研究結果もあります。(京都府立医科大学 日本多施設共同コーホート研究

座位時間が長くなると、以下のようなメカニズムで生活習慣病のリスクが高くなります。

  • 下半身の筋肉が動かないため、血流や血中の脂質代謝が低下する
  • 血中の中性脂肪が増加し、善玉コレステロールが減少する
  • 血中インスリン感受性が低下する(血糖値がコントロールしづらくなる)

座位時間が長いと、がんのリスクが高まる

座位時間が長いと、がんのリスクが高まることが報告されています。がん対策研究所の予防関連プロジェクト「職業性座位時間とがん罹患リスクとの関連」の調査結果では、職業性座位時間の長さは男性で「膵がん」の罹患リスクが高くなり、女性では「肺がん」の罹患リスクが高くなるという結果でした。

はっきりとしたメカニズムはわかっていませんが、身体活動の低下によるインスリン抵抗性の促進、慢性炎症ががん全体の共通リスクとされているので、インスリン抵抗性と関連のある膵がんが高かったと考えられます。欧米の研究では、肥満を介して、結腸がんのリスクが高いことが報告されています。

認知症になる人が増える

アメリカの大学研究チームが英国の高齢者約5万人を対象として行った高齢者の座位行動と認知症発症の調査では、行いました。座位時間が1日10時間を超えると、認知症の発症率が急激に高まるという結果でした。

長時間の座りっぱなしが認知症のリスクを上げる主な理由は、他の病気を介して発症する可能性があると考えられています。長時間の座りっぱなしの生活は、高血圧、心疾患、糖尿病、精神病などの慢性疾患のリスクを増加させ、結果として認知症にもつながるというのです。

メンタルヘルス不調を引き起こす

座位時間が長いことは、身体機能のみでなく、メンタルヘルスへの影響も報告されています。男性では座位時間が長いほど、メンタルヘルス不調が増加する傾向がありました。

1日12時間以上になると、6時間未満と比べ、メンタルヘルス不調の発生が2.7倍以上になります。女性は男性のように時間との相関が見られませんでした。

将来、寝たきりになる確率が高くなる

働き世代、若い世代でも筋力低下によるプレフレイル(フレイル予備群)が増えていると専門医の8割が指摘しています。プレフレイル増加の要因は「運動量低下」「栄養バランスの乱れ」「うつ傾向」「睡眠の質・量の低下」です。

長時間座り続けていると、全身の最も大きな筋肉である大腿筋や「第二の心臓」とも言われるふくらはぎの筋肉が働かず、筋肉量の低下や血流低下を招きます。その結果、生活習慣病や肥満・骨粗鬆症などのリスクが高まるようです。

腰痛やその他の健康リスクを予防する方法

運動不足を解消するために仕事帰りにジムにいったり、週末に運動しているという健康意識の高まりがあると思います。どのような対策が効果的なのでしょうか。

「アクティブ・カウチポテト」とは?

日常的に運動をしているなど健康意識が高いにもかかわらず、仕事中の長時間の座位時間が原因で健康リスクが残る人々を「アクティブ・カウチポテト」と言います。

カウチポテトは寝椅子(カウチ)でくつろいでポテトチップを食べながらテレビを見て過ごすなど、自分一人の中に閉じこもって精神的な安らぎを求めるライフスタイル、また、そのような生活を好む人という意味で、アメリカで生まれた言葉です。

一方、アクティブ・カウチポテトは、週に数回の運動習慣があり、仕事帰りにジムに通っているけれども、日中はデスクに座りっぱなしというようなライフスタイルをしている人を指します。一見すると、健康的な習慣に見えますが、実は座りすぎによる健康リスクが残っている状態です。

京都府立医科大学が行った研究では、「座っている時間が長いほど死亡リスクが増加する」「余暇時間の運動活動量を増やしても完全に抑制できない」という結果が発表されています。「週末は運動をしているから大丈夫」は間違いなのです。

座りすぎと運動不足は異なる形で体にダメージを与えるので、日常的に座りすぎを防ぐ取り組みをすることが必要です。

職場(在宅勤務)でできる対策

欧米で普及している昇降デスクですが、オフィスワークに立ち姿勢を取り入れる対策の効果は、腰痛予防だけではないようです。様々な企業が、高さを調整し、立ったり座ったり姿勢を変えて仕事ができる昇降デスクを導入しており、導入した企業では半数以上が、健康面、効率面で効果があったと言います。心身の健康を目指した結果、集中力を高め、生産性を向上させることにもつながっています。

単純に長く立ち続ければ良いわけではなく、座った状態を基本にしつつも、合間に立ち姿勢に変えたり、姿勢を変えながら働くことが重要だと考えられます。

また、定期的に簡単なストレッチをするのも効果的です。ストレッチには反動や動きを伴う動的ストレッチと、
筋肉を伸ばした状態で静止する静的ストレッチングがあります。おすすめは筋肉への負担が少ない静的ストレッチです。息を止めずに筋肉をゆっくりと伸ばすことを意識して行いましょう。

フリ-ランスの案件を探すなら「エンジニアファクトリー」

プログラマーの求人ならエンジニアファクトリー

エンジニアファクトリーは、フリーランスエンジニア向けに最適な案件をご紹介するサービスです。公開案件は7,000件以上、IT業界専門歴16年の実績を誇り、80%以上の方がエンジニア歴10年以上と、経験豊富なプロフェッショナルに選ばれ続けています。

また、案件の継続率は95.6%と高く、安定した仕事環境を提供しています。さらに、案件紹介後も丁寧なサポートを行い、エンジニア一人ひとりのキャリア形成をしっかりとサポート。信頼できるパートナーとして、あなたの成長を後押しします。フリーランスとしての活動をより充実させたい方、エンジニアファクトリーで新たな一歩を踏み出してみませんか?

まとめ

厚生労働省は「健康づくりのための身体活動基準」の改訂版を発表する予定で、長時間連続した座位行動を中断する「ブレイク・サーティ(30分に1回は立ち上がり、からだを動かす)」の重要性が盛り込まれる見込みです。

座位姿勢で長時間の仕事をする人は、できる対策から始めてみてはいかがでしょうか。

ライター:馬場恵実

開業保健師、キャリアコンサルタント。元集中治療室ナース。結婚・出産後は、在宅医療の訪問ナースを経験。大学院進学中に企業保健師のアルバイトを始めたことがきっかけで、健康経営に魅せられる。4人の育児と両立しながら、事業会社の人事総務畑で約10年、製造業の安全衛生管理、ソフトウェア会社のエンジニア採用ほか人事の仕事に携わる。現在、ライターとしては、主に医療系記事や人事系記事を執筆中。

馬場恵実

新着の案件一覧