「論点」を生むために、言いにくいことも言う。大企業の上流工程で活躍するPM/PMOに話を聞いてみた。
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今回は、エンジニアファクトリーで実際に稼働されているエンジニアの方に、現在のお仕事やフリーランスエンジニアになったきっかけ、前職のこと、エンジニアファクトリーを利用した理由などについてインタビューしました。
エンジニアプロフィール:大石晋司さん
大手シャッターメーカーで施工管理業務を行いながら、チームビルディング・マネジメントを経験。異業種ながらそのマネジメント経験を活かし、IT業界/エンジニアへと転身。以降フリーランスとしてIT/DXコンサルタントとして大手新聞社や航空会社、テーマパーク等、大手企業の開発プロジェクトに参画。オンライン印刷システムの構築案件でも開発したシステムで第5回Ruby大賞(励賞受賞)を受賞するなど、多数の実績を出す。PM/PMO業務の他、ベンダー側のシステム統括等の上流工程でもアーキテクト選定~設計で強みを発揮、多彩なご経験を持つ。
<この記事はこんな人におすすめ!>
- フリーランスの働き方に興味がある方
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「ITの時代が来る」独学でHP作成の仕事をスタート
ーーIT業界に入られた経緯を教えてください。
大石さん:もともとシャッターメーカーで施工管理をしていましたが、業務範囲がとても幅広く、トラックでの輸送からチームビルディングやマネジメント、職人さんとのやりとりまで携わっていました。
様々な業務を進めるなかでスキルアップにはつながりましたが、朝は6時から夜11時までの仕事になることもあり、30代半ばになって体力的に続けられるのか不安になったんですね。
施工管理の仕事の中で、シャッターを制御するプログラムはC言語を使用していたのでITにはもともと触れる機会があったわけです。 そこでエンジニアとしての基盤を作って、35歳でシャッターメーカーを退職しました。
その後は、フリーランスとしてホームページを作成する仕事をしていました。 ホームページ作成の仕事をするうちにアプリを自分で作るようにもなっていったんです。当時は自分で広告を出してお客様に営業して、何でもやっていましたね。WordPressに使用されるPHPの勉強を始めたのもその頃で、2008年くらいです。
今はもう見かけませんが、以前はメールアドレスを入力してボタンをクリックすると 「100万円が当たる」みたいなボタンを表示させるシステムがありましたよね。あれを作ったのは、実は私なんです。ホームページ作成のコンサルタントのようなこともやっていて、開発と営業を同時にやっている、という忙しい状況でした。
直下的な操作のない時代。郵便局のオンライン印刷依頼システムを構築
ーー時代の流れを機敏にキャッチされていますね!。Rubyの経験はどんな経緯で身につけたのでしょうか?
大石さん:ホームページ作成やそのコンサルの仕事を、ノマドワーカーのような形でやっていた頃、Rubyが流行り始めました。
そのときは福岡にいて、私が作成しているホームページを見た元新聞社の方が「一緒にITのプロジェクトをやらないか」と声をかけてくれました。その方が「Ruby言語に携わりたい」という要望があったのと、福岡にあるRuby言語でプロジェクトをスタートさせる会社の社長さんが「施工管理の仕事の経験があるなら、チームマネジメントやプロジェクト管理もできるのではないか」といわれて、福岡県から助成金がもらえる、オンラインで印刷依頼ができるシステムを作るプロジェクトに参画しました。
過去に郵便局の年賀状印刷のシステムに使われていたものです。Flashで作成していましたね。今のようにドラッグアンドドロップで操作ができない時代でしたから。
携わったシステムが「大賞」を受賞!授賞式でさらなる縁がつながる
ーー東京へはどのようなご縁で来ることになったのでしょうか?
大石さん:福岡県の助成を受けて作成したその印刷システムが、Ruby言語で作成されたシステムのなかで賞をいただいたことです。出席した授賞式の場でたくさんの会社の社長さんたちから名刺をいただいて話を聞くと、やはり東京のほうが、プロジェクトの単価が高いことを実感しました。
「スキルも経験もあるんだからフリーランスでもやっていける」とのお声を多くいただいたこともあり、東京の会社で業務委託として仕事をすることになりました。
ーー東京に来てからのお仕事について教えてください。
大石さん:東京での最初の仕事は図書館の貸出・返却システムの構築でした。さらに大手小売りスーパーの大規模給与システムの改修プロジェクトに入りました。SAPでつくられたもので、初めは何が何やらわからなかった記憶がありますね。
大手小売スーパーの大規模給与システムの現場は千葉県だったので、マンスリーマンションを借りて約半年間、開発プロジェクトのPMとして従事しました。
エージェントは「選択肢の多さ」と「レスポンスの早さ」で選んだ
ーーフリーランスになった当初はご自身のみで活動されていましたが、エージェントを利用しようと思った理由について教えてください。
大石さん:フリーランスになった当初から、営業を代行してくれる立場の方はいました。ただ人脈というかネットワークが完全にアナログだったんですよね。そのため、縁の広がり方もチャンスも限られてしまいます。
インターネットやエージェントを活用したほうが、仕事のチャンスが増えるのでは、と考えて探すうちにアイムファクトリーさんを見つけて「ここなら自分に合った仕事を探してもらえそうだ」と思いました。
ーー多くのフリーランス就業支援サービスの中から、アイムファクトリーを選んでいただいた理由を教えてください。
大石さん:「選んだ」というより「他社さんを先にお断りした」といったほうが、私の気持ちに近いですね。他社さんでは、求職中のエンジニアの情報を一人の担当営業だけが握り、社内全体で情報を共有されているわけではありませんでした。社内で展開されないと、得られる仕事の数は減ってしまいます。そこから出てくる案件も、希望していた条件を満たすものが少なかったですね。
一方でアイムファクトリーさんは、希望の条件を伝えれば複数人のエージェントが情報を共有しあって、自分にあった案件を多数探してくれるので、選択肢が多くなりますよね。またレスポンスの早さも魅力でした。
やはり登録するエンジニアにとっては、紹介してもらえる案件数の豊富さというのは、エージェントを選ぶうえでの大事なポイントになりますね。
顧客企業に「気づき」を提供する。フリーランスだからできることとは
ーーフリーランスとして長く活動されていますが、苦労されたことがあれば教えてください。
大石さん:システム統括として携わった大企業のプロジェクトで、予算や業務フローはもちろん詳細な社内ルールまで把握しながらシステムを構築しなければいけなかったところですね。
ただ作ればいいというわけではなく、社内の色々な意見を拾って、整理して作っていく必要があります。立ち位置としてはベンダーと協力して構築を進めていくんですが、ヒアリングとディスカッションが十分でないと、たとえ現場のエンジニアがどんなに良いシステムを作ったとしても役に立たないものになってしまいますから。どのプロジェクトでも難しいところですね。
「気づき」を生むために「論点」を挙げる
また、あるテーマパークの案件にPMとして入ったとき、チケットの販売方法を巡って社内でも様々な意見が生まれて、プロジェクトの進行が難しくなっていました。
こうした場合、外部の人間である自分が答えを出すのではなく「どうしたらシンプルで、ユーザーにとってわかりやすいシステムとなるのか?」という問いにお客様自身が辿り着き、答えを見つけていくことが重要となります。
その問いに辿り着いていただくために、あえて少し炎上させるというか「こういった問題はどうしますか?」と論点を提示するのが私の役割でもあるんです。仕様がしっかり決まっていれば、設計自体難しくはありません。
しかしプロジェクト途中での仕様変更は全体的にやり直しとなってしまいます。設計がやり直しになれば、実装するエンジニアが予定より短い日数で作業することになる。すると、そこにバグが生まれてしまうんです。それは避けたいので、最初に徹底してディスカッションできるよう、論点を具体的に提示することが大事だと思っています。
ーーフリーランスとして長く働くなかで、ご不安に感じたことがあれば教えてください。
大石さん:私は特に不安に感じたことはありません。自分で収入が得られる仕組みがあるため、ということもあります。
ただこれからフリーランスになる方にお伝えしたいのは、もしプロジェクトが進行するなかで「このままではプロジェクトが成功しない」「このシステムは間違っている」と気が付いたら、臆せず会社に伝えられる人が向いている、と思います。
会社員の方は立場や風向きなどから、社内で言いにくいこともありますよね。 それを言うのも、フリーランスの役割です。だから覚悟を持って、自分が正しいと思っていることを言うとすっきりするんですよ。私はですけど(笑)。もしそれでプロジェクトから外れることになっても、またアイムファクトリーさんに探してもらえるでしょう?(笑)
「お金を稼ぎたい」だけでは、フリーランスはやっていけません。お金だけを目標にやっていくと、つらくなってしまうこともあるかと思います。 正社員のときとフリーランスでは、仕事に対する考え方は違うはず。同じ考え方をするなら、会社員でも良いですよね。
ーーでは大石さんが考える、お金以外のフリーランスのやりがいとは、何ですか?
大石さん:携わるプロジェクトをより良いものにしよう、というモチベーションです。より良いものにしようとすると「受け身」ではいられません。発注側の経営陣の方々とも密にコミュニケーションをとり、意向を聞かなくてはいけなくなりますし、プロジェクト全体を把握する必要があります。
手をかけたシステムが世に出たときは、やはり嬉しいですよね。また、様々な会社さんの案件に携わることで様々なシステム構成に触れることができます。すると応用が利くようになって、よりよいものができると思っています。
――ありがとうございました!今後のご活躍にも期待しています!
時代の先を読み、自らを磨き続けてきた大石さん。「間違いを指摘する勇気」は常に時代の最先端にいる自信の現れかもしれません。大石さん、引き続きよろしくお願いします!
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