C言語とは?特徴から何が出来るのかまで徹底解説
C言語は1972年に誕生した長い歴史のあるプログラミング言語です。ハードウェア制御からシステム開発まで、IT業界で広範囲にわたる作業を実現できます。
C言語は初心者がプログラミングの基本を学ぶのにも理想的でありながら、高度な知識や技術を身につけられるため、多くの人が最初の学習言語として選ぶことが多いのが特長です。
本記事では、C言語の特長、実践での応用例、メリットやデメリットについて詳しく解説します。
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C言語とはC言語は、1972年にAT&T社のベル研究所でデニス・M・リッチー氏とブライアン・W・カーニハン氏により開発された、歴史ある言語の一つです。アメリカ発のこの言語は、すでに世界中に広がっています。さらにC言語は「C++」や「C#」など、さまざまな派生言語の源流となっているのです。プログラミングの基本から応用まで習得できる特徴があるため、多くのプログラマーがプログラミング学習を始めるにあたり、触れる言語のひとつでもあります。
C++との違い
C言語から生まれたC++(シープラスプラス)は、C言語に「オブジェクト指向」という新しい概念を加えたプログラミング言語です。C言語とC++は、プログラムの書き方において大きな違いがあります。C言語は「手続き型言語」として知られ、コンピューターに実行すべき命令を順序立てて記述するのが特徴です。
一方のオブジェクト指向型言語であるC++は、最初にプログラム内の要素の「ひな形」を作り、そのひな形から「オブジェクト」と呼ばれる実体を生成し操作します。C++で作成されたひな形は再利用や変更が容易であるため、プログラムの開発効率が向上する点がメリットです。
Javaとの違い
C言語は1972年に誕生した手続き型プログラミング言語で、ハードウェアに近いレベルでの操作が可能です。これに対してJavaは、1995年に登場したオブジェクト指向プログラミング言語で、プラットフォームに依存しない特性があります。
C言語ではメモリ管理を開発者が直接行う必要がありますが、Javaは自動メモリ管理(ガーベージコレクション)の機能があるため、メモリ管理を開発者が行う必要はありません。
これによりC言語は高いパフォーマンスを発揮しますが、メモリ管理の複雑さが増してしまいます。
傾向としてC言語は組み込みシステムやシステムプログラミングに適しており、Javaは大規模アプリケーション開発やクロスプラットフォーム環境での利用に向いています。
C#との違い
C#(シーシャープ)はC言語の「親戚」のような存在で、JavaやC++の影響を受けています。C++からの影響を受けているため、C#もオブジェクト指向の概念もあります。加えてJavaのように「ガベージコレクション」というメモリ管理機能を有しているのが特徴です。
C言語やC++ではプログラマーが直接メモリを管理し、使用後に手動で解放する必要があります。これを怠ると、メモリの不足やコンピューターのパフォーマンス低下を引き起こす可能性があるのです。一方でC#は、ガベージコレクションを用いてメモリを自動管理するため、プログラマーはメモリ管理に関する負担が少なくなります。
C言語の特徴
ここからは以下の5つのC言語の特徴について、詳しく解説します。
- 汎用性が高い
- 実行速度が速い
- OSに依存しない
- 習得がやや難しい
- フレームワークやライブラリが豊富
汎用性が高い
C言語は、初心者からベテランのプログラマーまで広く利用されるプログラミング言語のひとつです。C言語は、UNIXシステムを容易に転送できるように設計されたもので、メモリの管理、ポインタ演算、ビットレベルの操作など、ハードウェアレベルでのプログラミングに優位性があるのが特徴です。
加えて組み込みシステム、スマートフォンアプリ、ゲーム開発など、多岐にわたるソフトウェアの開発領域でC言語は、重宝されています。その汎用性と柔軟性が、長年に渡り開発者から高い評価を受ける理由の一つです。
実行速度が速い
C言語の特徴の一つが、その高速な実行速度です。コンピュータがプログラムを実行するには、人間の書いたコードを機械が解釈できる言語(機械語)に変換する必要があります。この変換プロセスには、主に二つのアプローチがあります。
一つ目は実行時にコードを機械語に変換する「インタープリタ方式」で、BASICやPerlがこれに該当します。もう一つは実行前にコード全体を機械語に変換し、実行速度を向上させる「コンパイル方式」です。
C言語は「コンパイル方式」を採用しており、これにより高速なプログラム実行を可能にしています。ただしコンパイル方式では、プログラムの完全な実行前にはエラーを特定しにくいという欠点もある点は認識しておく必要があります。
OSに依存しない
C言語は高い汎用性があることで知られており、多種多様なオペレーティングシステム(OS)やプロセッサに対応しています。C言語は特定のプラットフォームに依存しない設計が特徴で、Windows、macOS、Linuxなどの異なるOSや、Intel、AMD、ARMといったさまざまな有名プロセッサメーカーに適応可能です。この高い柔軟性が、エンジニアによるC言語の広範な採用の重要な理由の一つです。
習得がやや難しい
C言語の学習はプログラミング学習初心者にとって、他のプログラミング言語よりも習得が困難であるとされます。これはC言語がハードウェアの直接的な制御を行い、メモリやCPUなどのコンピュータの核心部分への深い理解を要するためです。
誤った操作やエラーに対処できない場合、システムやアプリの不具合を引き起こすリスクもあります。C言語では、他の言語では自動で処理されるタスクも手動でコードを記述する必要があるため、ソースコードの作成には高度な知識が必要です。そのため、習得には相応の労力が伴います。
しかしC言語は長い歴史のある言語であり、初心者向けの豊富な教材やオンラインリソースが存在します。そのため、学習を開始する際のアクセスしやすさは高いと言えます。
フレームワークやライブラリが豊富
フレームワークは、開発手順を簡略化し、その適用範囲を拡大するために事前に構築されたものです。C言語では、特にテスト関連のフレームワークに特徴があります。C言語のフレームワークは、ソフトウェアテストを自動化する機能があり、テスト結果の評価や集約をサポートします。これによりC言語の開発プロセスにおいて広く活用され、テスト手順の効率化に寄与しているのです。
C言語で何が出来る?
ここからはC言語で実現できる以下の5つについて、詳しく解説します。
- 組込ソフトの開発
- 基幹システムの開発
- ソフトウェア開発
- ゲームの開発
- OSの開発
組込ソフトの開発
C言語は、組込ソフト開発に頻繁に使用されるプログラミング言語です。組み込みソフトウェアは、家電や産業用機器などに内蔵され、エンベデッドシステムとも称されます。
例えば自動車のナビゲーションシステムは組み込みソフトウェアの一例で、現在地の表示や最適な経路計算などの特定の機能を搭載しています。
このような電子機器のプログラミングには、限られたメモリリソースの中で高速に動作する能力が必要です。C言語はメモリの効率的な管理を可能にしつつ、高速でコンパクトなプログラムを作成できるため、組み込みシステムの開発に特に適しているとされています。
ゲームの開発
C言語はゲーム開発にも応用されています。例えば「スーパーマリオブラザーズ」シリーズは、初期段階ではC言語で開発されました。従来の「コンシューマーゲーム」ではデータ容量の制限が厳しかったため、プログラムの軽量化が必要でした。
C言語の特長として、軽量で高速なプログラミングが可能な点があり、これが多くのゲーム開発に適用されています。しかし最近のゲームでは高度なグラフィック演出が求められる傾向があるため、「Unity」や「Unreal Engine」などのゲーム開発専用エンジンで使用されるC#やC++が主流になっています。
ソフトウェア開発
C言語は、Windows、Mac、Linuxなどのデスクトップオペレーティングシステム上で動作するソフトウェア開発に広く用いられています。例えば、Windows OSの基本アプリケーションである「メモ帳」や、Webブラウザの「Chrome」と「Safari」はC言語で制作されているのです。また、MySQLやPostgreSQLといったデータベース管理システム、さらにはNginxやApacheのようなWebサーバもC言語を使用して構築されています。
さらにC言語の迅速な処理能力は、企業の人事や売上の管理などの大型アプリケーション開発にも活用されており、多くの場合、C++と併用されています。
基幹システムの開発
C言語は、企業の重要な基幹システム開発にも適用できるプログラミング言語です。基幹システムは、さまざまな業務プロセスを合理化するためのもので、業種や企業ごとにその内容は異なります。
基幹システムに問題が発生すると、企業の運営に大きな影響を及ぼし、経済的、社会的な損失を引き起こす可能性があるため、安定性が高く高速に動作するC言語は、基幹システムの構築に広く採用されています。
OSの開発
C言語は、パソコンやスマートフォンで動作するOSの開発に向いているプログラミング言語です。システムの中核部分の構築に最適なC言語は、OSだけでなく、各種デバイスのハードウェアを管理するプログラムの開発にも用いられています。
さらにグラフィック描画に有用なライブラリが充実していることも、C言語がOS開発に適している理由の一つです。実際にC言語で開発されたOSには「MacOS X」や「Linuxカーネル」などがあります。
C言語のメリット
ここからは以下の3つのC言語のメリットについて、詳しく解説します。
- 開発における柔軟性が大きい
- 多様なOSやハードウェアへの対応が容易
- Objective-CやC++との互換性を持つ
開発における柔軟性が大きい
C言語のメリットのひとつが、開発の自由度が高いことです。C言語は組み込み機器のソフトウェアやOS、ゲーム、業務システムなど、さまざまなソフトウェアの開発に使われています。JavaやRuby、Python、PHPなどの他のプログラミング言語の動作環境もC言語で作られているため、C言語を習得すれば、同時にOSや言語の仕組みが理解できるようになるのです。これはITエンジニアにとってC言語を習得する大きなメリットといえます。
多様なOSやハードウェアへの対応が容易C言語は、ANSI(American National Standards Institute)によって定められた標準規格に準拠しています。このANSI標準に基づいて作成されたプログラムは、異なるOSやハードウェアプラットフォーム上での運用が容易で、これにより異なるシステム間でのプログラムの移植作業がスムーズです。さらにC言語が長年にわたり使用されてきたことで、移植に関する広範な知識と経験が蓄積されていることも、その高い移植性の理由として挙げられます。
Objective-CやC++との互換性を持つ
C言語は、Objective-CやC++の基盤となるプログラミング言語です。これらの言語は、C言語にオブジェクト指向機能を組み込んでおり、C言語の文法や機能を大部分引き継いでいます。そのため、C言語にはObjective-CやC++との高い互換性があるのです。
C言語の知識は、Objective-CやC++の構造や特性を理解するのに役立ちます。C言語で作成されたプログラムは、Objective-CやC++のコードに組み込むことができ、またその逆も可能です。つまり、C言語のコードからObjective-CやC++のプログラムを呼び出すことができます。
C言語のデメリット
ここからは、以下の3つのC言語のデメリットについて、詳しく解説します。
- 習得が容易ではない
- 作業が複雑化しやすい
- プログラミングには精度の高いコードが必要
習得が容易ではない
C言語のデメリットのひとつが、プログラミング学習初心者にとって習得が容易ではないことです。C言語の「ポインタ」や「配列」、「構造体」の概念を理解するのに苦労する初心者の方は少なくありません。メモリのコントロールやポインタだけでなく、プロジェクトごとに求められるライブラリや開発手法など、学習しなければならないことが多岐に渡っていることも習得が容易ではない理由の1つです。
作業が複雑化しやすい
C言語は低レベルなプログラミング言語のため、ハードウェアやOSに近いレベルでコードを書く必要があります。これは高い自由度や実行速度を得られる一方で、コードの量や複雑さが増えるデメリットをもたらします。
例えばC言語では文字列型がなく、文字列の操作にはポインタや配列を使う必要があります。また標準ライブラリの機能が少ないため、自分でデータ構造やアルゴリズムを実装することも多くなります。さらに、コンパイラやOS、ライブラリ、アセンブリ言語に依存してビルドエラーが発生することもあります。そのため、C言語では作業が煩雑になりやすいのです。
プログラミングには精度の高いコードが必要
C言語のプログラミングには、高い正確性が必要です。C言語には、使わなくなったメモリを自動的に解放してくれるガベージコレクションの仕組みがありません。そのため、プログラマー自身がメモリの確保・解放といった管理をしっかりと行わないと、予期せぬ問題を引き起こすリスクがあります。
また、C++やJavaなら「例外処理」の仕組みを使うことで、プログラムの問題発生に対処できます。しかしC言語には例外処理の標準的な仕組みが存在しないため、問題の発生を最初から防がなければなりません。C言語には高い性能がありますが、コードを書く開発者のスキルによってプログラムの品質が大きく左右されるのです。
C言語のおすすめの学習方法
ここからは、以下の3つのC言語のおすすめ学習法を紹介します。
- プログラミング学習サイトでの独学
- 書籍による独学
- プログラミングスクールでの学習
プログラミング学習サイトでの独学
C言語を習得するとき、プログラミング学習のためのWebサイトを活用して独学する方法があります。インターネット上には、C言語以外にもさまざまなプログラミング言語を習得するためのコンテンツが公開されています。習熟度別にコンテンツを探し、自分の理解度にあったもので学習を進めることが必要です。無料で利用できるコンテンツから、サブスクリプション制、買い切り制などコンテンツ利用にまつわるコストが異なるため、選ぶ際にはコンテンツの内容と、コストのバランスを考慮することが求められます。
書籍による独学
C言語を学ぶとき、書籍で独学する方法もおすすめです。C言語は歴史が深いプログラミング言語であることから、多様な書籍が出版されています。まずは初心者向けの書籍からスタートし、自分の理解度にしたがって別の書籍を購入して学習を進めていくことがおすすめです。ただし書籍での学習においては、わからない点を誰かに聞くことが難しいため、適宜インターネットで情報を検索し、不明な点はその都度こまめに解決しながら進めることが必要です。
プログラミングスクールでの学習
C言語を学ぶとき、プログラミングスクールに通う方法があります。通う、といってもオンラインのみでカリキュラムが完結するスクールもあるため、自宅や職場、学校の近くでスクールを見つける必要はありません。プログラミングスクールに通うことで、不明な点があった場合には講師にすぐ質問できる、理解しやすいように整えられたカリキュラムで学習できる、といったメリットがあります。
一方でスクールで学ぶ経済的な負担は独学よりも大きいため、注意が必要です。
C言語の将来性
C言語は、高いパフォーマンスと汎用性を持つプログラミング言語です。C言語はソフトウェアやOS、ロボットや組み込み機器など、さまざまな分野の開発に使われています。
C言語は他のプログラミング言語の基礎となっているため、C言語を習得すれば次に学ぶ言語の習得がスムーズになる点は、大きなメリットです。
C言語は習得難易度が高いと言われていますが、その分、C言語を習得できたエンジニアは希少価値が高く、高収入や豊かなキャリアを得ることが可能です。C言語は、需要の高いプログラミング言語であり、将来性も高いと言えます。
C言語の将来性については『将来性のあるプログラミング(開発)言語とは?メリットや平均年収についても解説』でも、詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
C言語の求人ならエンジニアファクトリー
C言語はプログラミング学習初心者にとって、習得が難しいとされるものの、習得することでさらに多くのプログラミング言語の習得が可能な、ポテンシャルの高い言語です。またさまざまな業務システムや組込システムに採用されるため、C言語を習得しているプログラマーは、重用されます。
フリーランス向け案件・求人紹介サイトの『エンジニアファクトリー』では、C言語の求人が月額60万円程度で見つかります。C++やC#といったC言語をベースとしたプログラミング言語のスキルを習得すれば、さらに求人の選択肢は広がっていました。
C言語や関連する言語のスキルを持っている方は、『エンジニアファクトリー』で案件を探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
C言語は歴史が深く、長くさまざまな開発に採用されてきた信頼性のあるプログラミング言語です。プログラミング学習初心者にとって学習難易度は高めではありますが、C言語を基礎として作られたプログラミング言語が多いことから、習得するメリットは大きいといえます。書籍やWebの学習コンテンツなどを利用して習得すれば、将来にわたって仕事を得られる可能性が高まります。
本記事を参考にC言語の習得にチャレンジし、ITエンジニアとしての第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
ライター:前嶋 翠(まえじま みどり)
・プロフィール
COBOLが終わろうとする時代にプログラマのキャリアをスタートし、主にJavaエンジニアとして経験を積みました。フリーランスエンジニアとして活動していたとき、リーマンショックが起こったことをきっかけに家庭に入りました。出産を経て在宅でできる仕事として、ライターに。ITエンジニア経験のあるライターとして、IT業界のあれこれを皆さまにわかりやすくお伝えしていきます。