2024/02/28

フリーランスエンジニアの手取り金額の計算方法は?

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フリーランスエンジニアの手取り金額の計算方法は?

フリーランスエンジニアの求人は近年増加しており、会社員と比べても報酬単価が高い傾向にあると言われています。そのため、会社員からフリーランスへの転向を考えている方もいるのではないでしょうか。

しかし、手取り金額だけを比較すると会社員時代の方が多かったというケースもあるようです。なぜそのようなことが起きるのでしょうか。それはフリーランスと会社員では手取り金額の考え方や計算方法が異なることが原因です。

今回はフリーランスエンジニアの手取り金額の考え方と少しでも手取り金額を増やすための方法についてご紹介していきます。

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フリーランスエンジニアの手取り収入の考え方

フリーランスエンジニアの手取り収入の考え方

フリーランスエンジニアは一般的に業務委託契約や請負契約を締結し、仕事を受注します。事業者の立場で仕事をするため、固定給が毎月支払われるものではありません。基本的にフリーランスエンジニアの場合は額面上の収入である売上から税金や社会保険料、経費を差し引いた金額が手取り収入となります。

注意しておきたいのが、フリーランスエンジニアの場合、月額の手取り収入を正確に把握することは難しいという点です。フリーランスは、年間の売上から経費や社会保険料を差し引いたものに対して一定の税率をかけたものが税金として徴収されます。よって売上から経費、社会保険料、経費を差し引き、12で割れば一ヶ月あたりの手取りの理論値を算出することは可能です。しかし、実際のところ毎月売上が変動するため、その金額を毎月定額で受け取っていると言うわけではありません。

フリーランスエンジニアが支払う税金と社会保険料

フリーランスエンジニアが支払う税金と社会保険料

フリーランスエンジニアが売上から支払うものは大きく分けて経費、税金、社会保険料があります。経費は事業に関する必要経費を計上します。業務に必要なものは人によって異なるため、金額も人それぞれです。しかし、税金と社会保険料についてはフリーランスエンジニアであれば全員が必ず同じ指標で支払わなければならないものです。ここではフリーランスエンジニアが支払わなければならない税金と社会保険料の種類について説明していきます。

税金

フリーランスエンジニアが負担しなくてはならない税金は以下の4種類です。

  • 所得税

所得に応じて支払う税金です。年間の所得から経費や控除を差し引いたものを課税所得として申告し、決められた税率をかけたものが所得税額になります。確定申告の時期に申告を行って納税が必要です。

  • 住民税

住民税は都道府県民税と市町村民税を合わせたものです。自治体によって税率は異なりますが、一般的なフリーランスであれば売上の10〜15%程度に収まります。

  • 個人事業税

事業を行なっている人が支払う地方税です。事業所得が290万円に満たない場合は、事業主控除適用のため課税されません。

  • 消費税

商品や製品の販売・サービスに対して広く課される税です。年間売上が1,000万を超えた場合、その翌々年度から課税されます。

社会保険料

社会保険料には国民健康保険、国民年金、介護保険が含まれます。火災保険料や自動車保険は含まれません。

  • 国民健康保険料

国の医療保険の一つです。保険料は前年度の所得に応じて金額が決まり、所得が多ければ多いほど保険料は高くなるのが特徴です。

  • 国民年金料

国内に居住する20歳以上60歳未満の全ての人が被保険者に該当し、年金料を支払います。65歳になれば加入期間や支払い保険料に応じて国民年金を受け取ることができる制度です。

  • 介護保険料

40歳以上の人が加入する保険で、原則として強制加入となっています。健康保険料と合わせて保険料が請求されます。

フリーランスエンジニアの手取り計算方法

フリーランスエンジニアの手取り計算方法

フリーランスエンジニアの手取り計算方法は売上−経費−社会保険料−税金です。最終的に自由に使えるお金というのは税金支払い後と思っておいて良いでしょう。経費は事業に関係する必要経費を積み上げて経費として計上すれば完了です。一方で税金や社会保険料は算出方法が決まっており、フリーランスエンジニアが支払う金額はある程度わかります。もちろん、内容によっては自治体によって異なるものもありますが、具体的に税金と社会保険料がどのように算出されているのかについて見ていきましょう。

税金の計算方法

  • 所得税

日本の所得税は課税所得(売上-経費-控除)が大きければ大きいほど、税率が高くなる「累進課税制度」を採用しています。所得が一定の基準を越えれば途端に税金が上がるわけではなく、徐々に上がっていくような制度です。

(参考) 所得税=課税所得×税率―控除額

課税所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万円以上330万円以下10%9万7,500円
330万円以上695万円以下20%42万7,500円
695万円以上900万円以下23%63万6,000円
900万円以上1,800万円以下33%153万6,000円
  • 住民税

都道府県と市町村に支払う税金で所得に対する所得割と、住むことによってかかる均等割の2つで構成されています。所得割は課税所得の10%、定額の均等割は都道府県と市町村合わせて4,000円となります。

  • 個人事業税

所得が290万円超えると、都道府県に支払うことになる税金です。業種によって税金率が異なります。フリーランスエンジニアの場合、税率5%もしくは0%ですが、業務形態によって異なるため、都道府県に問い合わせしてみることをお勧めします。

  • 消費税

課税売上が1,000万円未満の場合もしくは開業から2年間は納税義務が免除されます。

社会保険料の計算方法

  • 国民健康保険料

国民健康保険料は市区町村によって異なるため、詳しくは各自治体に問い合わせが必要です。加入者の所得金額によって保険料が増減する「所得割額」と一人あたり一定の保険料を払う「均等割額」の合計で算出されます。一つの目安として、32歳で所得が420万円の場合は年間25万円前後になります。

  • 国民年金保険料

フリーランスの場合、国民年金第1号被保険者に該当します。この場合、国民年金保険料は一律で16,610円(令和4年2月時点)です。

フリーランスと会社員の手取りにおける違い

フリーランスと会社員の手取りにおける違い

フリーランスと会社員では手元に入ってくるお金の中身が異なります。会社員の場合は一旦、口座に振り込まれた給料が手取り収入です。しかし、フリーランスエンジニアの場合は事前に源泉徴収される特殊な場合を除いては、収入から経費や社会保険料などを差し引き、課税所得を算出します。この課税所得に対して最終的に税金が課せられるのです。他にも、フリーランスエンジニアには残業代や退職金という制度も用意されていません。そのため、自ら備えておく必要があるでしょう。

源泉徴収

会社員の場合、源泉徴収があります。そのため、給料から社会保険料や税金分は控除され、残った金額が手取りとして支給されます。つまり、手元に入ってくるお金を基準に生活することが可能なのです。しかし、フリーランスエンジニアの場合は会社員のような事前の控除はほとんどありません。つまり、一旦振り込まれた金額から保険料や税金を支払わなければならないのです。特に所得税は一括納付が原則のため、負担に感じるかもしれません。

社会保険料

健康保険料と介護保険については会社員もフリーランスも所得連動型のため、大差はありません。一方、年金については厚生年金と国民年金は算出方法が異なります。会社員が加入している厚生年金の場合、会社が半額を負担し、代わりに給与に応じて金額が変わります。ただし、年金を受け取る時に会社員時代の所得が反映されるので多く受け取ることができ、扶養されている配偶者は保険料の支払いが不要です。フリーランスが加入している国民年金の場合は、毎年度一律金額ですが、配偶者分の保険料も必要になるので注意が必要です。

退職金や残業手当

フリーランスには自分の裁量で仕事を行うため、残業手当は発生しません。会社員の場合でも役職によっては裁量労働制を取っており、同じケースもあるでしょう。また、フリーランスには退職金もありません。そのため、自分自身で将来に備えておく必要があります。具体的には個人型確定拠出年金や小規模事業共済の2つがあります。個人型確定拠出年金はiDeCoとも呼ばれており、自ら金融商品を選び掛金を積み立てて運用することで将来老齢給付金を受給することが可能です。小規模事業共済は自らが掛金を積み立て、将来廃業した際に共済金を受給できる制度です。

フリーランスエンジニアが手取りで損をしないために

フリーランスエンジニアが手取りで損をしないために

フリーランスエンジニアの場合、一見手取りが少なく見えるかもしれませんが、実際はそうではありません。なぜなら、会社員よりもフリーランスの方が自らの手で額面収入を増やす工夫ができるからです。フリーランスの場合、売上から経費を差し引いて算出した金額を事業所得と言います。この事業所得からさらに所得控除を差し引き、その残高に税率がかかるのです。つまり、経費や控除を使うことによって節税になり、手取り収入を増やすことが可能になります。

経費をきちんと計上する

フリーランスにおける所得税とは、事業で得た売上から社会保険料や必要経費を差し引いた所得金額に対して課税されることになっています。そのため、経費が多ければ多いほど所得金額を抑えることができるのです。ただし、経費として落とせるものは原則「事業に必要なもの」に限ります。フリーランスエンジニアが経費として落とせるものの代表的な項目としては旅費交通費、通信費、広告宣伝費、接待交際費、消耗品、減価償却費、新聞図書、外注費、租税公課、地代家賃・光熱費などです。いずれも事業に使用した分、あるいは関係のある分のみを経費とし計上するようにしてください。

控除を積極的に活用する

所得控除には様々な種類がありますが、今回は「フリーランスにとって有益な制度利用のために支払った費用」を控除として使えるものをご紹介します。

  • 国民年金基金

国民年金は保険料も給付金額も一定で、所得に応じて保険料も給付額も変動するものではありません。国民年金に積み増ししておくことで、老後の給付金額を大きくすることができます。

  • 小規模企業共済

フリーランスのための退職金制度のようなもので、毎月掛け金を支払っておくことで、リタイア時にまとまってお金を受け取ることができます。

  • 経営セーフティ共済

取引先の倒産に備えるための共済です。事業を1年以上行っている中小企業や個人事業主が加入でき、掛金は経費として計上できます。

まとめ

今回はフリーランスエンジニアの手取り金額の計算方法について解説しました。フリーランスエンジニアの年収は会社員よりも比較的高い傾向にあります。しかし、会社員とフリーランスの場合では手取り金額の考え方だけでなく、社会保険料や税金の考え方も異なります。今回ご紹介した通り、税金や経費の仕組みをよく理解していれば、手取り金額を増やすことも可能です。しかし、これらの内容をおざなりにしてしまうと、結果的に自分自身が損してしまう可能性もあり得ます。フリーランスになるからには覚悟を決めて、税金や経費の仕組みをしっかりと学ぶようにしましょう。そして少しでも手取り金額を確保できるように努めていくことが大切です。