フリーランスエンジニアの採用方法とは?
経済産業省のIT人材需給に関する調査によると、2020年には約31万人、2030年には約79万人のエンジニアが不足するといわれています。実際に現場でのエンジニア不足に直面し、採用がうまくいかないと悩む人事担当者は多いでしょう。
今回は、正社員採用以外の選択肢として最近増えてきているフリーランス(業務委託)を中心にそれぞれのメリット・デメリットや発注時の注意点をまとめてみました。エンジニアの採用にお困りの人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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正社員と業務委託の違い
さっそくですが、業務委託は正社員と比較したときに何か違うのか、企業目線でみたときにどういったメリット・デメリットがあるのかを説明していきますので参考にしてみてください。
フリーランス(業務委託)の契約には2種類ある
フリーランス(業務委託)のエンジニアに業務を依頼する場合のメリット・デメリットを説明する前にまずフリーランスという働き方には請負契約と準委任契約の2種類があることを説明させて頂きます。
請負契約
請負契約とは、受注者が発注者に対して依頼された仕事の完成を約束する契約になります。
「完成」を約束しているため、発注者(企業)側は納品物が求める水準に達していなかった場合、受注者側に無償で修正を依頼することができます。また、納品物にバグが見つかるなどして発注者側に損害がでた場合には補償を求めることも可能です。ただし、受注者側にとってのリスクや責任が大きいため、その分契約金額も高くなる傾向にあります。
準委任契約(委任契約)
準委任契約(委任契約)とは、受注者が発注者に対して依頼された行為の実行を約束する契約になります。依頼された行為を遂行した時点で報酬が発生する点が、仕事の「完成」を求める請負契約との大きな違いです。
依頼された行為が法律行為でない場合は準委任契約となり、法律行為(例えば弁護士に対して弁護を依頼するなど)の場合は委任契約となります。IT業界で多く使われるSES(システムエンジニアリングサービス)と呼ばれる契約は、準委任契約を指すことがほとんどでしょう。
準委任契約では、あらかじめ月単位でエンジニアの稼働時間に基づいて金額を設定し、その時間に基づいて報酬が発生するという契約になります。作業自体を任せるため、受注者側が自由に作業の時間を決められるという点には注意する必要があります。
業務委託(フリーランス)に業務を依頼するメリット
業務委託(フリーランス)のエンジニアに業務を依頼する場合のメリットは下記になります。
・専門性・技術力が高い業務を任せることができる
・人材育成や採用にかかる時間やコストを抑えることができる
・社内のリソースを別なところに割くことができる
業務委託のエンジニアは専門性、技術力が高い人材が多いので、自社の社員では対応が難しい、難易度の高い業務を任せることができます。また、正社員採用と比較すると短期間で人材を集めることが可能なので、現場の採用にかかる時間や教育コストを抑えることができます。また、業務委託エンジニアに業務を依頼することにより、自社のエンジニアの負担が軽くなり、社内の人材のリソースを有効活用できるというメリットもあります。
業務委託(フリーランス)に業務を依頼するデメリット
・短期的なコストが高くなりやすい
・人材のコントロールが正社員と比較すると難しい
・自社へのノウハウの蓄積や人材育成は限定的になってしまう
業務委託は外注という扱いになりますので、当然コストは高くなる傾向にあります。また、業務委託は正社員と違って雇用契約はないので、当初の契約内容と異なる業務を依頼することが難しく、作業範囲が限定的になります。また、あくまで業務の完遂が目的になりますので、自社へのノウハウの蓄積や人材育成はあまり期待しない方がいいでしょう。
フリーランスへの発注って何をすればいいの?
では実際にフリーランスのエンジニアに業務の依頼(発注)をしたいときはどうすればいいのでしょうか。
順に説明していきます。
①募集方法を決める(自社のHPや求人媒体、専門エージェント利用)
まず、フリーランスエンジニアの募集方法について説明をします。自社のHP上からある程度の数、正社員の応募がある企業様は同じようにフリーランス向けの募集を出せば応募がくる可能性はあるでしょう。また、求人媒体で正社員の求人を掲載しており、一定数応募があるという場合も同じ媒体で業務委託の募集をすれば応募がくる可能性があります。ただし、媒体によっては正社員の求人のみを載せている媒体もあるかと思いますので注意してください。
自社のHPでも求人媒体でも正社員希望のエンジニアの応募がないという企業様はフリーランス専門のエージェントに声をかけてみるといいでしょう。多くのフリーランスエンジニアがエージェントに登録しておりますので、エージェントに依頼をすればマッチした人材を紹介してくれるでしょう。
②募集要件を決めて掲載
募集方法を決めたら、募集要項をつくりましょう。フリーランスのエンジニア募集の場合、雇用契約が発生しないこともあり、求人ではなく案件という言い方をする場合が多いです。
募集内容は基本的には正社員と同じですが、フリーランスの場合、月額の金額に対して時間幅というものを設けるのが一般的です。
時間幅は企業様によって違いますが、最近だとその企業様の基準労働時間×20±20時間を基準にする場合が多いです。
例えば、1日7.5時間労働の企業様だと7.5×20±20で130~170時間となります。
この時間幅内の稼働時間であれば月に払う金額は変わらず、もし130時間を下回ったり170時間を上回ったりした場合は派遣社員と同じように15分ごと、30分ごとに金額が加算・減算されていきます。なお、月額の金額の目安は求めるエンジニアの経験によってまちまちですが、外注ということもあり自社の正社員の給与と比較すると1.5~2倍程度になると考えておいた方がよいでしょう。相場感が気になる場合はフリーランス向けに案件を掲載しているサイトを参考にすると大体の相場がわかるかと思います。また、フリーランスの方は働き方を重視している場合が多いので、リモートの頻度や月の想定稼働時間を記載しておくと業務を依頼してからのミスマッチをある程度防ぐことができます。
③エントリーがあったエンジニアの書類選考
案件エントリー時は派遣と同じようにスキルシートと言われる個人情報や所属していた企業名を伏せた経歴書が送られてくることが多いです。直近の経歴や関わったプロジェクトから自社の要件にマッチしているのかを見極めるようにしましょう。
④エンジニアとの顔合わせ
書類で興味をもったエンジニアとは顔合わせの場を設けることが多いです。業務を依頼しようとしているエンジニアと実際に会ってみて、エンジニアが気になっていることがあれば積極的に答えてお互いの認識の齟齬をなくすようにしましょう。
またフリーランスのエンジニアは平均して応募から2週間程で案件が決まってしまうことが多いです。優秀なエンジニアの場合は1日で案件が決まってしまうこともあるので、良い方だと判断した場合は条件面の提示をできるだけ早くして自社の案件を選んで貰うようにしましょう。
また顔合わせは基本的に1回が多いです。複数回、顔合わせをしているとその間に他社の案件で決まってしまう可能性もあるので注意しましょう。
⑤条件通知
エンジニアに自社にきて欲しいと思った場合は契約条件の通知を行います。条件通知の際は今回かかわってもらうプロジェクト概要、初回契約期間、金額、時間幅、支払いサイトなどを通知します。契約の延長可否は派遣社員と同じように双方30日前までに通知するケースが多いです。
条件通知例:
■案件名:〇〇開発案件
■技術者氏名:△△(フリガナ)様
■単金:月額××万円(税別)
■清算方法:時間精算
■時間幅:130h~170h(中間割)
控除単価(150割):●●円/h
超過単価(150割):●●円/h
※10円未満切り捨て
■超過・控除に対する最小時間単位:15分
■初回注文書期間:2022年〇月1日~2022年△月30日まで ※以降3ヶ月ごとに更新予定
■支払いサイト:毎月末日翌月末日払い(30日サイト)
■契約形態:準委任契約
⑥契約書の通知、注文書(個別契約書)の発行
契約内容の合意がエンジニアと取れたら基本契約書、個別契約書(注文書)の締結を行います。契約の締結は社内稟議等、手間がかかるため後回しにしがちですが、後々問題にならないために契約の締結はきちんとしておいたほうがよいでしょう。エージェントを介して契約を結ぶ場合はエンジニアではなく、エージェントと契約を締結することが多いです。
フリーランスエンジニアをエージェント経由で募集する際の注意点
エージェントを利用時は注意する点がいくつかあります。
まず、エージェント利用時は企業とエージェント、エージェントとエンジニアの契約になるので、顔合わせ時にエンジニアに対して金額や条件面の話はしないようにしましょう。
また、あくまでエージェントと契約しているのはエンジニアになりますので、エンジニアに対して正社員になってほしい等の打診をするときもエンジニアに直接話をせずに必ずエージェントを通して話をするようにしましょう。
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まとめ
今回は、正社員採用以外の業務委託という選択肢について説明しました。正社員であれば採用までの流れを把握されている人事の方も多いかと思いますが、業務委託契約の方法がわからなかった人事の方も多かったのではないでしょうか。是非参考にして頂ければと思います。
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