近年、Go言語やPythonといったプログラミング言語の人気が高いですが、JavaやPHPなど昔からある言語も、依然として一定のニーズがあります。
特にPHPはLaravelを筆頭に便利なフレームワークが登場してきており、結局どのフレームワークを使ったら良いのかわからない方も少なくないと思います。
今回はPHPでフレームワークを使うメリットやデメリット、選び方、フレームワークごとの特徴などについて解説します。

エージェントサービス「エンジニアファクトリー」では、ITフリーランスエンジニアの案件・求人の紹介を行っています。掲載中の案件は7,000件以上。紹介する案件の平均年商は810万円(※2023年4月 首都圏近郊のITエンジニア対象)となっており、スキルや言語によって高条件の案件と出会うことができます。
氏名やメールアドレス・使用できる言語を入力するだけで、簡単60秒ですぐにサポートを開始できます。案件にお困りのITフリーランスの方やより高条件の案件と巡り合いたいと考えている方は、ぜひご登録ください。
PHPのトレンドやニーズについて
現状において、PHPの将来性やニーズはどのくらいあるのでしょうか。統計データを参照しながら解説いたします。
PHPの市場シェアはどのくらい?
レンタルサーバー会社であるkinstaの統計によれば、世界に存在するWebサイトの79.2%にPHPが使用されていると言われています。日本では、ぐるなび、Facebook、楽天市場、BASEなど有名大手サービスでもPHPが使用されています。
なぜ、これほどまでに市場シェアが拡大しているかというと、そこにはWordPressの影響があります。2022年現在、WordPressは全Webサイトのうち43%で使用されているCMSです。CMSを導入しているWebサイトに限定すれば65%と半数以上で利用されています。
参照:Usage statistics of content management systems|W3Techs
CMSはPHPで構築されているケースが多く、シェア上位のJoomlaやDrupal、Squarespaceなども例にもれずPHPで記述されています。つまり、CMSのユーザーがいなくならない限り、PHPエンジニアの需要が減ることはないといっても過言ではないでしょう。
PHPの求人・案件数は?
弊社が運営しているエンジニアファクトリーにて保有している公開・非公開求人を言語別で見てみると1位がJavaとなっており、その次にPHP、JavaScriptとなっております。また、ここ数か月PHPの案件が増えてきていることもあり、今後もPHPの需要は高いことが予想できます。
プログラミング言語にPHPを使用するメリット
開発言語にPHPを使うとどのようなメリットを得られるのでしょうか。
比較的シンプルな言語なので習得しやすい
C言語はポインタや配列の概念理解で挫折しがちです。しかし、PHPはインタプリタ言語で構文がシンプルかつ配列のルールが自由であるため、理解がしやすい言語と言われています。そのため、プログラミング初心者でも習得のハードルが低いです。
情報量が多く、学習効率が高い
PHPは多くのWebアプリケーションやWebサイトで使われているプログラミング言語です。また、近年はオープンソースのCMS「WordPress」の普及によって、PHP言語のニーズが増えており、Webサイト、書籍、Q&Aサイトなどで、容易に技術情報を収集できます。
データベースとの連携がしやすい
PHPはMySQLやPostgerSQLなどさまざまなデータベースと連携ができます。また、HTMLコード内にPHPを埋め込めるため、サーバーにある情報を表示させることもできます。
フレームワークが豊富
PHPには、CakePHP、Laravel、CodeInteger、Yii、Slimなど非常に有用で多機能なフレームワークが多数存在します。特徴のあるフレームワークも多く、用途に合わせて使い分けられます。
開発言語にPHPを使用するデメリット
一方、Webサービス/Webアプリしか開発できない、セキュリティ面で懸念がある、実行速度が遅いといったデメリットも存在します。
基本的にWebサービス/Webアプリ開発にしか利用できない
PHPでは予約システムやECサイトといったWebサービスやWebアプリケーションの開発にとどまります。スマートフォンアプリや、組み込み系システムの開発には使えません。また、近年はフレームワークが充実してきたことで、JavaやPythonなど業務やAI開発で使われてきた言語がWeb開発でも転用できるようになっており、PHP独自の優位性がなくなりつつあるのが現状です。PHP単体だけでなく、C言語やJava、Pythonなどといった他の言語も習得しておく必要があるでしょう。
セキュリティ面で懸念がある
他のプログラミング言語と比較すると、セキュリティ上の欠陥が指摘されており、過去にサイバー攻撃の標的になったこともあります。WordPressでは、たびたびPHPの脆弱性を狙ったサイト改ざんやマルウェア感染などの被害が報告されています。
PHPフレームワークを定期的にバージョンアップすることでサイバー攻撃によるリスクを軽減できますが、記述ルールの自由度が高いゆえに、関数の穴を狙うXSS(クロスサイトスクリプティング)や SQLインジェクションといった攻撃の対象となることもあり、セキュアの観点からコーディング知識も必要となります。
実行速度が遅い
PHPはインタプリタ言語に分類されます。インタプリタ言語は記述したコードの実行結果を確認しながら開発ができるため、即座に修正が行えます。ただし、コンピューターが読み取れるように1行ずつ機械語への翻訳が必要になるため、JavaやC言語、GO言語などのコンパイラ言語と比べると、実行速度は劣ります。
PHPフレームワークとは?
フレームワークとは、システムやアプリケーション開発で欠かせない機能が実装された枠組み、ソフトウェアのことを指します。PHPのようなインタプリタ言語に限らず、C、C++、Objective-Cなどのコンパイラ言語においても、プログラミング言語ごとに、独自のフレームワークが存在します。
大規模な開発となると、何千、何万行ものコードを記述する必要があり、途方もない時間と工数がかかります。そこで、フレームワークを活用することで、業務が自動化・効率化し、工数を大幅に減らせます。 PHPフレームワークの代表的なものとしては、CakePHP、Laravelを筆頭に、Symfony、CodeIgniterなどが挙げられます。それぞれのフレームワークの特徴については、後ほど紹介します。
MVCモデルとは
PHPフレームワークのなかには、MVCモデルを採用しているものも多く存在します。MVCモデルとは、モデル(処理)、ビュー(表示)、コントローラー(操作)の3つの要素に分けて記述する考え方です。このように役割別に記述を分けることで、管理がしやすくなります。また、役割や機能別にコードを記述しているため、分業で開発を行うことが可能となります。さらに、それぞれが独立しているため、プログラム変更やバグなどが起こっても、影響範囲を最小限にとどめることができます。
PHPフレームワークを使うメリット・利点
では、PHPフレームワークを活用すると、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
開発効率を高めることができる
PHPフレームワークに標準搭載されているテンプレート、API、ライブラリなどを活用できるため、ゼロから開発する必要がなくなります。また、フレームワークのルールに準拠する形での開発となるため、可読性が上がり、ミスや修正も減らせます。
一定の品質が担保される
PHPは記述の自由度が高いがゆえに、コードの記述方法がばらつくという難点があります。しかし、PHPフレームワークを導入することで、一定のルールの上で開発を進めることになるため、コードの統一性が取れます。そのため、仮に開発メンバーが途中で抜けても、スムーズに引き継ぐことができます。
セキュリティ上の安全性が高い
スクラッチで開発をするとなると、知らぬ間にセキュリティリスクの高い記述方法をしている可能性もあるでしょう。フレームワークを活用することで、その可能性を限りなく減らすことができます。また、メジャーなPHPフレームワークであれば、脆弱性が確認されたタイミングで開発元がバージョンアップを行うため、セキュリティにおける安全性が担保されます。
活躍の領域が広がる
ほとんどの開発案件、改修案件では特定のPHPフレームワークを使用します。必須スキルや歓迎スキルに、フレームワークの経験有無が記載されていることも多いです。さまざまなPHPフレームワークで開発をすれば、応募できる案件の選択肢も増えるでしょう。
PHPフレームワークを使うデメリット
PHPフレームワークは非常に便利な一方で、デメリットも存在します。
パフォーマンスが低下する
フレームワークを通して開発するため、わずかながら処理速度が低下します。しかし、開発サービスなどの実行に影響を与えないレベルであり、そこまで神経質になる必要はないでしょう。
学習コストがかかる
PHPフレームワークごとに、それぞれ独自のルールやライブラリなどが存在します。その使い方や機能などを熟知する部分において負担が生じます。特にシェアの小さいPHPフレームワークだと、英語でしか技術情報を収集できない場合もあるので注意が必要です。
開発の自由度が下がる
多くのPHPフレームワークはオープンソースであり、大幅なカスタマイズが可能ですが、フルスクラッチ開発と比べれば、開発の自由度は下がります。
PHPフレームワークの選び方
PHPフレームワークといっても、Laravel、CakePHP、CodeIgniterなどさまざまな種類があります。ここでは、PHPフレームワークの選び方について解説します。
学習コスト/技術情報が豊富か
学習コストは、技術情報が豊富かどうかによって決まります。例えば、ユーザー数が多いCakePHP、Laravel、Slimなどは技術情報が多いですが、Zend Framework、Phalconなどのフレームワークは日本語による情報が少なく学習コストが高いといえます。
Stack Overflow(スタックオーバーフロー)、Qiita(キータ)、GitHubなどのWebサイトやフォーラムにどれだけ情報が集まっているかを基準にしてみましょう。
将来性/トレンド
PHPフレームワークをどれにしようか悩んでいるのであれば、将来性が高いと見込まれるフレームワークにしましょう。ここ5年近くはLaravelが注目されています。将来性が高いということは、案件が増え続けるということであり、案件獲得のチャンスを創出することができます。
規約/カスタマイズ
リードエンジニアが確保できずに十分な開発体制が取れない、大規模な開発を行いたいということなら、設定よりも規約(CoC)を重視するPHPフレームワークを選択しましょう。規約が厳しいフレームワークでは、CakePHP、Yiiなどが挙げられます。
PHPのフレームワークの種類は?おすすめ12選
PHPフレームワークのなかでも、メジャーな人気の高いものをいくつか紹介します。
Laravel(ララベル)
2011年にマイクロソフトのテイラー・オットウェル氏が開発したフレームワークです。代表的なPHPフレームワークの1つとして知られており、2019年には「CakePHP」を抜き、シェア首位になっています。
Laravelはコードが平易で、初心者でも学習しやすいです。また、利用者数が多いこともあり、パッケージの数は15,000以上と豊富で、頻繁にアップデートされています。さらに、MVCフレームワークを採用しているため、分業での開発も可能となります。
Symfony(シンフォニー)
2007年1月にフランスのSensio Labs社が開発したPHPフレームワークです。スピーディーに開発やメンテナンスができる設計であるのが特徴で、Ruby用フレームワークのRuby on Railsに影響を受けた仕様になっています。大規模開発で重宝されることが多いフレームワークで、アメリカのYahoo社でも採用された実績があります。
CodeIgniter(コードイグナイター)
2006年にリリースされたPHPフレームワークです。CodeIgniterは非常に軽量で動作が高速なのが特徴です。また、MVCが推奨されていますが強制ではないため、自由にコードを記述することが可能となります。 さらに、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)攻撃や、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃などを防ぐセキュリティ機能も備えています。
Zend Framework(ゼンドフレームワーク)
2006年にアメリカのソフトウェア会社のゼンド・テクノロジーズが開発したPHPフレームワークです。デザインパターンの制約はありません。コンポーネントが数多く用意されており、拡張性に優れています。パフォーマンスを重視して設計されており、Zend Frameworkのバージョン2.0とバージョン3.0とでは、4倍ほど処理レベルが向上します。
Yii(イー)
2008年にQiangXue氏が開発したPHPフレームワークです。日本ではそれほど知名度は高くありませんが、世界では多くのエンジニアがYiiを利用しています。他のPHPフレームワークと比べると軽量で処理速度が早く、CMSやポータルサイトなど高い負荷にも耐えられる設計になっています。
CakePHP(ケイクピーエイチピー)
2005年に、Cakeソフトウェア財団によって開発された世界でもっとも有名なPHPフレームワークです。2019年に、トップの座をLaravel(ララベル)に譲る形となりましたが、依然として多くのユーザーが利用しています。
日本語による情報が多く、また、bakeコマンドと呼ばれるコードを自動生成できる機能があるため、PHP初心者でもとっつきやすいフレームワークです。
Slim(スリム)
Slimの最大の特徴は軽量であることです。世界においてシェアの大きいLaravel、CakePHPは機能豊富で「フルスタックフレームワーク」と呼ばれているのに対し、Slimは必要最低限の機能だけ盛り込んでいるため、「マイクロフレームワーク」と呼びます。このように、必要最低限の機能だけであるため、学習効率も高く追加実装の手間もかかりません。
Phalcon(ファルコン)
2012年に登場したPHPフレームワークです。フルスタックフレームワークでありながら、非常に早い動作性を持ちます。また、ルールや決まりがなく自由に開発ができます。ただし、他のフレームワークと比較するとユーザー数が少なく、英語での技術情報しか得られないため、学習効率はやや低いです。
FuelPHP(フューエルピーエイチピー)
2010年に、Dan Horrigan氏によって開発が始まり、CodeIgniterの開発者とともにリリースされたPHPフレームワークです。CodeIgniter、SymfonyといったPHPフレームワークの影響を色濃く受けています。「規約よりも設定」をベースに設計されているため、非常にフレキシブルな開発が可能となります。
Flight(フライト)
Twitterが開発したマイクロフレームワークです。SlimやPhalconのように高速で軽量であるのが最大の特徴です。非同期で独立性が高く、RESTfulなアプリケーションやシステムを開発するときに重宝します。ただし、マイナーなフレームワークで情報が少ないため、学習効率は決して高くはないといえます。
Kohana(コハナ)
CodeIgniterからスピンアウトして開発されたPHPフレームワークです。 HMVCモデルを採用しています。軽量かつ高速でライブラリの使い勝手が良いのが特徴となっています。国内ではあまり知られていませんが、海外では少しずつ利用者数が増えています。
BEAR.Sunday(REST API)
BEAR.Sundayは、エンジニアの郡山昭仁氏によって開発された日本製のPHPフレームワークです。REST APIの開発を下地に置いたものとなっており、DIとAOPによって構成されていることが最大の特徴です。ただし、他のMVCフレームワークのように独自のライブラリを持たず、必要なライブラリを選択する必要があるため、PHP初心者にはややハードルが高いといえるでしょう。
REST APIとは?
REST API(REpresentational StateTransfer API)とは、SOAP(Simple Object Access Protocol)、RPC(Representational StateTransfer)と並ぶWeb APIの1つで、統一インターフェース、アドレス可能性、接続性、ステートレス性というRESTの4原則に則って書かれたAPIのことを指します。RESTful APIとも呼ばれています。
REST APIは、2000年にロイ・フィールディング氏が発表した博士論文「Architectural Styles and the Design of Network-based Software Architectures」で初出した概念で、現在においては主流のWeb APIとして知られています。
PHPの案件の種類
PHPは、WebアプリケーションやWebサイトで使われているプログラミング言語とあって、安定的に需要があります。内容としては、業務管理システムの構築、ECサイトの開発、予約システムの開発など、さまざまな開発案件が存在しています。フレームワークとしてはLaravelが主流で、開発環境においてはLAMPが求められることが多くなっています。それでは弊社の運営しているエンジニアファクトリーに掲載されているPHP案件を元にどういった案件があるのかを見ていきたいと思います。
弊社エンジニアファクトリーのPHP案件:
https://www.engineer-factory.com/jobs?q[tags_id_eq_any][]=1260
業務システムの構築
業務管理システムの新規開発から、既存システムへの機能追加、保守などさまざまな案件があります。テストから品質管理、開発、保守・運用まで、一気通貫で携わるケースが多いです。
ECサイトの開発
ECサイトの開発の案件では、フレームワークよりは、EC-CUBEやWordPress、ShopifyといったCMSでの開発経験や、MySQLやPostgerSQLなどを用いたデータベース設計を問われることがあります。
予約システムの開発
PHPのほか、HTMLやCSSといったマークアップ言語、Javascript、MySQLやPostgreSQLなどのデータベースにおける開発経験があると、受注できる案件の幅が広がります。
まとめ
今回はPHPのニーズや将来性、PHPフレームワークを使うメリット・デメリット、PHPフレームワークの特徴について解説しました。募集内容をみて気になる案件がありましたら試しにエントリーしてみると良いかもしれません。自分の経験にマッチした案件やフルリモート勤務の案件を探したいという方は一度、エンジニアファクトリーに登録してみてはいかがでしょうか。
エンジニアファクトリーでは、上記に掲載している案件以外にも非公開案件を多数取り扱っております。また、フルリモートワークやハイブリッドワークの開発案件、月100万円を超える高額案件も掲載。なお、案件紹介や顧客交渉によって発生する費用はありません。登録も無料なので、ぜひまずは下記よりご登録ください。