2024/03/04

VC++とは?C++との違いや仕事内容、メリット、求人情報などをご紹介!

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VC++とは?C++との違いや仕事内容、メリット、求人情報などをご紹介!

VC++はプログラム言語ではなく、Microsoftが提供する「Visual Studio」というソフトウェアに含まれる、C++言語のための統合開発プラットフォームです。

プログラミングをおこなう際は、ソースコードを書き込むためのエディター、プログラムを構成する部品、コンパイラが必要です。

本記事では、CやC++向け統合開発プラットフォームのひとつであるVC++について、詳しく解説します。これからVC++の活用を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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VC++とは何か?

VC++とは何か?

VC++は正式には「Visual C++」と呼ばれる、Microsoft(以降、MSと記載)が提供するC、C++、およびC++/CLI向けの統合開発プラットフォーム(IDE)です。

VC++には、コンパイラやデバッガなどが内蔵されています。2005年版の「Visual C++」からは、Visual C#やVisual Basicなどのプログラミング言語もサポートされ、これらは「Visual Studio」という製品名でまとめて販売されるようになりました。

「Visual Studio」は基本的には有料ですが、「Visual Studio Community」という一定の制限があるバージョンは無料で利用可能です。ただし無料版の「Visual Studio Community」は、個人での学習や開発には無償で利用できるものの、企業や団体で使用する場合には特定の条件が設定されているため、注意が必要です。

VC++の仕組みや重要性

VC++(Visual Studio)には多くのライブラリ(すでに書かれたコードの集合)が含まれています。ライブラリがあることで、複雑なプログラムも効率的に書くことが可能です。さらにデバッガ(バグを見つけ出すツール)も搭載されていることから、プログラムにエラーがある場合、エラーの原因を特定しやすくなります。

エディタ、コンパイラ、デバッガが一つに統合されている環境があることで、効率的な開発が可能になるのです。

効率的なプログラミング作業を行うには、「よく使われる処理」を毎回ゼロから開発するわけにはいきません。さらにプログラムを実行可能な状態にするためには「コンパイル」と呼ばれる前処理が必須です。

コンピュータのCPUは、「2進数形式の命令」(または機械語)しか処理できません。したがって、自分で作成したプログラムをCPUが解釈できる形に変換する作業が必要です。この変換作業を「コンパイル」と呼び、それを実行するプログラムが「コンパイラ」です。コンパイラがないと、どれだけ優れたプログラムを作ってもそれを実行できません。

C++プログラミングで何かを開発するには、最低でも「テキストエディタ」、「共通処理のプログラム部品」、「コンパイラ」が必要です。これら一式を提供するのが「開発環境」で、VC++(Visual Studio)が該当します。VC++(Visual Studio)は特にWindowsユーザーに対してこの「開発環境」を提供しているのです。しかも、VC++で作成したプログラムはWindows以外にもiOS、Android、Webアプリケーション、クラウドサービスなどでも活用できるため、Windowsでの開発には欠かせないツールといえます。

VC++のランタイムについて

VC++のランタイムとは、Visual StudioでビルドされたC++アプリケーションを実行するために必要なライブラリです。VC++のランタイムは、アプリケーションが使用するさまざまな機能やリソースを提供します。

VC++ランタイムは通常、Microsoftの公式サイトから無料でダウンロードすることが可能です。ほとんどのケースにおいて新しいアプリケーションをインストールするときに、必要なVC++ランタイムは自動的にインストールされます。

Microsoft Visual Studioに搭載されている内容

Microsoft Visual Studioに搭載されている内容

Visual Studioには以下の3つの主要なコンポーネントが含まれています。

  • 標準C++(コンパイラ)
  • C++/CX(もう一つのコンパイラ)
  • ライブラリ(各種のプログラム機能が格納されているディレクトリ)

標準C++とC++/CXは、前述の通り、それぞれ異なるタイプのコンパイラです。標準C++は、一般的なC++プログラミングに用いられる言語であり、このコンパイラを使ってソースコードを処理すると、実行できるプログラムが生成されます。一方で、C++/CXは標準C++にWindows専用のストアアプリケーション機能が追加されたバージョンです。

ライブラリとは、頻繁に使用されるプログラム処理や関数が集められたものを指します。たとえば「Hello World!」というメッセージを出力する基本的な操作でも、適切なプログラム部品が必要です。さまざまな処理に活用できる部品が、このライブラリに格納されています。ライブラリは、プログラミングにおいては不可欠な要素なのです。

C++とVC++の違いとは?

C++とVC++の違いとは?

C++とVC++の違いは、プログラミング言語か、開発環境(ツール)かです。

C++はプログラミング言語の一種で、VC++はMicrosoftが提供する「ソフトウェア開発に必要な全体的な環境」を指します。この開発環境は英語でIntegrated Development Environment(IDE)と称され、この略称であるIDEは業界でよく用いられる用語です。

VC++には「標準C++」と「C++/CX」といった二つの異なるC++バージョンが含まれています。C++の基盤となる「C言語」は1972年に登場した多目的プログラミング言語であり、C++はこのC言語にさまざまな機能を追加して作られました。この「追加」の概念が、名前の「++」にも表れています。

C言語は多くのシステム構築に利用される汎用言語であり、C++も多種多様なシステム開発で活用されています。そのため、C++には各専門領域で役立つ機能が追加された多くの派生形が存在するのです。VC++では、基本的な「標準C++」に加えて、Microsoftの主力オペレーティングシステム、Windowsに特化した機能を持つ「C++/CX」も用意されています。

VC++の主な特徴

VC++の主な特徴

ここからはVC++の以下の5つの特徴について、詳しく解説します。

Windows向け開発に最適

VC++(Visual C++)は、Windowsオペレーティングシステム向けのソフトウェア開発に向いています。特定のWindows API(Application Programming Interface)やライブラリが利用できるため、Windows環境での開発がスムーズに進むのです。

実行結果をすぐに確認できる

VC++(Visual C++)にはデバッグ(エラーチェック)機能が搭載されています。そのため、作成したコードの実行結果をリアルタイムで確認することが可能です。実行結果をすぐに確認できることは、システム開発の現場においてコードに問題がある場合や改善が必要な点をすぐに把握し、修正することができるため、非常に有用です。

制御系システムの開発に対応

VC++(Visual C++)は産業用制御システムや組み込みシステムといった、制御系システムの開発にも使用されます。制御系システムは一般的なコンピュータソフトウェアとは異なり、機械や装置を制御するためのプログラムです。VC++は高度な機能と性能があるため、このような特殊な用途でも対応できるのです。

部分的なアセンブラ言語開発が可能

アセンブラ言語とは、プログラミング言語の中でも機械に近い言語です。VC++(Visual C++)では、C++コード内で部分的にアセンブラ言語を使用できます。これにより、特定の処理を高速化するなど、より細かい制御が可能になります。

GUIなので視覚的にわかりやすい

GUI(Graphical User Interface)とは、視覚的な要素(ボタン、メニュー)を使ってコンピュータと対話するためのインターフェースです。VC++(Visual C++)はGUIに対応しているため、コードを書くだけでなく、視覚的な要素をドラッグアンドドロップで配置することが可能です。GUIで操作できる点は開発者にとって、システム開発効率を上げる大きな要因といえます。

VC++を使うメリット

VC++を使うメリット

ここからはVC++を使う以下の2つのメリットを、詳しく解説します。

グラフィックを活用した開発環境がある

VC++(Visual C++)は初心者から上級者まで利用できる使いやすい開発環境です。その直感的なグラフィカルインターフェースは、経験の浅いプログラマーでも短期間でコーディングを始められるよう設計されています。コンパイル時にエラーが出た場合、この環境は視覚的に問題点を指摘してくれるため、エラーの原因を迅速に特定できます。

特に大規模なプロジェクトでは、プログラムの行数が1,000行、場合によっては数千行にもなることがあります。このような状況でコンパイルエラーが生じた場合、手動で問題を特定するのは、非常に手間がかかります。VC++の視覚的なエラー表示機能は、このような場合に時間と労力を大幅に節約する点で、有効です。

ネイティブプログラミングが可能

ネイティブプログラミングとは、特定のオペレーティングシステム(OS)やハードウェアプラットフォームに密接に結びついた形でソフトウェアを開発する手法を指します。このアプローチでは、プログラムはそのプラットフォームの「ネイティブコード」、すなわち直接そのプラットフォームのCPUで実行できる機械語にコンパイルされます。

ネイティブプログラミングでは、プログラムがそのプラットフォームのネイティブコード(機械語)で実行されるため、性能が高く、効率的な動作が期待できるのです。VC++(Visual C++)がネイティブプログラミングに対応していることは、その性能と効率性に大きな影響を与えるメリットといえます。

VC++の価格・プラン

VC++の価格・プラン

ここからはVC++のそれぞれのプランと価格を、詳しく解説します。

①Visual Studio Community

Visual Studio Communityは、Microsoftが提供する無料の統合開発環境(IDE)です。Windows、Android、iOS、Webアプリケーションなど、さまざまなプラットフォームのアプリケーションを開発できます。

価格は無料で、学生、オープンソース、個人開発者向けに提供されています。ライセンス数は、5台以下です。

Visual Studio Communityの主な特徴は、以下の3つです。

  • 有償版のVisual Studio Professionalとほぼ同等の機能を搭載している
  • クラウドベースの開発ツールやサービスも利用できる
  • XamarinやUnityなどのクロスプラットフォーム開発ツールも利用できる

②Visual Studio Professional

Visual Studio Professionalは、個人開発者や小規模なチーム向けのIDEです。

最新の「Visual Studio Professional IDE」とAzure DevOpsのBasicプランが利用でき、1ヶ月、1ユーザーあたり$50のAzure クレジットが付与されます。サブスクリプションで利用する場合の価格は1ユーザー、1ヶ月あたり45ドルとなっています。

③Visual Studio Enterprise

Visual Studio Enterpriseは、大規模なチームやエンタープライズ企業向けのIDEです。

最新の「Visual Studio Professional IDE」とAzure DevOpsのPremiumプランが利用でき、1ヶ月、1ユーザーあたり$150のAzure クレジットが付与されます。。サブスクリプションで利用する場合の価格は1ユーザー、1ヶ月あたり250ドルとなっています。

VC++のインストール方法

VC++のインストール方法

VC++(Visual Studio)をインストールするには、まずMicrosoftの公式サイトからVisual Studioのダウンロードページにアクセスします。ここで「コミュニティ」「プロフェッショナル」「エンタープライズ」のいずれかを選択することが可能です。

C++の基礎を学ぶ予定であれば、「コミュニティ」がおすすめです。「コミュニティ」選択後、「Visual Studio IDE 初心者ガイド」のようなオプションが表示されます。これをクリックするとダウンロードが自動的に開始され、インストールが可能となります。特定のC++のテーマや機能が欲しい場合は、インストール時にカスタマイズできます。

VC++を使ったアプリ開発の流れ

ここからはVC++を使ったアプリ開発の流れを、詳しく解説します。

新規でプロジェクトを作成する

まずはVC++で「プロジェクト」と呼ばれる、フォルダに似た領域を生成します。Windowsで特定の目的に応じてデータを整理する際にも似たようなプロセスがあります。続いて「ファイル」メニューから「新規作成」を選び、先ほど生成した「プロジェクト」を指定します。その後「Visual C++」を選択することで、アプリケーションの開発を開始できます。

画面のデザインを作る

プロジェクトを作成したら、アプリやシステムの画面設計ができるようになります。フォームデザイナーというUI作成ツールを用いて、画面上に配置するべき要素(コンポーネント・ボタンや入力フォームなど)を手軽に設定することが可能です。

仕様にしたがってコードを書く

画面設計が終わったら、いよいよコードを書いてプログラムを作成していきます。VC++にはコードエディタ―が搭載されているので、それを活用してC++のコードを作成、編集できます。

コンパイルをおこなう

プログラムの記述が完了したら、次はコンパイラを用いてコードをコンパイルします。このプロセスは「ビルド」とも称されるものです。何らかのエラーがプログラム内に存在する場合、コンパイラはエラーメッセージを出力します。エラーがあった場合は、エラーの箇所を特定してコードを修正した上で、再びコンパイルを実行します。

プログラムを実行する

コンパイラがエラーなく処理を完了すると、実行できるモジュールが生成されます。このモジュールを起動することで、プログラムを実行できます。実行すると記述したコードが想定通りの動作をしているかを確認することが可能です。

デバッグする

動作確認を行った結果、エラーや不具合が見つかった場合は、デバッグ作業に入ります。VC++にはデバッガーと呼ばれるツールが備わっており、コードを一行ずつ実行したり、特定の箇所で停止させるなどの機能が利用できます。不具合の箇所を特定したら、再びコードエディターを使用して修正を行い、コンパイルを実施します。プログラミング、コンパイル、テスト、デバッグという手順を反復することで、最終的に問題が解消された段階で完成するのです。

VC++の将来性・今後の展望

VC++の将来性・今後の展望

Visual Studioは約2年ごとに新バージョンが公開されており、継続的な人気と需要がある、といえます。このトレンドは今後も続く見込みであるため、VC++には明確な将来性が確保されています。さらにVC++で得たスキルや知識は他のプログラミング環境でも応用可能なため、投資した時間や労力は無駄にはなりません。

また、C++の起源であるC言語は1972年に登場して以来、約50年以上の長きにわたって活用され続けています。このように長い歴史を有する言語は他に例が少なく、C言語の優れた特性と対応力が証明されているのです。そしてC言語やその拡張であるC++は、現代でも広く使われています。

C++やC言語をマスターすることで、他のプログラミング言語も比較的容易に学べるようになります。今後、より簡易なプログラミング言語が登場する可能性が高いため、C++のスキルを有することで、新しい言語を習得する際の優位性が高まるのです。よって、C++の習得は将来に向けて多くの価値を提供するといえます。

VC++を使う仕事の種類と内容

ここからは、VC++を使う仕事の種類と内容をそれぞれ詳しく解説します。

企業向け業務システム開発

VC++はビジネス関連のシステム開発、なかでも財務セクターや医療分野など、多様な産業でのアプリケーション開発に、よく採用されています。そのため、業務アプリケーションの開発に興味がある方にとって、VC++のスキルは価値があるのです。面接の際に「VC++での開発経験がある」と実績を明示できれば、強みとなります。

経験豊富なVC++の開発者は、企業に貢献できる存在として高く評価されます。さらにVC++の知識と技術は、他の開発環境でも応用可能であるため、習得が早いと一般に考えられています。このような理由から、VC++のスキルは、VC++を使用していない企業であっても、採用において優位となることが多いのです。

組込ソフトウェア開発

組込ソフトウェア開発においてVC++は、頻繁に採用されています。家電や電子機器の製造業者が積極的にIoT技術を採用しているのは、政府主導のDX政策の影響もあり、C++に対するニーズが高まっているためです。制御系エンジニアリングでは、C言語とC++が一般的に使われているため、ハードウェアにも興味がある「機械愛好者」には、C言語とC++を習得し、組込ソフトウェア開発に携わることがキャリアパスとしておすすめです。

制御系開発は難しいですが、一度マスターすれば長期的なキャリアを築くことができるため、学ぶことが重要です。制御系のプロジェクトにおいて、C言語が使用されない状況は、現在のところ想像しにくく、ゲーム開発も同様に、C言語とC++が重用されています。ゲーム制作に興味がある方は、C++の習得が不可欠です。

VC++を使う仕事の平均年収

VC++を使う仕事の平均年収

2021年1月時点のフリーランス向け転職サイトに掲載されていた求人では、VC++関連の仕事は、平均で月額65万円の報酬が設定されていました。この数値を基に一年間働いた場合の概算年収は約780万円となります。

ただし、これは単なる指標であり、正社員として働いた場合の年収ではないことに注意が必要です。VC++における実務経験や専門技術、さらにはリーダーシップやその他の経験なども、年収に影響を与える要素となるため、上記の年収の数字はあくまで参考程度に留めておくべき、といえます。

VC++の求人情報

VC++の求人情報

フリーランスITエンジニア専門の案件サイト「エンジニアファクトリーフリーランス」における、VC++スキルが生かせる求人の例は、以下です。

月単価概要
~55万円デジタルカメラ開発案件
~70万円大規模システムの要件定義支援業務案件
~60万円医療系画像データ連携案件
~65万円新作ゲームのバックエンド開発案件
~70万円大手エネルギー会社向け開発PJ支援案件

求人の傾向として、組込開発やゲーム、大型のプロジェクトの一部でVC++が採用されていることがわかります。単価が高い案件に採用されるには、VC++のスキルだけでなくさまざまな開発に携わった経験が求められそうです。

もう少し経験を積みたい、と考えている方は、まず単価が低い案件で経験と実績を積むことをおすすめします。

まとめ

VC++まとめ

本記事ではVC++(Visual Studio)の概要や特徴、利用料金やインストール法を紹介しました。Microsoft社が提供しているツールであるため、VC++(Visual Studio)は特にWindowsシステムやアプリの開発に有効です。

言語スキルだけではなく、ツールを使いこなすスキルを身につけることで、多様なプロジェクトに参画できる機会を増やすことが可能です。本記事を参考に、VC++(Visual Studio)のスキルを身につけてみてはいかがでしょうか。