スクラムは、アジャイル開発で用いられる効率的なプロジェクト管理手法のひとつです本記事ではスクラムの基本概念から実践的な運用方法までを解説していきます。
実務で役立つ情報が網羅されていますので、ぜひ参考にしてスクラムを活用したキャリアアップに役立ててみてください。

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アジャイル開発のスクラムとは?
アジャイル開発のスクラムについて、以下の3つの視点から解説していきます。
- アジャイル開発の中でスクラムが果たす役割
- スクラムの基本概念とアジャイル手法との違い
- 中堅フリーランスが押さえるべきスクラムの重要ポイント
アジャイル開発の中でスクラムが果たす役割
アジャイル開発は、変化に柔軟に対応しながらプロジェクトを進める方法で、効率的なチーム作業を重視するのが特徴です。
スクラムでは、プロジェクトを「スプリント」と呼ばれる短期間の作業単位に分け、定期的に成果を確認していきます。スクラムを行うことでチームは定期的に進捗を振り返る機会が設けられ、状況に応じて計画を調整できるのがメリットです。
たとえば、Webサイトの新機能を開発する際は、1~2週間ごとに小さな機能を完成させ、実際の動作を確認しながら進められるなどです。
他にも大規模なプロジェクトで発生しがちな「遅延」や「認識のズレ」を防ぐことにもつながります。毎日の短いミーティング(デイリースクラム)で進捗を共有することで、課題の早期に解決につながり、プロジェクト全体をスムーズに進められます。
スクラムを組む際にはチーム全員が役割を理解し、協力し合える環境を整えることが大切です。
開発する製品や機能の優先順位を決める「プロダクトオーナー」や実務作業を担当して目標を達成する「開発チームのメンバー」など、各々が共通の目標を共有し、効率的にプロジェクトを進行させる役割を担っています。
スクラムの基本概念とアジャイル手法との違い
アジャイル開発は、変化に対応しながらプロジェクトを進行させる柔軟な開発手法になります。大きな目標に対してタスクを小分けし、短期間で成果物を繰り返し作成しながら、進めていきます。
スクラムはこのアジャイルを具体化するためのフレームワークのひとつとなっており、「スプリント」と呼ばれる短期間の作業単位に分けて進める手法です。チームワークと効率的なプロジェクト管理を重視しており、チームメンバー全員が明確な役割をもつことが特徴です。
スプリントは通常1〜4週間の単位で行われ、その間にチームが具体的な成果物を完成させることを繰り返します。
スクラムはアジャイル手法の「こうすべき」という考え方を実践する手法になります。たとえばアジャイル手法では「チーム間の対話を重視」と指摘しますが、スクラムでは「デイリースクラム(短い日次ミーティング)」という形で考え方を具体化するなどです。
つまりスクラムはアジャイル開発を成功させるための具体的な仕組みを提供し、チームの生産性を最大化する役割を担っています。
中堅フリーランスが押さえるべきスクラムの重要ポイント
スクラムはチームで協力してプロジェクトを成功させることを前提としたフレームワークとなります。
「コミュニケーション」や「タスク管理」「自己管理能力」などは、フリーランスとしてスクラムを実践していく際に非常に大切です。
たとえばスクラムにおける「デイリースクラム」では、毎日の短いミーティングで進捗や課題を共有します。フリーランスであれば、オンラインミーティングなどを通じて質問や報告、進捗の報告を行い、円滑な連携を図ることが大切です。
ほかにも「スプリントレビュー」と呼ばれるスクラムでは、スプリント終了時に成果物を確認し、次の目標を決める場です。フリーランスであれば、自分の成果をわかりやすく伝える準備が求められます。
基本的にはタスクが割り当てられるため、スプリントごとのタスクを自己管理し、期限内に質の高い成果物を提供する意識をもつことが大切です。
スクラムの基本フローと役割の詳細
スクラムの基本フローと役割の詳細について、以下の3つの観点から解説していきます。
- スクラムの進行を支えるスプリントの流れ
- 中堅フリーランスが現場で活用するスクラムの進め方
- フリーランス視点でのプロダクトオーナーとの連携方法
スクラムの進行を支えるスプリントの流れ
スクラムの進行を支えるスプリントは、以下のような流れで進んでいきます。
- スプリント計画
- デイリースクラム
- スプリントレビュー
- レトロスペクティブ(振り返り)
スプリント計画は、文字通りチーム全員で目標を設定し、タスクの優先順位を割り振る計画を立案することです。たとえば、新しい機能の開発を行う場合、開発に必要な具体的な内容の精査やタスクの分担を行います。
デイリースクラムは、スプリント期間中に毎日行う短いミーティングのことです。概ね15分程度の時間を設定し、チームメンバー全員が「昨日何をしたか」「今日何をするか」「障害はあるか」を共有します。
チーム全員が発言することで、進捗状況の把握から問題があった場合の早期解決につなげられます。
スプリントレビューは成果発表のことです。スプリント中に完成した成果物をチームに提出し、改善点などのフィードバックをもらいます。
最後にレトロスペクティブ(振り返り)です。「何がうまくいったか」「何を改善すべきか」を話し合い、次回のスプリントに向けて改善点を明確にすることを目的に行います。
具体的な改善策を決定し、チームが効率的に成果につなげるように調整していくことがスクラムの狙いとなり、プロジェクトを成功させる鍵になります。
中堅フリーランスが現場で活用するスクラムの進め方
フリーランスがスクラムを効果的に進めるには、以下の5つの視点をもつことが大切です。
- 自分の役割を明確に理解する
- デイリースクラムに積極的に参加する
- 進捗と成果を見える化する
- フィードバックを活用する
- 問題解決に貢献する
フリーランスとしてプロジェクトに参加する場合、通常は「開発チームメンバー」として活躍が求められます。
スクラムではチーム全員がスプリントの目標を共有し、タスクを分担するため、役割を明確に理解し、ほかメンバーに進捗を正確に共有するなどが必要です。
デイリースクラムでは、具体的な発言を積極的に行う意識が大切になります。たとえば、「現在取り組んでいる作業は完了に近づいているが、テスト部分でサポートが必要」などです。具体的な情報を共有することで、チーム内の信頼を高めていきます。
進捗や成果を見える化させることも大切です。スクラムボードやタスク管理ツールを有効活用し、タスクの進捗を常に更新し、相手にも見える化させることを意識しましょう。
フィードバックは文字通り、成果物をより質の高いものにするチャンスになります。フィードバックの意見を次のスプリントに反映し、質の高い成果物にならないかを試行錯誤することが大切です。
チームで問題が発生した際には、解決策を提案し、迅速に対応する姿勢が大切です。自分のタスクに加えて、課題を抱えているメンバーに協力することで、チーム全体から信頼されます。
もちろん自分のタスクが最優先ですが、積極的に問題解決に貢献することで、自身のスキルアップにもつながります。
フリーランス視点でのプロダクトオーナーとの連携方法
プロダクトオーナーと円滑に連携することは、プロジェクトの成功において重要です。
プロダクトオーナーはプロジェクト全体の方向性を決定する役割を担っているため、行う作業や目標が一致しているかを確認する必要があるからです。
連携する際には、プロジェクトのゴールからタスクの優先順位を明確にします。新機能を開発する際、「顧客満足度を向上させる機能を重視したい」となった場合、どのタスクを優先するかを共有します。
共有した内容は適宜、コミュニケーションを取りながら、認識にズレがないようにしていくことが大切です。特にフリーランスの場合、リモートワークなどで対面でのやりとりが少ないことが多いため、とくに意識して活動していくことが必要になります。
コミュニケーションを綿密に取れれば、誤解を防ぐことにもつながります。とくにスクラムでは成果物を提出することが常なので、あいまいな情報共有で制作してしまうと、作業進捗が大幅に遅れてしまうでしょう。
常に目標にあわせた作業を心がけることはもちろんのこと、プロダクトオーナーと連携することで、より良いパフォーマンスが発揮できます。
スクラムマスターとプロダクトオーナーの役割を理解する
スクラムマスターとプロダクトオーナーの役割の違いについて、以下の3つの視点から解説していきます。
- スクラムマスターとプロダクトオーナーの責務の違い
- フリーランスの立場でスクラムマスターを務める際の注意点
- 現場で役立つチームメンバーとのコミュニケーション術
スクラムマスターとプロダクトオーナーの責務の違い
スクラムにおける「スクラムマスター」と「プロダクトオーナー(PO)」は、プロジェクトを成功に導くために、それぞれ重要な役割を担っています。
具体的な責務の違いは、以下の表の通りです。
<スクラムマスターとプロダクトオーナーの責務の違い>
役職 | 責務 | 具体例 |
---|---|---|
スクラムマスター | チームが効率的に働けるよう、プロセスを整え、障害を取り除く | チームがデイリースクラムで議論に時間をかけすぎている場合、議題を整理し、時間内に効率的に進めるようにする。 |
プロダクトオーナー | プロジェクトのゴールや優先順位を設定する | 「新しい検索機能がユーザーの利便性を向上させる」という目標を決定し、優先するタスクを設定する。 |
それぞれの役職の責務は異なるため、連携をしなければチーム全体が効率的にプロジェクトを進行させることはできません。
役職の違いを正しく理解し、適用させることでスクラムの効果を最大化することにつながります。
フリーランスの立場でスクラムマスターを務める際の注意点
フリーランスであっても場合よっては、スクラムマスターを務めることがあります。スクラムマスターとして従事する際には、以下のような注意点を意識して活動することが大切です。
- チームメンバーとの信頼関係を構築する
- リーダーシップを発揮するとともに中立性も意識する
チームメンバーとの信頼関係を構築することは、スクラムを効果的に行うためには欠かせません。しかしフリーランスの立場だと、短期間でプロジェクトに関わることが多く、既存メンバーとの関係が浅い場合があります。
さらにプロジェクトごとにチーム文化やワークスタイルが異なるため、それぞれの環境に適応したコミュニケーション力も必要です。
自分の役割と目標を明確に伝え、デイリースクラムで他のメンバーの意見を尊重したり、適切な意見を述べたりなど、より良いサポートができるように心がけます。
一方でスクラムマスターはリーダーとして意思決定に介入し過ぎてしまうと、中立性が損なわれてしまう恐れがあります。そのため、チームメンバーには自主的に課題を解決できる環境を整え、サポートに徹することを意識することが大切です。
さらに複数の部署が管理する場合は、情報共有の徹底や認識の齟齬が出ないようにするなど、チーム間の調整も求められます。
柔軟な適応力と積極的なコミュニケーション能力を通じて、課題を先回りして対処する姿勢が、大切です。
現場で役立つチームメンバーとのコミュニケーション術
スクラムを通して、チームメンバーとコミュニケーションを取る際には、以下の3つを意識して行動することが大切です。
- 積極的なフィードバック
- コミュケーションツールの有効活用
- 定期的な1on1ミーティング
デイリースクラムなどを通して、進捗が問題なく共有できていれば、課題を早期に解決できる可能性も高まります。
スクラムの目的はプロジェクトの成功になるため、積極的にフィードバックを行うことで、プロジェクトの成功可能性を高めるのはもちろんのこと、信頼関係の構築にもつながります。
ただし、フィードバックは批判ではなく、改善点を前向きに提案する形で伝えることが重要です。たとえば、「ここを少し変更すればさらに良くなりそうですね」といった形で話すと、相手も受け入れやすくなるでしょう。
オンラインでのコミュニケーションも多い場合は、SlackやMicrosoft Teamsなどのツールを活用し、リアルタイムでの情報共有を心がけることが大切です。
文面としてもログが残るため、後からの振り返りにも有効的に利用できます。
メンバーが不安や悩みを抱えている場合は、1on1ミーティングも有効です。昨今では、リモートワークが増えている影響で、時に孤独を感じてしまいがちになるからです。
1on1ミーティングを通して話す機会を設けることで、メンバーの現状を的確に捉えることにつながります。
スクラム運用の課題とその解決策
スクラム運用によくある課題とその解決策について、以下の3つの視点から解説していきます。
- スプリント管理で直面するよくある問題
- タスク分担を効率化するためのコツ
- リモート環境でのスクラム運用における注意点
スプリント管理で直面するよくある問題
短期間で成果物を作成するスクラムでは、時に管理方法で多くの課題に直面します。
スプリントによくある課題とその解決策について、以下の表にまとめたので、参考にしてみてください。
<スプリント管理の課題と解決策>
課題 | 解決策 |
---|---|
計画が現実的ではない | 過去の実績やチームの作業スピード(ベロシティ)を参考に、現実的なタスク量を設定し、優先順位の高いものから進めるようにする。 |
タスクの優先順位が曖昧 | 重要なタスクが後回しになることを避けるために、プロダクトオーナーと連携して、スプリント開始時に明確な優先順位を設定する。さらにスプリントレビューによって進捗を共有し、次のスプリントに向けた調整を行う。 |
チーム内での情報共有不足 | 作業の重複や無駄を排除するために、デイリースクラムを活用して、各メンバーの状況や課題を共有を徹底する。さらにタスクの進捗状況を可視化させ、全員の状況を把握しやすくする。 |
不足の事態が頻発する | スプリント中に予想外の問題が頻発し、計画の進行が遅れてしまうことを防ぐために、計画の段階でバッファ(予備の時間)を設定し、余裕を持たせる。問題が発生した際には、スクラムマスターが迅速に対応し、解決策をチームと共有する。 |
計画がスムーズに進行する方が、プロジェクトにおいては稀なことも少なくありません。
それぞれの問題に適切に対処する体制を整えておくことで、スプリント管理がよりスムーズとなり、プロジェクトの成功につながっていきます。
タスク分担を効率化するためのコツ
メンバーへのタスクは適切に割り振らなければ、チーム全体の生産性向上にはつながりません。分担を効率化させるためのコツとしては、以下のようなものが挙げられます。
- タスクの細分化
- メンバースキルと得意分野の考慮
- プライオリティの明確化
- ツールの活用
- 定期的な進捗確認
タスクはできる限り細分化することで、メンバーは取り組みやすくなると共に、管理者側も進捗管理がしやすくなります。「デザイン作成」「API設計」「テスト実施」などの具体的なステップに細分化することで、「今、何をすべきか」を明確にしましょう。
また、タスクを分担する際は各メンバーのスキルと得意分野を考慮することで、生産性の向上が期待できます。たとえばバックエンドに強いメンバーにはAPI設計を、フロントエンドが得意なメンバーにはUI作成を任せるなどです。
プライオリティを明確にすることも大切です。タスクには重要度や緊急度があるため、プロダクトオーナーと連携して、優先順位をはっきりさせることを心がけましょう。
優先順位がはっきりすることで、計画的な作業につながります。
ツールの活用では、「誰がどのタスクを担当しているか、進捗状況がひと目でわかる」ようにしていきます。デジタルの力を利用し、効果的にプロジェクトを進められるでしょう。
最後に定期的な進捗確認です。デイリースクラムや週次ミーティングを活用して、進捗状況を共有し、タスクの再分配が必要かどうかを確認します。
遅れや課題を早期に発見し、チーム全体で対応できるため、必ず行うことが大切です。
リモート環境でのスクラム運用における注意点
フリーランスであればリモート環境でスクラムを運用することはめずらしくありません。リモート環境での運用となると、以下のような課題が発生しがちです。
- コミュニケーション不足
- 進捗管理の不十分
- ミーティング効率の低下
- 一体感の希薄
上記のような課題に対しては、オンラインによるデイリースクラムの実施などで進捗状況から課題を適宜共有することで概ね防止が可能です。
さらにSlackなどのコミュニケーションツールを積極的に活用し、リアルタイムでの情報交換ができる体制を整えることも大切です。
リアルタイムで十分な顔合わせができない分、進捗管理が杜撰になってしまうこともあります。メンバーのタスクが十分に進行しているか、誰が何をしているかを一目でわかるようにしておく仕組み作りが求められます。
また、リモートでのミーティングはネット環境によってラグが生まれてしまうなど、効率が落ちてしまうことも少なくありません。事前に議題を共有したり、発言の順番を決めておいたりするなど、無駄のない議論が進むような工夫が大切です。
さらにチームとしての一体感が希薄にならないように配慮することも大切です。雑談タイムなどのアイスブレイクの時間を設け、仕事以外の話題を共有するなど、チームで動くような仕組み作りをしていきましょう。
こうした仕組みを十分に整えられれば、リモートであってもスムーズなスクラム運用が可能になります。
スクラムを活用してフリーランスとしての価値を高める方法
スクラムを活用してフリーランスとしての価値を高める方法として、以下の3つの視点から解説していきます。
- 案件獲得につながるスクラム経験のアピール方法
- スクラムで得たスキルを活かしたキャリア戦略
- 高単価案件を獲得するためのポートフォリオ構築術
案件獲得につながるスクラム経験のアピール方法
スクラム経験があることは案件獲得において、大きな強みになります。スクラムに関する知識や実績をポートフォリオなどに記載することで、クライアントに対してアピールができます。
記載する際には、内容を具体的にしていくことが大切です。
たとえば「スクラムマスターとしてチームの進行を管理し、スプリントごとにプロダクトリリースを成功させた」という経験があれば、チームでどのような役割を担っていたのか、どのようなツールを活用していたのかを明記していきます。
プロダクトリリースを成功させることで、作業効率を20%向上させた、JiraやTrello、Confluenceといったツールを活用し、タスク管理や進捗報告を漏れなく行っていたなど、数字を用いながら記載することで説得力が増していきます。
さらに成果をグラフやフローチャートなどで視覚的に示すと、読み手にインパクトを与えることが可能です。タスク達成率の推移や、スプリントごとの改善結果を簡単な図で表現できれば、より伝わりやすくなるでしょう。
スクラムで得たスキルを活かしたキャリア戦略
スクラムで培ったスキルは、長期的なキャリア構築において非常に有益です。スクラムの経験を活かすことで、エンジニアとしての市場価値を高めることにつながるからです。
キャリア戦略においては、以下のようなものが挙げられます。
- スクラムの役割に特化したスキルを深める
- スクラム以外のアジャイル手法を学ぶ
- 業界や企業のニーズに応じたスキルを取得する
スクラムマスターの経験がある場合はさらに専門性を高めることで、より上流のポジションを目指すことにつながります。プロジェクトマネージャーやアジャイルコーチなどを目指す際には、スクラムマスターとしての運営経験や課題解決の経験は重宝されます。
スクラム以外のアジャイル手法を学ぶことも、キャリア戦略のひとつです。カンバンやエクストリームプログラミング(XP)など他の手法を学ぶことで、アジャイル全体の知識を深められます。
こうした他の手法を学ぶことで、企業が求める幅広いプロジェクトに対応できるエンジニアとして評価がされます。
最後に業界や企業のニーズに応じたスキルを取得することです。クラウド技術(AWSやGCP)やコンテナ技術(Docker、Kubernetes)をスクラムに組み合わせて活用するスキルを学ぶなど、最先端技術のスキルを身につけていくことで、最新の市場ニーズに対応ができます。
スクラムで得たスキルを応用して学びを深め、新たな役割や分野に挑戦することで、キャリアの幅が広がったり、高単価案件の獲得につながったりが期待できます。
高単価案件を獲得するためのポートフォリオ構築術
ポートフォリオは自身のスキルや実績を効果的に伝える「名刺」になります。
魅力的なポートフォリオを作成することで、クライアントはエンジニアを信用し、仕事が任せられると考えるようになるからです。
そのため、ポートフォリオは隙がなく具体的に作成することが大切です。とくに以下のようなことを意識するとよいでしょう。
- 実績を具体的に記載する
- 構成を明確にする
- 視覚的なデザインを意識する
- 最新情報を常に更新する
実績は数字を用いて具体的に記載します。たとえば「API設計を担当し、システム全体のパフォーマンスを20%向上させた」などです。役割と成果をわかりやすく伝える意識をもつとよいでしょう。
読みやすいポートフォリオは構成が明確です。「自己紹介」「所持しているスキル」「実績」など構成を明確にし、クライアントに伝わりやすいようになっているかを意識しましょう。
見やすさは第一印象を左右します。グラフや図を使ったり、ビジュアルや色彩を意識して、パッと見で見やすいかどうかを確認するようにしましょう。
スキルや実績は常に更新されるため、最新情報を常にアップデートしていくとよいでしょう。更新のタイミングとしては、新しいプロジェクトを完了するなどです。最新情報を記載しておくことで、クライアントも安心できます。
アジャイル開発のスクラムで使えるおすすめツール
アジャイル開発のスクラムで使えるおすすめのツールとして、以下の3つの視点から解説していきます。
- スクラムボードの作成に役立つツール
- タスク管理の効率化に役立つツール
- フリーランスに最適なスクラム支援ツール
スクラムボードの作成に役立つツール一覧
スクラムボードは、チームのタスク管理を視覚化し、進捗状況を全員で共有できるツールです。主なツールとしては、以下の表の通りです。
<スクラムボードの作成に役立つツール>
ツール | 特徴 |
---|---|
Trello | カード形式でタスクをドラッグ&ドロップで「未着手」「進行中」「完了」などの列に移動させることができ、タスクの進捗を視覚的に管理できます。初心者にも扱いやすく、チーム全員がリアルタイムで更新内容を確認できます。 |
Jira | スクラムボードやカンバンボードを簡単に作成でき、細かいタスク管理が可能です。スプリントの進行状況をグラフや統計で確認できる分析機能が豊富なため、チームの作業量を可視化させ、最適なスクラムにつなげられます。 |
Asana | タスク管理とプロジェクト管理を組み合わせたツールで、プロジェクトの進行状況をタイムラインやカレンダーで確認可能です。複数のプロジェクトを同時に管理したい場合に効果的なツールになります。 |
タスク管理を効率化するアプリケーション
プロジェクトをスムーズに進行させるためには、タスク管理に力を入れることが大切です。頭の中ではなく、アプリやプラグインなどを活用して、効率化を図っていきます。主なアプリとしては、以下のようなものが挙げられます。
<タスク管理を効率化するアプリケーション>
ツール | 特徴 |
---|---|
Notion | タスク管理からドキュメント作成、データベース機能を備えた多機能アプリです。タスクをリスト形式やボード形式で管理でき、プロジェクト全体の情報を一元化。プロジェクトごとにページを作成し、タスクの優先順位や期限を設定し、効率的な作業につなげられます。 |
Todoist | 個人、チームで利用しやすいシンプルなタスク管理アプリです。デイリーTodoを設定し、通知機能を活用して、期限が近いタスクを忘れずに処理できます。リマインダー設定も備わっているため、タスク忘れの防止に役立ちます。 |
Tasks、Simple Poll | TasksやSimple Pollはコミュニケーションツールのslack内でタスク管理ができるプラグインです。タスクの割り振りができるようになるため、slackを活用している場合には、タスクの進行状況の確認や修正がスムーズに行えるようになります。 |
フリーランスに最適なスクラム支援ツール
フリーランスでスクラムを実践する場合、自分一人で作業を効率化したり、チームとスムーズに連携するためのツールが役立ちます。
前章までに上げたツールに加えて、以下のツールがおすすめです。
<フリーランスに最適なスクラム支援ツール>
ツール | 特徴 |
---|---|
ClickUp | 多機能なタスク管理ツールで、スクラムボードやカレンダー機能を備えているのが特徴です。スクラムボードだけでなく、プロジェクトのタイムラインや目標設定も可能なため、フリーランスが自分の作業計画を立てるのに最適です。 |
Slack | コミュニケーションツールとして多くの企業で導入されているツールです。チャット形式で素早く情報を共有できることに加え、プラグインを活用すれば、スクラム支援やタスク管理も行えるようになります。 |
Google Meet | Googleアカウントがあれば誰でも利用できるビデオ通話ツールです。スプリント計画やデイリースクラムをリモートで行う際、簡単に接続でき、画面共有機能を使えばスムーズに議論が進められます。 |
アジャイル開発のスクラムでよくある質問
アジャイル開発のスクラムでよくある質問として、以下の3つを取り上げます。
- スクラムを効果的に運用するために最初に取り組むべきことは何ですか?
- スクラムマスターとチームリーダーの違いは何ですか?
- スプリントの遅延を防ぐための効果的な方法はありますか?
スクラムを効果的に運用するために最初に取り組むべきことは何ですか?
スクラムを効果的に運用するためには、「基本プロセスの理解」と「チームの共通の目標設定」が大切です。
スクラムは基本的に以下のようなステップで運用します。
<スクラム運用のステップ>
ステップ | やること(共通の目標) |
---|---|
チームの共通目標を設定 | プロダクトオーナーを中心にプロジェクトの目的や期待される成果を明確にする |
スプリント計画の立案 | チーム全員でスプリント期間内に達成するタスクを選び、優先順位を付ける |
デイリースクラムの実施 | チームメンバー全員が進捗状況や課題を共有する短いミーティングを実施し、各メンバーが自分の役割を明確にし、問題があれば早期に対処する |
スプリントレビュー | 成果物を共有し、プロダクトオーナーや関係者からフィードバックをもらい、次のスプリントへの改善点につなげる |
レトロスペクティブ(振り返り) | スプリント全体を振り返り、「何がうまくいったか」「何を改善すべきか」をチームで話し合う |
上記のようなステップを理解し、それぞれのステップでチーム全員が共通の目標を設定していることで、メンバーはやることが明確になります。
やることが明確になれば、生産性の向上にもつながっていきます。
スクラムマスターとチームリーダーの違いは何ですか?
スクラムマスターとチームリーダの違いは以下の通りです。
<スクラムマスターとチームリーダの違い>
スクラムマスター | チームがスクラムのルールやプロセスを正しく運用できるようサポートする役割 |
チームリーダー | メンバー個々のスキル向上やタスクの割り振りに責任を持つ役割 |
スクラムマスターはスプリント計画やデイリースクラムなど、スクラムのフレームワークに基づいた活動を管理し、チーム内での意思決定には直接関与せず、あくまでサポート役として動くのが役割です。
一方でチームリーダーは各メンバーの得意分野を把握し、それに応じたタスクを割り振ったり、チームの方向性や優先順位を決定したりします。具体的な指示や助言を行う責任があるポジションになります。
スクラムマスターがプロセスを整え、チームリーダーがタスクを管理することで、より効率的なプロジェクト運営につながります。
スプリントの遅延を防ぐための効果的な方法はありますか?
スプリントの遅延を防ぐためには、計画的な目標設定と適切な進行管理が欠かせません。
具体的には「明確なスプリント目標を設定する」「タスクの優先順位を明確にする」「デイリースクラムで進捗状況を共有する」などが挙げられます。
「明確なスプリント目標を設定する」では数字を用いて成果を測定できる内容にすることが大切です。たとえば「APIのパフォーマンスを20%改善する」などです。明確な目標とすることで、チームが一丸となって取り組めます。
「タスクの優先順位を明確にする」は、いくつもあるタスクを一度に進めようとせず、重要なタスクから優先順位を設定することです。重要なタスクから始めることで、延が発生しても最重要な目標が達成できる可能性が高まります。
「デイリースクラムで進捗状況を共有する」は、文字通り毎日のスクラムを欠かさずに行い、課題や遅延の兆候を早期に発見し、迅速に対応することにつなげます。
こうした方法を通じて大切なのが「コミュニケーション」です。リアルでのコミュニケーションはもちろんのこと、リモートワークであってもリアルタイムでコミュニケーションがとれるように環境を整えることが大切です。
とくに遅延の原因の多くは、チーム内のコミュニケーション不足であるため、積極的なコミュニケーションが図れる環境にしていきましょう。
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まとめ
スクラムを運用してプロジェクトを成功に導くためには、ステップを理解したり、役割を理解したりすることが大切です。
フリーランスであればコミュニケーションをきちんと取れる環境を整えたり、ツールを有効的に活用することが必要になります。スクラムでの経験が積み重なっていけば、高単価案件の獲得やキャリア戦略の幅も広がっていきます。
ぜひ、本記事を参考に自身のスキルアップにつなげてみてください。