著作権の理解は、エンジニアが業務を進めるにあたって非常に重要です。特にソフトウェア開発やシステム設計に携わる場面では、著作権違反のリスクを避けるための知識が求められます。
この記事ではエンジニアが知っておくべき著作権の基本から、違反を防ぐための具体的なポイントまでを解説します。著作権に関する疑問をクリアにし、安全に業務を遂行するためのガイドとして役立ててください。

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- 著作権の基礎知識
- エンジニアが気をつけたい著作権
- エンジニアが著作権を気をつけておくべき理由
- エンジニアが開発業務で意識すべき著作権
- エンジニアが著作権違反を防ぐ方法
- 著作権違反を予防するにはエージェントの活用も有効
- フリーランスエンジニアの案件探しはエンジニアファクトリー
- まとめ
著作権の基礎知識
著作権とは、創作者が自身の著作物を他者に使用させる許可を与えたり、財産として所有したりする権利です。
この権利は音楽や文章だけでなく、ソフトウェアにも適用されます。著作権は特別な手続きなしに著作物を創作した時点で自動的に発生し、エンジニアが開発したプログラムも創作と同時に著作権の保護対象となります。
エンジニアが著作権に関する正しい知識を持つことは、自身の開発物を守り、業務に活かす上で重要です。
著作権とは
著作権は、著作物を創作した人や組織に与えられる権利で、著作物の保護や著作者の利益を守ることを目的としています。エンジニアが業務で開発したプログラムも著作権の対象ですが、著作権の帰属は開発状況や契約内容によって異なります。
個人で開発した場合:著作権は開発者本人に帰属する
企業に所属し業務として開発した場合:一般的に企業に帰属する(「職務著作」に該当するケース)。
ただし、契約や就業規則で特別な取り決めがある場合は、その内容が優先されます。エンジニアにとって、自身の開発物の著作権がどこに帰属するかを理解するため、契約内容や企業の規定を確認することが大切です。
著作権と特許権の違い
著作権と特許権はどちらも知的財産権に分類されますが、それぞれの目的や保護対象には明確な違いがあります。
著作権は、文学、音楽、絵画、プログラムなど、創作的な表現を保護します。特別な手続きなしに、創作と同時に発生し、著作者の死後70年間存続します。
一方で特許権は、新しい技術的なアイデアや発明を保護します。特許権を取得するには出願と審査が必要であり、登録されてから20年間保護されます。
例えば、ソフトウェア開発の場合、プログラムのソースコードは著作権で保護されますが、そのソフトウェアの独自のアルゴリズムや技術的アイデアは特許の対象となる可能性があります。ただし、特許として認められるには新規性や進歩性が求められるため、すべてのアイデアが特許になるわけではありません。
エンジニアは、他者の著作権を侵害しないよう注意すると同時に、自身の技術的アイデアを適切に保護するために、著作権と特許権の違いを理解する必要があります。
エンジニアが気をつけたい著作権
エンジニアが業務で留意すべき著作権のポイントは、自分が書いたプログラムや利用するコードに関する権利の理解です。
プログラムは著作権法で保護される著作物に該当します。ただし、創作性がない単純なコードや汎用的なアルゴリズムは保護対象外となる可能性があります。他者のコードを無断で使用したり、一部を参考にして再利用した場合でも、著作権侵害となるリスクがあるため注意が必要です。
また、業務で作成したプログラムの著作権は、企業に帰属するのが一般的です。日本の著作権法第15条では、職務著作として企業に帰属する規定がありますが、契約書や就業規則で特別な取り決めがある場合は、その内容が優先されます。そのため、契約時に著作権の帰属を明確に確認することが重要です。
さらに、オープンソースソフトウェアを利用する際は、ライセンス条件を遵守することが求められます。一部のライセンス(例:GPL)では、プログラムを公開する義務が生じる場合もあるため、利用前に条件をよく確認しましょう。これらの知識を踏まえ、適切な対応を行うことがエンジニアには求められます。
アプリケーション開発における著作権
アプリケーション開発における著作権は、著作物を創作した者に帰属すると著作権法で定められています(著作権法第17条)。そのため、プログラムを実際に作成したエンジニアや企業が著作権を所有するのが原則です。
例えば、SIer A社がベンダーB社に開発を依頼し、SES契約のエンジニアがプログラムを作成した場合、著作権はベンダーB社に帰属します。一方、SIer A社にはアプリケーションの**使用権(ライセンス)**のみが付与されます。これは、著作権法において「創作した者が著作権を持つ」と定められているためです。
このように、開発を依頼する際には契約書で著作権の帰属を明確に定めることが重要です。特に、納品後のシステム改修や他社への再利用を考慮している場合、著作権の所在が後の業務に大きな影響を及ぼす可能性があります。
契約時には、著作権の譲渡や利用許諾の範囲を詳細に取り決めることで、双方が納得した状態で契約を締結することが望まれます。
SES契約における著作権
SES契約(システムエンジニアリングサービス契約)では、フリーランスエンジニアが作成したプログラムの著作権は、一般的に発注元(顧客)に帰属します。多くの場合、基本契約書には「著作権は業務完了後に顧客側に譲渡される」と記載されています。そのため、エンジニア本人に著作権が残るケースはほとんどありません。
SES契約においては、エンジニアが業務を遂行する過程で著作権が発生する可能性があります。そのため、契約書で著作権の帰属を明確に規定することが必要です。
例えば、以下のような条項が記載されることがあります:
「委託業務の成果物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)は、乙又は第三者が委託業務の開始前から保有していたものを除き、成果物の作成と同時に、乙から甲へ移転する。」
このように明示することで、後々のトラブルを未然に防ぐことが可能です。また、オープンソースや第三者の権利が含まれている場合は、その条件や影響も事前に確認することが求められます。
エンジニアが著作権を気をつけておくべき理由
エンジニアが著作権を意識する理由は、ソースコードが著作物として著作権法で保護されるためです。他者のコードを無断で使用した場合、著作権侵害と見なされ、罰則や損害賠償の対象になる可能性があります。
著作権が認められるソースコードとは、アルゴリズムやプログラミング言語自体ではなく、それらを用いて具体的に表現された創作性のあるコードです。そのため、他者のコードを参考にする際は、単なるコピーではなく、自身のアイデアや創造性を加えることが重要です。
また、職務上作成したプログラムの著作権は、特別な取り決めがない限り、所属企業に帰属します。過去の勤務先で作成したコードを無断で使用すると、著作権侵害となるだけでなく、企業とのトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
エンジニアとして、著作権を正しく理解し、他者の権利を尊重することは、法的トラブルを回避するだけでなく、信頼されるプロフェッショナルとしての姿勢を示すことにもつながります。
エンジニアが開発業務で意識すべき著作権
ここからは、エンジニアが開発業務で意識すべき、以下6つの著作権にまつわるポイントを詳しく解説します。
- ネットにあるコードを使っても良いのか
- ネットにあるアルゴリズムを使っても良いのか
- オーブンソースは流用も改造も自由なのか
- 前職で開発したプログラムをそのまま使っても良いのか
- 前職で作ったプログラムに似てきたが問題ないのか
- 業務委託で作成したプログラムを次の案件に使いまわして良いのか
ネットにあるコードを使っても良いのか
ネット上で公開されているコードは、著作権法によって保護されている場合があります。特に創作性が認められるコードは著作物として扱われるため、無断での使用や複製は著作権侵害に該当する可能性があります。
例えば、Qiitaのコードは商用利用も含めて利用可能ですが、Zennでは無断転載や二次配布が禁止されています。利用規約やライセンスを確認することが重要です。
ネットにあるアルゴリズムを使っても良いのか
アルゴリズムは問題解決の手順や方法のことで、著作権法では「アイデア」に分類されます。著作権法は具体的な表現を保護対象とし、アイデア自体は保護しません。そのため、アルゴリズムそのものには著作権が適用されず、自由に使用できます。
しかし、アルゴリズムが特許として保護されている場合があるため、注意が必要です。特許権とは発明を保護する法律です。特定のアルゴリズムや技術的手法が特許取得されていると、その使用には制限が生じます。特許侵害を避けるため、使用前に該当アルゴリズムが特許保護されていないかの確認が重要です。
エンジニアがネット上で公開されているアルゴリズムを利用する際は、著作権法と特許法の双方を理解し、適切に対応することが求められます。特に特許権の確認を怠ると法的問題に発展する可能性があるため、事前の確認が重要です。
オーブンソースは流用も改造も自由なのか
オープンソースの利用には、各ライセンス条件を遵守することが求められます。例えば、MITライセンスは利用や改変が自由ですが、GPLでは改変後のコード公開義務が発生する場合があります。商用利用時は特にライセンス条件を確認し、法的リスクを避けることが重要です。
前職で開発したプログラムをそのまま使っても良いのか
前職で開発したプログラムの著作権は、通常、当時在籍していた会社に帰属します。日本の著作権法第15条に基づき、職務著作として、企業が著作権を持つとされています。これは、会社の指示や業務の一環で作成されたプログラムが対象です。
たとえ自分が開発したプログラムであっても、会社の許可なくこれらを使用することはできません。無断で使用した場合、著作権侵害に該当し、差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。また、これが重大な場合、法的な制裁や企業間トラブルに発展することもあります。
しかし、会社から許可を得ることで、プログラムを使用できる場合もあります。そのため、トラブルを避けるためには、前職で開発したプログラムの使用に際して、企業に許可を求めることが重要です。特に、契約書や就業規則を確認し、著作権の帰属や使用許諾について明確にしておくことが望まれます。
前職で作ったプログラムに似てきたが問題ないのか
前職で開発したプログラムをそのまま使用することは、著作権侵害に該当します。なぜなら業務中に作成したソースコードの著作権は、通常、雇用主である会社に帰属するためです。そのため、無断で利用はできません。
しかし、以前のプログラムを参考にして新たに開発することは可能です。著作権法はアイデア自体を保護対象としていないため、同じ機能やアイデアを持つプログラムを独自に作成することは問題ありません。ただし、元のプログラムと類似したコードが多く含まれる場合、著作権侵害とみなされる可能性があるため、注意しましょう。
著作権侵害かどうかは、プログラムの一致や類似箇所の量や割合で判断されます。一致する行数や文字数が多いほど、侵害が認められやすくなります。そのため、以前のプログラムを参考にする際は、コードの直接的なコピーを避け、独自の表現で再構築することが重要です。
業務委託で作成したプログラムを次の案件に使いまわして良いのか
業務委託で作成したプログラムを次の案件に使用する場合は、著作権の帰属が重要なポイントとなります。
一般的に業務委託契約において作成されたプログラムの著作権は、契約内容によって異なります。契約書に著作権の譲渡に関する明確な記載がない場合、作成者であるエンジニア自身に著作権が帰属します。
そのため、次の案件で同じプログラムを使用することに問題はありません。しかし契約書に「著作権を委託者へ譲渡する」旨が明記されている場合、そのプログラムの著作権は委託者に帰属します。この場合、無断で同じプログラムを他の案件で使用すると、著作権侵害となる可能性があります。
したがって過去のプログラムを再利用する際には、契約書の内容を十分に確認し、著作権の所在を明確に把握することが大切です。特に、著作権の譲渡や使用許諾に関する条項を注意深く確認し、必要に応じて委託者からの許可を得ましょう。
エンジニアが著作権違反を防ぐ方法
エンジニアが著作権違反を防ぐには、他者の著作物を使用する際に適切な許可を取得し、ライセンス条件を遵守することが重要です。特に、オープンソースを利用する場合は、そのライセンス内容を正確に理解し、適切に使用する必要があります。ここでは、以下3つの著作権違反を防ぐ方法を詳しく解説します。
- システム開発の著作権を明確にする
- 著作権の合意を形成する
- ソースコードの著作権を明確にする
システム開発の著作権を明確にする
システム開発では、著作権の帰属を明確にすることがプロジェクトの円滑な進行と権利関係の整理において重要です。
一般的に、個人が開発したソフトウェアの著作権はその個人に帰属します。しかし企業に雇用され、職務として開発を行った場合は、「職務著作」に該当し、著作権は企業に帰属します。このような点を契約書などで明確に定め、関係者全員が共有することが不可欠です。
また、複数の開発者が関与する場合には、プロジェクトリーダーや契約の責任者が著作権の所在を明確にし、プロジェクト開始前にその内容を周知することで権利関係の混乱を防ぐことが求められます。
著作権の合意を形成する
著作権に関する合意の形成は、エンジニアが自身を守る重要な手段です。開発プロジェクトの開始前に、関係者間で著作権の帰属や利用範囲を明確に定めることで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。
契約書には、著作権の帰属や利用条件、権利の譲渡に関する条項を具体的に記載することが望ましいでしょう。これにより各自の権利と義務が明確になり、将来的な誤解や紛争を防止できます。特に、開発したプログラムやシステムの所有権については、明確にしておくことが不可欠です。
事前の合意形成は、安心して業務を進めるための基盤となります。
ソースコードの著作権を明確にする
ソースコードに関する著作権は、複製や改変、無断使用を著作権法で制限しています。システム開発では、契約書においてソースコードの著作権の帰属や使用条件を明確にすることが重要です。これにより、開発者や依頼主の権利を適切に保護し、不正利用を防ぐことができます。
特にフリーランスエンジニアの場合、契約内容に基づきソースコードの使用範囲や著作権の帰属が規定されるため、その条件を詳細に確認し、合意形成を行うことが重要です。
また、合意形成の際には、専門用語を避けて分かりやすい言葉で記載することで、全ての関係者が正しく理解し、トラブルを未然に防ぐことができます。
著作権違反を予防するにはエージェントの活用も有効
エージェントを利用することは、著作権違反を未然に防ぐための有効な手段の一つです。エージェントは、信頼できる企業やプロジェクトの紹介に加えて、契約条件の確認や選択肢の幅を広げるサポートを行います。以下に、エージェント活用の3つのポイントを紹介します。
- 信頼できる企業を選びやすくなる
- 契約条件を明確にするサポートを受けられる
- プロジェクトの選択肢を広げられる
信頼できる企業を選びやすくなる
著作権違反を防ぐためには、信頼できる企業とプロジェクトを選ぶことが重要です。信頼性の高い企業は、著作権に関する契約内容を明確にし、法令遵守を徹底しています。このような企業を選ぶことで、著作権トラブルのリスクを減らし、安心して業務を進めることができます。
エージェントは、企業の過去のプロジェクト実績や顧客からの評価などの情報を提供し、エンジニアが企業の信頼性を判断する手助けをします。また、求人情報を通じて、業界のトレンドや動向を理解することも可能です。
さらに、エージェントを通じて事前に契約条件やプロジェクトの詳細を確認することで、著作権の帰属や使用許諾の範囲を把握し、不安を軽減することができます。このようなプロセスを経ることで、信頼できる企業との仕事を実現しやすくなります。

契約条件を明確にするサポートを受けられる
企業との契約書において、著作権や知的財産権に関する条項を確認することは、著作権違反を防ぐ上で欠かせません。エージェントは、契約書に記載される注意点を整理し、エンジニアが内容を理解するためのサポートを行います。
特に以下のような条項には注意が必要です。
- 著作権の帰属(プログラムや成果物の権利がどこに帰属するか)
- 使用許諾の範囲(成果物を他のプロジェクトで使用できるか)
- オープンソースの利用規約(ライセンス条件に違反していないか)
- 二次利用や再配布の可否(作成物を第三者が使用する際の条件)
エージェントの助言を参考にすることで、契約内容をより深く理解し、不明な点があれば企業や法律専門家に問い合わせることでトラブルを未然に防げます。契約条件を明確にすることは、安心して業務を進めるための重要なステップです。
プロジェクトの選択肢を広げられる
エージェントを活用することで、エンジニアは自分のスキルや興味に合った多様なプロジェクトを検討できるようになります。特に著作権やライセンス管理を重視する企業や、オープンソースプロジェクトに積極的に取り組む企業との接点が増えます。
これらの企業では、著作権に関する意識が高く、法的リスクを軽減する取り組みが進んでいるため、安心して業務に取り組むことができます。さらに、エージェントのサポートを通じて、プロジェクトの特徴や職場環境について詳しい情報を得ることで、適切なプロジェクトを選ぶ判断材料を増やせます。
結果として、自身に合ったプロジェクトや企業を選び、キャリアの幅を広げながら、著作権違反のリスクを軽減することが可能です。
フリーランスエンジニアの案件探しはエンジニアファクトリー

エンジニアファクトリーは、フリーランスエンジニアのための案件参画サポートを提供しています。1,700社以上の取引企業と7,000件以上の公開案件を保有しており、高単価案件やフルリモート案件など、幅広い選択肢を提供しています。
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まとめ
エンジニアが業務を行う際、ソフトウェア開発やプログラム作成においては、著作権法が深く関わるため、著作権に関する理解は不可欠です。
この記事ではエンジニアが業務を遂行する上で直面しやすい著作権の問題について、詳しく解説しました。他者の著作権を侵害せず、円滑に業務を進めるにはエンジニアファクトリーのようなエージェントのサポートが有効です。
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ライター:前嶋 翠(まえじま みどり)
・プロフィール
COBOLが終わろうとする時代にプログラマのキャリアをスタートし、主にJavaエンジニアとして経験を積みました。フリーランスエンジニアとして活動していたとき、リーマンショックが起こったことをきっかけに家庭に入りました。出産を経て在宅でできる仕事として、ライターに。ITエンジニア経験のあるライターとして、IT業界のあれこれを皆さまにわかりやすくお伝えしていきます。
