フリーランスが払う所得税はどのように計算されるのでしょうか。本記事では、会社員とは異なり、自身で確定申告を行うフリーランスの所得税はどのように計算されるのか、またどのような税金があるのか、どのような節税対策ができるのかについて、詳しく解説します。

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所得税とはどういう税?
所得税とは、個人の一年間の所得に対して課される税金です。フリーランスの所得税の計算は、年間の収入から必要経費を差し引いた「課税所得」に基づいています。
所得税の税率は、課税所得の金額に応じて累進課税が適用され、低い所得には低い税率が、高い所得には高い税率が適用される仕組みです。
フリーランスが所得税を計算する際には、まずその年の収入と経費を正確に把握する必要があります。ここでいう経費とは、仕事をする上で必要な物品の購入費用や事務所の賃貸料、交通費など、事業に直接関連する費用を指します。これらの経費を収入から差し引いた後の金額が課税所得となり、この課税所得に対して所得税率が適用されます。青色申告を選択することで、所得控除の恩恵を受けることができ、税負担を軽減することが可能です。
所得税の納付方法には、予定納税と確定申告があります。予定納税は前年の所得に基づいて計算される税金を、翌年の一定期間内に分割して納付する方法です。確定申告は、実際の所得を計算し、正確な税金を納付する手続きであり、毎年2月から3月にかけて行われます。
フリ-ランスが払う所得税の計算方法・控除について
ここからはフリーランスが払う所得税の計算方法と控除について、以下の項目にしたがって解説します。
- 収入と所得について
- 所得控除を把握して課税所得を割りだす
- 所得税を計算
- 税額控除を差し引く
収入と所得について
所得税は、その名の通り、個人の所得に基づいて計算されます。ここで重要なのは、「収入」と「所得」の違いを理解することです。
収入とは、フリーランスとして得た総額の報酬で、所得はこの収入から必要経費を差し引いた額を指します。必要経費には、事業運営に必須の材料費、交通費、通信費などが含まれます。
所得税の計算方法を簡単に解説すると、以下のようになります。
- 収入 - 必要経費(事業運営に必須の材料費、交通費、通信費など) = 所得金額
- 所得金額(1) - 所得控除(基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除など) = 課税所得
- 課税所得(2) × 所得税率 = 納付すべき所得税額
所得控除を把握して課税所得を割りだす
所得控除とは、所得税を計算する際に総収入から差し引ける金額のことを指します。これには基礎控除、配偶者控除、扶養控除などがあります。これらの控除を適用することで、実際に納税する所得税額を把握することが可能です。
控除名 | 内容 |
基礎控除 | 確定申告を行うすべての人を対象にしたもの。納税者の合計所得金額によって変動する。 |
配偶者控除 | 配偶者の年間所得が48万円以下の場合に適用される。13万円から48万円の範囲内で控除額が変動する。控除の具体的な額は、配偶者の所得に応じて異なる条件に基づいて決定。 |
配偶者特別控除 | 年間所得が48万円を超え133万円以下の配偶者を持つ人に適用される。控除額は配偶者の所得に応じて、1万円から38万円までの範囲で変動し、具体的な金額は特定の条件に基づいて決定される。 |
扶養控除 | 年間総所得が48万円以下の扶養家族を持つ人に適用される。控除可能な金額が38万円から58万円の範囲内で、特定の条件に基づき変動する。 |
雑損控除 | 自然災害、盗難、横領などの事由により自己の家財や資産が被害を受けた際に適用される。所定の計算式に従って控除額を算定する。ただし、詐欺や恐喝に起因する損失はこの控除の対象外。 |
医療費控除 | 一年のうち、自身や生計を共にする家族の医療費が10万円を越えた際に適用される。特定の計算式に基づいて控除額を定める。 |
社会保険料控除 | 国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料の支払いがある人に適用される。一年間で支出したこれらの保険料全額が控除の対象。同居する配偶者や扶養家族が支払った保険料も総合して控除額に加算される。 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済掛金や確定拠出年金(iDeCoを含む)を支払っている人が対象。一年間に支払ったすべての金額が控除可能。 |
生命保険料控除 | 生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料の支払いがある人に適用される。特定の計算式に基づき控除額が算定される。 |
地震保険料控除 | 地震保険など損害保険料の支払いがある人に適用される。所定の計算方法により控除額が決定される。ただし、控除の上限額は5万円。 |
寄附金控除 | 国または地方自治体への寄付(ふるさと納税含む)を行った人に適用される。控除額は特定の計算式に従って算出される。 |
障害者控除 | 自分自身、配偶者、または扶養家族が障害者として認定されている場合に適用される。障害の程度に応じて27万円から75万円までの範囲で控除額が変動する。 |
寡婦(夫)・ひとり親控除 | 配偶者との死別を経験した人やひとり親に対して適用される。ひとり親の場合は35万円、寡婦(寡夫)の場合は27万円が控除される。 |
勤労学生控除 | 自身が勤労学生である場合に適用される。27万円。 |
例えば、基礎控除はすべての納税者が適用できる控除で、2023年現在の最高額は48万円です。配偶者控除や扶養控除は、配偶者や扶養家族がいる場合に適用され、所得税額を減らすことができます。
令和元年分以前では、基礎控除の額が一律38万円でしたが、令和2年分以降は、以下の表のように納税者の合計所得額によって変動します。

これらの控除を把握し、適切に申告することで、実際の納税額を最適化することが可能です。特にフリーランスの場合、事業に関連する経費を適切に計上することも重要で、これにより課税所得を減らし、税負担を軽減できます。
所得税を計算
所得税は年間の収入から必要経費を差し引いた「課税所得」に基づいて算出されます。まず、フリーランスとして得た収入(売上)から、仕事に直接関連する経費(交通費、材料費、宣伝費等)を差し引きます。この結果得られる金額が「事業所得」です。
さらに、事業所得からさまざまな所得控除(基礎控除、社会保険料控除など)を差し引くことで、最終的な「課税所得」が求められます。所得税の税率は累進課税制を採用しており、課税所得が高くなるほど高い税率が適用されます。この税率に基づいて、最終的な所得税額が計算されるのです。
所得金額ごとの控除額は、国税庁の以下の表のようになります。

フリーランスにとって、事業経費の適切な管理と控除の最大化は、税金の負担を軽減する重要なポイントです。確定申告を通じてこれらの情報を正確に申告することが必要です。
税額控除を差し引く
フリーランスとして所得税を計算する際には、税額控除も重要な要素です。税額控除は、直接税金額から差し引かれる額であり、課税所得から差し引く所得控除とは異なります。この控除により、実際に支払う税金の金額を減らすことが可能です。
主な税額控除には、以下のようなものがあります。
- 社会保険料控除:国民健康保険や国民年金などの社会保険料の支払いに対する控除
- 生命保険料控除:生命保険や個人年金保険の保険料支払いに対する控除
- 住宅ローン控除:住宅ローンの利子に対する控除
- 寄付金控除:公的な団体への寄付に対する控除
これらの控除は、フリーランスが自身の経済状況や支払いに応じて利用できるものです。税額控除の適用には一定の条件があり、それぞれの控除には適用限度額や特定の要件が設定されています。
例えば生命保険料控除では、年間の保険料支払い額に応じて控除額が決まり、住宅ローン控除は一定の期間内で利用できる金額が決められています。これらの控除を適切に理解し利用することで、フリーランスとしての税負担を軽減することが可能です。
確定申告の際には、これらの控除を適切に申告することが重要です。フリーランスとして活動する上で、税金計算の正確性を保ちながら、利用可能な控除を最大限に活用することが求められます。
所得税はいつ払うもの?
所得税は、原則として前年の所得に基づいて計算され、翌年の確定申告を通じて納付されます。確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までとされており、この期間に前年の所得に関する申告を行い、所得税を納付しなければいけません。
フリーランスの場合、前年中の収入と必要経費をまとめ、それに基づいて課税所得を計算します。計算された課税所得に対して適用される税率は、累進課税制により決定され、それによって最終的な税額が算出されます。この税額が、実際に納付する所得税額です。
フリーランスの場合は、所得に応じて予定納税の義務が発生することもあります。これは、年間の所得がある一定額を超えると、翌年の所得税を四半期ごとに前払いする制度です。予定納税は現在の年の所得を基に計算され、その年の税金を前払いする形となります。
所得税の支払い方は?
ここでは所得税の支払い方法のうち、以下の4つの方法について解説します。
- 現金で納付
- 口座振替で納付
- クレジットカードで納付
- 電子納付
所得税には納付期限があるため、それぞれの支払い方法を理解し、納付しやすい方法で期限内に納付する必要があります。
現金で納付
納税を現金で行いたい場合、管轄の税務署の窓口、金融機関、またはコンビニエンスストアでの支払いが可能です。税務署の窓口や金融機関では、納税者が納付書を提出し、その場で現金を支払うことで税金を納付できます。もし納付書を持っていない場合でも、税務署や金融機関で入手することが可能です。
またコンビニでの納税は、納付金額が30万円以下である時に限り可能です。コンビニで納税する際は、税務署から発行されたバーコードが付いた納付書が必要です。
口座振替で納付
口座振替による納税を希望する場合は、納税期間内に振替依頼書を提出することが必要です。口座振替では、指定された期限までに依頼書を提出すれば、銀行口座から直接税金を納付できます。
クレジットカードで納付
国税庁のウェブサイトやe-Taxからアクセスすることで、オンライン上でのクレジットカードによる納税が可能です。確定申告書作成コーナーからも直接納税に進むことができ、申告後にすぐ納税手続きに移行できます。クレジットカードで納付する場合、決済手数料がかかりますが、インターネットを介して迅速かつ容易に納税手続きを完了させることが可能です。
電子納付
電子納付には、ダイレクト納付とインターネットバンキングの2つの方法があります。
ダイレクト納付 | e-Taxを通じて確定申告を行った際に、事前に登録した銀行口座から直接振り込みを行う方法。 同時にまたは指定した日に納税を完了させることができるが、事前に利用申告書を提出する必要がある。 |
インターネットバンキング | 納税者は登録方式または入力方式を選択して納税が可能。 登録方式では、e-Taxに納税情報を登録後、得られた区分番号を利用して納税を行う。 入力方式では、納税者自身で納付目的コードを作成し、それを使って納税できる。事前に開始届出書の提出が必要。 |
これらの方法は、インターネットを活用して納税手続きを簡単かつ迅速に行うためのもので、特に電子納付は近年の税制改正により、利便性が向上しています。これにより、納税者はより柔軟な選択肢を持って納税手続きを行うことが可能になりました。
所得税がかかるのはいくらから?
フリーランスとして働く場合、所得税がかかるのは年間の総所得が48万円を超えた時からです。この48万円という金額は、基礎控除として設定されており、すべての納税者に適用される一般的な控除額です。基礎控除は、納税者が生活を維持するために最低限必要とされる所得額を非課税にするために設けられています。
フリーランスの場合、年間の総収入から事業に関連する必要経費を差し引いた後の金額が「事業所得」となります。この事業所得からさらに基礎控除額を差し引いた金額が、課税所得として所得税の計算の基礎になります。課税所得が48万円を超える場合、その超える部分に対して所得税が適用されます。
源泉徴収とは
源泉徴収は、報酬や給与の支払い時に、所得税を事前に差し引く制度です。フリーランスにとっては、特定の業務やサービスに対して受け取る報酬が源泉徴収の対象となり得ます。
ここからは源泉徴収についてどのような業務が対象になるのかと、源泉徴収と確定申告はどのように関わっているのかについて解説します。フリーランスとして働くとき、源泉徴収されているかどうかを確認し、適切に確定申告をしなければいけません。ぜひ参考にしてください。
源泉徴収の対象になる業務
以下は、フリーランスが行う一般的な源泉徴収対象業務の例です。
- 講演や講師業務:教育関連の講義やセミナー、ワークショップでの講師業務
- 執筆活動:記事や書籍の執筆、寄稿
- コンサルティングサービス:専門的なアドバイスやガイダンスの提供
- デザイン・プログラミング作業:ウェブデザイン、アプリ開発などの技術関連業務
- パフォーマンスや芸能活動:芸能活動やパフォーマンス関連の業務
国税庁のホームページでは、以下のように解説されています。

引用:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
これらの業務に対する報酬は、発注者によって所得税が源泉徴収されることがあります。源泉徴収された税金は、フリーランスが自分で確定申告を行う際に納めるべき税金から差し引かれます。このシステムは、納税者が所得税を一括で支払う負担を軽減し、納税管理を容易にすることを目的としたものです。
フリーランスは、源泉徴収の対象となる業務に携わる際、報酬の支払いを受ける前に源泉徴収が適用されるかどうかを確認することが重要です。また、源泉徴収された税金についての明細を確実に管理し、確定申告の際に正確な金額を申告することが求められます。
源泉徴収されたら必ず確定申告を!
フリーランスが業務で得た収入に対して源泉徴収が行われた場合、必ず確定申告を行わなくてはいけません。源泉徴収とは、支払いを行う側が受け取る側の所得税をあらかじめ差し引いて納税するシステムです。この場合、フリーランスは実際に受け取った金額よりも多くの税金が徴収されている可能性があります。
確定申告を行わないと、フリーランスは源泉徴収された税金の適切な調整を受けることができず、結果的に過剰な税金を支払うことになりかねません。確定申告を通じて、実際の年間収入と支払われた税金の額を正確に申告し、過剰に支払った税金があれば還付を受けることができます。
特にフリーランスの場合、多様な業務に関わり、異なるクライアントから報酬を受け取ることが多いため、源泉徴収の管理が複雑になることがあります。したがって、年間を通じての源泉徴収票の収集と管理は、正確な確定申告にとって非常に重要です。
所得税以外にフリ-ランスが支払う税金は?
所得税以外にフリーランスが支払う税金は、主に以下の7つです。それぞれ詳しく解説します。
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
- 復興特別所得税
- 固定資産税
住民税について
住民税は地方自治体に納める税金で、地域内の公共サービスやインフラの維持、改善のために使用されます。
住民税は、前年の所得に基づいて算出されます。フリーランスの場合、前年の事業所得、その他の所得を合算した金額が住民税の課税対象です。所得税とは異なり、自治体ごとに異なる率が適用されます。
住民税は、所得に応じて累進的に増加することはありません。固定額の均等割と所得割があり、所得割は所得の額に応じて決まります。均等割は自治体ごとに定められた一定額です。
住民税は、前年の所得から基礎控除等を差し引いた後の課税所得を基に計算されます。その後、均等割と所得割を加算した額が年間の住民税額です。
住民税の支払いは、通常、毎年6月から翌年5月までの12ヶ月間に分割して行われます。自治体から送付される納税通知書に基づき、指定された方法(銀行振込、コンビニ支払いなど)で納税します。フリーランスの場合、前年に確定申告を行っていれば、その申告内容に基づいて住民税が計算されます。
個人事業税について
個人事業税は、事業所得を得ている個人に対して課される地方税で、事業で得た収入から必要経費を差し引いた後の所得に基づいて計算されます。個人事業税は、事業所の所在地の都道府県が徴収するため、地域によって異なる税率が適用されることがあります。
個人事業税は、計算基準が事業所得に限定されます。他の所得(給与所得、資産所得など)は含まれず、一定の税率が適用されるのが特徴です。
個人事業税の算定は、前年度の事業所得に基づいて行われます。所得税の確定申告を行う際に申告した事業所得額が基礎となり、それに適用される税率によって税額が計算されます。
個人事業税は、自宅や事業所に送付される納税通知書によって、指定された期限までに金融機関、コンビニエンスストア、またはオンライン決済などで支払います。
消費税について
消費税は、商品やサービスの提供に対して課される間接税で、ビジネスの規模や売上によって、その支払い義務が生じます。
消費税は、フリーランスが行う商品やサービスの販売に際して発生します。ただし、消費税の納税義務が発生するか否かは、その事業の年間売上が一定の基準額を超えるかによって決まります。
フリーランスが消費税を納税する必要があるか否かは、事業の規模に依存します。特に、年間の売上が一定額を超える事業者は消費税の納税者となり、売上に対する消費税を計算し、納税する必要があります。
消費税の算定は、商品やサービスの販売に関連する売上額から必要経費を差し引いた後の税込み金額を基に計算されます。ここから適用される消費税率を乗じることで、納付すべき消費税額が求められます。
消費税の支払いは、毎年1回、確定申告と同時に行われます。納税者は、所定の申告書を作成し、計算された消費税額を申告し、納税する必要があります。このプロセスは、所得税の確定申告と同時に行われることが多く、納税者は両方の税金に関する適切な管理と計画が必要です。
国民健康保険料について
フリーランスは正社員と異なり、企業による健康保険のカバーを受けることができません。そのため国民健康保険(国保)に加入し、保険料を自己負担する必要があります。
国民健康保険は、病気やけがの際に医療費の一部を補助する公的医療保険制度です。フリーランスは会社員とは異なり、国民健康保険に加入し、保険料を支払う義務があります。
国民健康保険料は、所得に応じて保険料が算出されます。つまり年間の収入が多いほど、保険料も高くなる仕組みです。また保険料は居住地の自治体によって設定されるため、地域によって金額に差があります。
国民健康保険料は前年の所得、世帯構成、年齢、居住地に基づいて計算されます。所得割、均等割、資産割の3つの要素から構成され、それぞれの自治体が定める基準に基づいて算定されます。
保険料の支払いは通常、年間を通じて分割払いで行われます。自治体から送付される納付書に基づいて、指定された期限内に金融機関やコンビニエンスストア、オンライン決済などで支払う仕組みです。
国民年金保険料について
フリーランスは正社員と異なり、会社を通じた年金制度のカバーがないため、国民年金制度に加入し、保険料を支払う必要があります。
国民年金は、将来の老後の経済的な安定を支えるために設計された公的年金制度の一部です。すべての成人は原則として国民年金に加入し、保険料を納める義務があります。
国民年金保険料は、加入者の所得にかかわらず、すべての成人した国民が同じ額の保険料を支払います。これにより所得の大小に関わらず、将来の年金受給資格を得ることが可能です。
国民年金保険料は、毎年政府によって設定される固定額で、所得に依存しません。そのためフリーランスであっても会社員であっても、同じ額を支払うことになります。
保険料の支払い方法には、毎月の口座引き落とし、年度初めの一括払い、または分割払いがあります。支払いは、金融機関、コンビニエンスストア、オンライン決済を通じて行うことが可能です。
復興特別所得税について
復興特別所得税は、2011年の東日本大震災の影響で導入されました。
復興特別所得税は、震災復興のための追加的な財源を確保する目的で、一定期間、所得税に上乗せされる税金です。この税金は、所得税が課せられるすべての個人および法人に適用されます。
国税庁の資料では、復興特別所得税について、以下のように説明されています。
『所得税の源泉徴収義務者は、平成 25 年1月1日から平成 49 年 12 月 31 日までの間
に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税の法定納
期限までに、その復興特別所得税を源泉所得税と併せて国に納付しなければならないこととされました。』

復興特別所得税の算定は、所得税額に対して一定の割合(2.1%)を乗じることで行われます。たとえば所得税が10万円であれば、復興特別所得税は2,100円です。
支払い方法は所得税の納税と同様で、確定申告時に計算された所得税とともに納付します。納税は金融機関やコンビニエンスストア、オンライン決済などで可能です。
固定資産税について
フリーランスの方がビジネスのためにオフィスや工房などの不動産を所有している場合、固定資産税の支払いが必要です。
固定資産税は、土地や建物などの不動産に対して課される地方税で、不動産の所有者に年に一度課税されます。
固定資産税の税額は、不動産の評価額に基づいています。評価額は不動産の所在地、大きさ、構造などに基づいて地方自治体によって決定されます。
固定資産税の算定は、不動産の公示価格や固定資産税評価額に基づいて行われます。評価額に対して一定の税率を適用し、年間の税額が計算される仕組みです。
固定資産税の支払いは通常、年に一度、自治体から送付される納税通知書に基づいて行います。納税者は通知書に記載された金額を、指定された期限内に金融機関、コンビニエンスストア、またはオンライン決済を通じて納付します。
フリーランスが可能な節税とは
ここからはフリーランスができる以下の3つの節税方法について解説します。適切に納税することが大切である一方、法律に則って税金を減らすことは、事業の安定的な継続のためには重要です。節税とともに重要な確定申告については「フリーランスが確定申告をするときってどうするの?注意点は?」で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
経費を漏れなく計上する
フリーランスとして節税を実現する最も効果的な方法の一つは、事業に関連する経費を漏れなく計上することです。正確な経費の計上は、課税所得を減らし、結果的に所得税の負担を軽減します。
事業に必要な経費は、所得から控除できるため、税金の額を減らすことが可能です。このため、事業に関連するすべての支出を正確に把握し、適切に計上することが重要です。
経費に計上できるのは、事業運営に直接関連する費用です。これには、オフィス家賃、通信費、交通費、機器の購入費、広告宣伝費、外注費などが含まれます。また、フリーランス特有の経費、例えば在宅勤務の場合の光熱費の一部も経費として計上できます。
経費計上には、すべての支出を正確に記録し、必要に応じて領収書や請求書を保管することが必要です。確定申告時にはこれらの記録を基に経費を申告し、適切な税額を計算します。
青色申告で確定申告をする
フリーランスが利用できる効果的な節税対策の一つが、青色申告制度の利用です。
青色申告を行う最大のメリットは、特別な控除額の適用を受けられることです。青色申告特別控除により最大65万円までの所得控除が可能になるため、課税所得を大きく減らすことができます。また赤字が出た場合、その赤字を翌年以降に繰り延べることができる「赤字繰越」も可能です。
青色申告を行うためには、事前に税務署への申請が必要です。また正確な簿記の記録や適切な帳簿の管理が求められるため、会計に関する基本的な知識が必要となります。このためフリーランスは、会計ソフトの利用や専門家のアドバイスを受けることが有効です。
青色申告を行う場合、青色申告の承認を受けるために事前に税務署に申請を行わなくてはいけません。その後、年間の収入と支出を正確に記録し、これを基に確定申告書を作成します。作成した確定申告書は、所定の期間内に税務署に提出する必要があります。
各控除を利用する
フリーランスが効果的に節税するには、利用可能な各種控除を最大限に活用することが重要です。
所得税の計算時には、多くの控除が利用可能です。これらの控除を適切に活用することで、課税所得を減らし、結果的に支払う税金を軽減できます。
各種控除を利用するには、確定申告が必要です。確定申告では、年間の所得と共にこれらの控除に関する情報を申告し、適切な税額を計算します。
控除を適用するためには、年間を通じて関連する費用や支出の記録を正確に保つことが重要です。領収書や契約書などの書類を適切に管理し、必要な情報を確定申告に記載します。
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フリーランスが払う所得税は「報酬(収入)」の額で計算されるものではありません。経費や控除を活用することで、法律に則って税額を減らすことが可能です。フリーランスとして活躍できるようになると、月額報酬が正社員のころよりも増える傾向があります。
ITフリーランスエンジニアの案件・求人紹介サイト「エンジニアファクトリー」では、2023年12月時点で、月額報酬が80万円以上の案件を800件以上見つけることが可能です。月額が80万円を超えると、国民健康保険料が正社員のころよりも高額になるため、適切な節税対策が求められます。経費を適切に計上し、節税しながらも正しく納税することが重要です。
まとめ

フリーランスが支払う所得税は、いくつかの計算とさまざまな控除により計算される仕組みになっています。控除によっては適用されないケースもありますが、どの控除がどのような条件で適用されるのかを理解しておくと、もれなく控除を利用することが可能です。
フリーランスエンジニアとしての案件はエンジニアファクトリーで探しつつ、本記事を参考に所得税や控除についての知識を深め、確定申告に向けて準備を進めておいてはいかがでしょうか。
ライター:前嶋 翠(まえじま みどり)
・プロフィール
COBOLが終わろうとする時代にプログラマのキャリアをスタートし、主にJavaエンジニアとして経験を積みました。フリーランスエンジニアとして活動していたとき、リーマンショックが起こったことをきっかけに家庭に入りました。出産を経て在宅でできる仕事として、ライターに。ITエンジニア経験のあるライターとして、IT業界のあれこれを皆さまにわかりやすくお伝えしていきます。
