2024/02/28

フリーランスが支払う年金はいくら?手続き方法から受給額を増やす方法までご紹介!

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フリーランスが支払う年金はいくら?手続き方法から受給額を増やす方法までご紹介!

フリーランスエンジニアとして働くとき、年金はどのような仕組みになるのでしょうか。会社員の場合は、会社が社会保険料を納付してくれますが、フリーランスの場合は自分で国民年金などの加入手続きを行う必要があります。

本記事では、フリーランスが受け取れる年金の種類とその加入方法、社会保険料の納付方法、受給額を増やす方法について詳しく解説します。

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フリーランスは厚生年金から国民年金に

フリーランスは厚生年金から国民年金に

正社員からフリーランスに転身する場合、自分で年金に関する手続きを行わなくてはいけません。会社員時代は勤務先が厚生年金保険料を納付していましたが、フリーランスになると国民年金への加入が必要になります。ここでは、厚生年金と国民年金の違いについて詳しくみていきます。

厚生年金と国民年金の違い

厚生年金と国民年金は、共に公的年金制度の一つですが、その仕組みにはいくつかの違いがあります。

まず厚生年金は、会社員や公務員などの被用者が加入する年金で、国民年金は自営業者やフリーランス、専業主婦など被用者以外の人が加入する年金です。保険料の負担も異なり、厚生年金は労使が折半して負担するのに対し、国民年金は加入者個人が全額負担しなければなりません。

給付額は、厚生年金は標準報酬月額と加入期間に基づいて計算され、国民年金は保険料納付期間に一定の係数を乗じることで決まります。

このように対象者、負担、給付の仕組みがそれぞれ異なる二つの公的年金制度であり、フリーランスの方は国民年金に加入するのが一般的です。

フリーランスに転身する際は、年金制度の違いを知ることが大切です。国民年金は20歳から65歳未満のすべての人が加入する義務があり、所得に関係なく保険料が一定です。一方で厚生年金は国民年金に上乗せされる年金で、会社員の場合は会社も保険料を半額負担して支払っています。

会社員時代は厚生年金への加入が義務付けられているため、年金について意識していない人もいるでしょう。しかしフリーランスになると国民年金への加入が必要になります。給料明細を確認し、自ら保険料を納める習慣をつけることが大切です。

国民年金に加入するための手続き

国民年金に加入するための手続き

ここからは国民年金に加入するための手続きについて、フリーランスとなり国民年金に加入することになったとき、どのようなものを用意すればいいのか、国民年金が免除される条件は何か、詳しく解説します。

国民年金に切り替える際に必要な物

フリーランスに転身したら、速やかに国民年金への加入手続きが必要です。市区町村の年金窓口で下記の書類を揃えて手続きします。

  • 年金手帳 または基礎年金番号通知書
  • 退職証明書等の離職を証明する書類
  • 印鑑(代理人が手続きする場合は不要)

退職日が分かる書類がない場合は、年金窓口に勤務先と退職日を伝えれば対応してくれます。

重要なのは、厚生年金から国民年金への移行が隙間なく行われることです。退職月と国民年金加入月が連続している必要があります。スムーズな手続きを行うことで、老後の年金を受給できるようになります。

国民年金の免除について

国民年金の保険料には前年の所得額に基づき、全額、4分の3、半額、4分の1の割合で免除を受けられる制度があります。

ただし前年の所得だけでなく、申請時点での現在の所得水準も判断材料となるため、注意が必要です。前年の所得が多くても、現在は所得が減少しているといった事情があれば、免除の対象となる可能性があります。

所得の状況に変化があった場合は、国民年金の免除制度を活用することを検討してください。全額免除されないケースでも、一定割合で軽減される場合があるためです。

国民年金で老後に生活出来る?

国民年金で老後に生活出来る?

国民年金の受給額は、加入期間(保険料納付期間)によって決まります。20歳から60歳までの40年間(480カ月)保険料を全額納付した場合、満額の老齢基礎年金を受け取ることが可能です。

具体的には国民年金を65歳から受給する場合、年金額は約77万7800円(令和4年度)となります。これを12で割ると、月額は約64,816円となります。

しかし70歳から受給する場合は「繰下げ受給」になり、年金額が増加します。70歳からの受給であれば具体的な年金額は、約110万4476円(年間)となります。これを12で割ると、月額は約92,039円です。

概算ではありますが、満額で納付した場合でも繰下げ受給を利用しても、経済的に余裕がある生活が送れる金額とはいいがたいのが現状です。フリーランスの場合は、国民年金以外の備えを検討すべき、といえます。

フリーランスが国民年金以外に老後に備える方法

フリーランスが国民年金以外に老後に備える方法

ここからはフリーランスが国民年金以外に老後に備える方法として、以下の5つの対策を詳しく紹介します。フリーランスになったとき、老後のためにどのように備えればいいのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

国民年金基金

国民年金基金は、フリーランスなど国民年金の被保険者が任意で加入できる私的年金制度です。国民年金に上乗せして老後の年金を増額できます。

メリットは、掛金が全額所得控除になる点です。終身年金であるため、生涯にわたって受給できます。掛金は柔軟に調整でき、インフレに左右されにくいのも魅力です。

ただし一旦加入すると、脱退できないデメリットがあります。また受取額は確定していますが、インフレで価値が下がるリスクにも注意が必要です。

掛金の額は加入時の年齢や性別、給付内容によって変わります。上限は月6.8万円です。国民年金に上乗せする私的年金として活用できそうです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、個人が自主的に掛金を積み立て、金融商品を運用する私的年金制度です。60歳以降に年金や一時金で受け取れます。

メリットは、掛金が全額所得控除の対象となる点です。運用益も非課税で、受給時の控除もあるなど税制面で有利です。掛金や運用商品は自分で選択できるのも魅力といえます。

一方で、運用リスクは本人が負うことになります。手数料もかかる場合がある点にも注意が必要です。

国民年金を補完する私的年金の一つとして活用するのであれば、運用リスクと手数料の負担を考慮に入れて判断する必要がありそうです。

小規模企業共済

小規模企業共済とは、個人事業主や中小企業の経営者が退職金を積み立てる制度です。国の機関である中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が提供しており、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員が加入できます。

加入した個人事業主は、1,000円~70,000円の間から選択した掛金を納付することで、事業を廃業した際などに「共済金」を受け取ることが可能で、掛金は全額所得控除の対象となります。

一定の加入要件を満たした人などが掛金を支払っていれば、事業を終了、引退するなどしたとき、まとまったお金が払い戻されます。

小規模企業共済に「満期」や「満額」はありません。個人事業を廃止したり、法人(株式会社など)を解散した場合や、役員を退任した場合などに共済金を受け取れる仕組みです。任意解約の場合、掛金納付月数に応じて、掛金合計額の80%~120%相当額を受け取ることができます。ただし掛金納付月数が240か月(20年)未満での受取額は、掛金合計額を下回るので注意が必要です。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐために創設された制度です。この制度は中小企業や個人事業主が取引先の倒産といった予測不能な事態に対処するためのもので、毎月掛け金を払うことで不測の事態が発生した際に迅速に資金を借り入れることが可能となります。

取引先が倒産した場合、中小企業基盤整備機構から、それまで支払った掛け金の最高10倍(上限8,000万円)を無担保・無保証で借り入れることが可能です。また、取引先が倒産していなくても、臨時に事業資金が必要となった際に一時貸付金の借り入れができます。

掛金月額は5,000円から200,000円までの範囲内で自由に選べます。また掛金は、総額800万円の上限まで積立が可能です。掛金は全額を損金算入できるため、税務面でのメリットも大きいといえます。

取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。また共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨て)。

付加年金

付加年金とは、国民年金の第1号被保険者(自営業者やフリーランス、学生など)と65歳未満の任意加入被保険者が対象となる制度で、国民年金の保険料に上乗せして「付加保険料」を納めることで、将来受け取る老齢基礎年金の受給額を増やすことができます。

付加年金の保険料は一律で月額400円で、この400円を国民年金の保険料に上乗せして納めます。そして、「200円×付加保険料を納めた月数」が将来受け取れる年金に加算される仕組みです。

付加年金は、老齢基礎年金と合わせて受給できる終身年金です。そのため、受給開始時期は老齢基礎年金と同じく65歳からとなります。ただし物価スライド(増額・減額)はありません。

具体的な受け取り額は、「200円×付加保険料を納めた月数」で計算されます。例えば、20歳から60歳までの40年間付加年金に加入し続けた場合、毎月400円(年間4800円)を納めることになります。その結果、毎年「200円×12ヶ月=2400円」が老齢基礎年金に上乗せされ、合計で「2400円×40年=96,000円」の付加年金が受け取れるのです。

まとめ

フリーランス 年金まとめ

エンジニアがフリーランスとして働くとき、まず心配なのが「仕事の有無」かもしれません。しかしいずれ仕事を引退するときが必ずくるため、年金の手続きは必須といえます。国民年金だけでは、経済的にゆとりのある老後を迎えるのが難しいことから、長期的な視点をもってフリーランスとしての働き方をスタートするのと同時に、国民年金以外の「老後への備え」を始める必要があります。

本記事を参考に、フリーランスとして働くと同時に年金についても、万全の備えをしてみてはいかがでしょうか。